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season6 2話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
2.『戦いの渦中へ』
「てくてく、てくっと……!」
カキツバタに案内され、部室に入るヨーコ。
「ねえ、大丈夫なの? その……、あの子は……」
そわそわゼイユ。
「スグリだろ? あいつはしばらく部室にゃ来ねえよ」
「そう……」
ゼイユ、流し目でうつむく。カキツバタ、ヨーコに向き直り、
「あらためまして、ここがリーグ部の部室だ!
リーグ部を代表して歓迎するぜぃ、パルデアチャンピオン」
「ありがとうございます。って、なしてそれを?」
ヨーコびっくり。
「ああ、さっきゼイユとアンタとの勝負見たっていう連中が話してたのよ」
「なるほど。ところで、リーグ部ってどんな部活なんですか?」
「へへん! よくぞ聞いてくれました!」
カキツバタ嬉しそうににっこり。
「ブルーベリー学園にゃ、ブルベリーグっていう生徒ん中でのポケモンの強さランク制度があんのよ。それで上位狙うため、部員同士でポケモンきたえて、勝ったり負けたりどんちゃんさわぎしようぜー、って部活がリーグ部でござい!」
「へー! ええですねえ!」
「だろー?」
「だいたいあってるけど、言い方……」
ゼイユ、ジト目。
「……ま! 今はちょいと風向きが変わってるがねぃ」
カキツバタ、しょんぼり。
「あたしも部員なの。部室にはあんまり来ないけどね」
ゼイユ説明。
「ちなみに、ブルベリーグでトップレベルに強い4人はブルベリーグ四天王って呼ばれてる。このムカつく頭フワ男とか……、さっきドームで会った子も四天王」
「ああ、タロさんも四天王じゃ言うとった」
「あ、ゼイユはランク外な」
カキツバタがからかうように言うと、
「あたしは学外活動が忙しくて、リーグ戦やってないだけですー」
口を尖らせるゼイユ。
「強さ的には、四天王なんて余裕で飛びこえてんだから」
「へっへっへ、違えねえ」
カキツバタ、軽く笑い、
「どうだいヨーコ、楽しそうな部活だろ?」
「はい! とっても!」
「好感触ときたもんだ! そうこなくちゃな」
カキツバタ大きくうなずき、のびをひとつ。
「よいっしょっとー! 仮入部は終了!」
「は? 仮入部ってなによ」
「おう! ツバっさん的にはオイラたちゃすでに仮仲間! 部室自由に入っていいし、置いてあるもん勝手に使っていいぜぃ」
「え、仮入部って、これでええんですか? 書類出したりとか先生と話したりせんといかんかと思うた」
「おうよ。でえじょうぶだ」
カキツバタ、パソコンを指し、
「あのパソコンも便利な代物でよ。集めたBPで支援すりゃあ、ほかの部活のやつらがいろいろと助けてくれんだぜ」
カキツバタ、スマホを取り出し、
「……習うより慣れろだな。ちょいとやってみなよ」
「あ、はい」
ヨーコもスマホを取り出すと、200BP分けてくれた。
「そいつで野球部のナゲハシから、投球フォームを教えてもらえるぜ」
「なーんか始まっちゃったわね。めんどいけど、つきあってやって」
ヨーコ、パソコンを動かしてみる。確かに野球部からの支援の以来が来ている。クリックして150BP支援してみると、スマホに連絡が。
「あ、はいヨーコです」
『おっ、北條陽子さんでっか。支援おおきに! スマホ越しで悪いけど、ボールの投げ方考えよか!』
「はい」
『うーん……、手は……、こう……!』
「ふむふむ」
『足をふり上げて……、そいや!!』
「ほうほう」
数分後。
『……ふたりで話したおかげで、いい感じに思いついたな! 投げ方変えたくなったら、また以てやー!』
「ありがとうございましたー」
電話切れる。
「おっ? できたじゃねえの」
カキツバタが声をかける、
「初めてなのに、さすがだねぃ。いやー、お見それしたぜ」
「いえいえ、向こうでパソコン得意な友達に教えてもろうたけ」
「そいつはいいや! ブレないアンタには、こいつを出血大サービスだ!」
ゆれないおまもりくれた。
「あ、ありがとうございます」
「ついでにこいつも着こなしゃあ、オイラとペアルック」
リーグ部の服ももらう。
