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白内障手術を受けてみた

 「つぶやき」でも書きましたが、白内障の手術を受けました。

 最初に白内障とわかったのは去年のこと、「四谷怪談の現場を歩く」を書いている頃でした。お岩さんをネタにしているので「祟りか?」と、ちょっとふざけたことをnoteにも書きました。

 ゴミでも入ったのか左目が充血してしまい、痛みはなかったのですが以前から健診などをしてもらっているN眼科に行くことにしました。
 そのとき、「なんだか白っぽく見える」と言ったら、N先生「あ、白内障だね」と言われました。

 白内障?━━去年の検査の時には言われなかったぞ。すると、この一年で発症したのか。

 でも、その時は炎症をおこした左目を治すことだけにして、白内障のほうはそのまま放置しました。それほど不自由はなかったので。

 それからまた一年が過ぎ、そろそろ左目の白いもやもやが気になって、見づらく感じるようになりました。それに去年は左目の検査だけで、右目は見てもらっていません。
 そこで両目の白内障と、ついでに緑内障の検査もしてもらうことにしました。

 結果、緑内障は大丈夫。ついでに加齢黄斑変性とやらもナシ。ですが、左目はこのまま放っておいてもよくなるわけではないので、手術を受けることにしました。(右目も軽い白内障ですが、まだ眼底がよく見える方ということで、今回は見送りです)緑内障はないということで、ほっとしました。

 N眼科には手術の設備がないので、二駅離れたS眼科を紹介してもらいました。まず視力検査や眼圧・眼底検査。眼内レンズの度を決める眼軸長測定などの検査を受けました。

 眼内レンズは保険のきく単焦点レンズにしました。自前の水晶体と違い、ピントを合わせることはできません。多焦点レンズは遠近両用ですが、光がにじみやすいそうです。N先生が「絵を描く人とか、細かい作業をする人には向いていない」と言うので、それなら単焦点でしょと即決です。多焦点レンズは保険診療外だし。

 基本、眼内レンズの度数は元々の視力に合わせるらしいです。筆者は近視なので、眼内レンズの度も近視になります。ただ、右目と左目の視力が違っていて、筆者は左目の視力が弱い。右目ではパソコン作業が普通にできますが、左目は棟方志功並みに近づかないと見えないのです。
 「それでは(悪すぎる元の視力に合わせても)意味ないだろう」というS先生の言葉で、右目より少しだけ強い度にしてもらうことにしました。また、乱視も治るということでした。

 つまり、手術後も近視用の眼鏡は必要ですが、近くはよく見えるので老眼鏡は不要ということです。ただ、左目の視力が手術前とは違うので、いずれメガネは作り替えないといけません。視力が安定するのは1ヶ月程度かかるらしいです。

 S眼科では月曜の午前中が手術日と決まっています。待合室は手術をする人と付き添いの人でいっぱいでした。患者は二十人近くいたでしょうか。こんなにたくさんの患者を一度に手術するのかと正直驚きました。

 血圧を測ったり、瞳孔を開く目薬を差すなどして順番を待ちます。その間に問診などもありました。
 手術の少し前に麻酔薬を両目にさします。手術をしないほうにも麻酔をするのは、消毒液などがはねて手術をしないほうの目に入って、痛くなるのを防ぐためらしいです。

 靴を脱いで手術室に入って、歯医者にあるような椅子に腰かけ、背もたれが倒されます。顔に粘着剤が付いた半透明のシートを貼り付けます。シートは目の部分が開いていて、消毒液が流れても濡れないように目の周りはぴったりと貼り付けられます。瞼はテープで閉じないように貼り付けられます。
 まぶしいライトが当てられ、先生がその光を見ているようにと言いました。

 そのあとはもう、なにがなにやらです。
 消毒液なのか何か液体をかけられた後は、何かされているようですが、よく見えないのでわかりません。光は見えていますが全体ににじんでいるし、角膜をまくって中の水晶体を粉砕して取り出すというようなことを、ネットで調べて知ってはいましたが、いつどのタイミングで、どの作業をしているかはわかりません。
 手術をしない右目のほうは開けたり閉じたりしていましたが、不透明なシートがかぶさっているので、先生が何をしているのか結局何も見えません。

 手術の間、不思議な電子音の前衛音楽が流れていました。多分、音楽ではなく機械の発する音なのでしょうが、ちょっと謎めいた不安な音……でも、これ、きらいじゃないぞ。

 なんてことを考えているうちに、手術は終わりました。
 え、いつレンズを入れたの?
 顔に貼られたシートをはがします。S先生「これをはがす時が一番痛いかも」とか、いいながらも容赦なく引きはがします。

 しばらく、手術室前の椅子で休みます。
 なんだか、目の中心が赤っぽい…ああ、これはライトの残像か。それにしても、ぼやけてよく見えないな。

 大勢いた患者の手術があらかた終わったところで、一人ずつ診察を受けます。かなり待たされましたが、術後はしばらく休むということなのですね。
 診察が済んだら、目薬を処方されるので薬局に立ち寄って、後は帰るだけです。

 術後に眼帯をする病院もあるようですが、S眼科は特に何も保護しません。手術当日はぼんやりとしてあまりよく見えません。先生は夕方ごろから見えるようになってくるとおっしゃっていました。確かに、少しづつ見えるようになってきますが、白目は充血しているし、腫れてゴロゴロします。
 翌日はもっとよく見えるようになりますが、まだにじんだりかすんだりします。

 そして、左右で色の見え方が全然違うのです。手術した左目は青っぽく見えるというか、右目が黄色味がかっているというか。譬えると蛍光灯の昼光色と昼白色みたいな感じです。
 翌日の診察で先生にそのことを言うと、「それが本来の色です」と短く言いました。つまり、手術したほうの青っぽく感じた見え方のほうが本来の色見ということです。右目のほうは隔年劣化して黄ばんでいるというわけです。

 二日目くらいだと、まだ右目のほうがよく見えます。確か、右目より度が強いはずでは━━。
 四日目、右目より幾分遠くが見える気がする。それに明るい。まばたきするとまだ違和感がありますが、腫れている感じは取れてきたみたいです。

 この日から洗顔もできるようになります。(風呂は手術の翌日から入れますが、洗えるのは首から下だけです)
 つらいのは、洗髪は十日間禁止なこと。でも、美容院で人に洗ってもらうのはOKだとか。洗顔も四日目からできるということは、つまりシャンプーが目に入って炎症を起こしたり、細菌に感染するかもしれないからだめなんですね。洗顔と違って、目をつぶったまま髪を洗うのは難しいからなんだと思います。

 そうそう、飲酒も七日間禁止です。(私はアルコールは嗜まないのであれですが)これも、炎症を起こしやすいからだめなんでしょうね。

 最後に手術費用は片目単焦点レンズで、5万円くらい(三割負担の場合)そのほかに検査費用と目薬代がかかります。

 

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