「どうもです」
「さっきも言ったとおり、もうアンタは仮仲間! パソコンは自由に使ってくれぃ」
カキツバタ、テーブルを指差し、
「さらに、今ならなんと!! 置いてある菓子も食べ放題!!」
「お菓子って……、あんたの食べかけじゃん」
すかさずつっこむゼイユ。
「いつのかわかんないし、さわらないほうがいいよ」
「あ、あはは……」
「いっぱい説明したら腹へっちまった」
一息つくカキツバタ。
「オイラ、ちょっくら食堂行ってくるわ。正式に入部してえって腹ァくくったら、食堂デートしながら話そうぜい」
「デッ!?」
なぜか驚愕のゼイユ。
「はあ」
うなずくしかないヨーコ。
「んじゃなー」
去っていくカキツバタ。
「もうー! あいつ! 本当! なんなのよー!!」
ぷんすかゼイユ。
「しかもデートとか……。は? デートって何!?」
「落ち着いてゼイユさん。デートいうんは……」
「いや意味は知ってるから! あんた……、意外とませてんの!?」
「ううん、お父さんとお母さんがたまにしとりんさるし」
「ああ、なるほど……」
ゼイユうなずき、きっぱりと
「言っとくけど、デートに興奮してるわけじゃないから」
「はあ」
それからそわそわし、
「……ごめん、やっぱここ、落ち着かない。ちょっとどっか場所変えるわよ。誰も来ないとこ……、あんたの部屋、行きましょ」
「え、でもうちも行くの初めてよ?」
「なんとなく行きゃわかるわよ」
ということで部屋へ。
「おおー」
「へーえ? ここがあんたの部屋みたいね」
ふたりで見回す。
「ブルベリの学生は、ほとんどが寮生活なの。そっちのアカデミーとくらべて、部屋どんな感じ?」
「部屋の作りはほぼ同じじゃけど、にいな……、新しいなねえ」
「ふふーん、最先端の設備だからね」
「あと青くてきれい!」
「ブルーベリーだもん。そりゃ青いわよ」
小さくどや顔ゼイユ。
「あんた今度、あたしの部屋にも来ていいよ」
「わぁ、ありがと」
「……そうだ! あんたに話しとかなきゃいけないの!」
ゼイユ、少し歩いて、
「カキツバタとか、……スグのこと、とか」
「ほいじゃあ、スグリさんのこと、から」
ヨーコが話すと、ゼイユはうなずき、少しうつむいて、
「スグはね……、さっき見たとおり、最近……、怖いの」
ヨーコへ顔を向け、
「キタカミから戻ってきてから、人が変わっちゃったみたい。毎日寝る間も惜しんで、ポケモンきたえて勝負して……、──あの子、すっごく強くなったの。
学園で一番強かったカキツバタを倒しちゃったし、今はリーグ部部長とブルベリーグのチャンピオンやってる」
ゼイユ、また少しうつむいて、
「──いそがしいんだろうねー。あたしとはあんまり話してくれなくなっちゃった!」
ゼイユ、顔を上げにっこりと、
「……ま! ただの反抗期だと思うけど!」
痛々しさを感じる顔。それから顔をそむけて、
「──スグリね、少し変わっちゃったけど、あんたは……」
ヨーコをまっすぐ見る。
「──ヨーコだけは、前みたいに友達でいてあげて!」
ヨーコ、ふっと笑い近づいて手を取る。
「──もちろんじゃ!」
迷いなく言うヨーコ。友達でいたいのは本心。
「……ありがと!」
嬉しいゼイユ。
「あと、話しとかなきゃいけないのは……」
「カキツバタさんのことは?」
「そうそうカキツバタ!」
いきり立つゼイユ。
「あいつは信用しちゃダメよ! やる気なさそうに見えて、裏で何考えてるかわかんない! 本当にムカつくすっとこどっこいなの! 授業もろくに出ないから、3回も留年してるし!
とにかくあいつには気ぃ許したらダメ! 絶対よ!」
「は、はい……」(汗)
「このあとカキツバタと食堂でー……、会うんでしょ? ついてってあげたいけど、今日中に学外活動のレポートまとめないとヤバいのよね……」
ゼイユため息。
「リーグ部、あんたが入ってくれたらあたしもうれしいけど──」
ゼイユ、キッ、とヨーコを見る。
「ふざけたこと言われたら、かみついてやりなさい! えげつないやつをお見舞いするのよ! いい?」
「あ、はい……」(汗)
*
夕方、食堂が込み合い始める時間。ヨーコが行ってみると、ざわざわ声が。みんなヨーコに視線を向けて色々話しているが、けっこう好意的な雰囲気。
カキツバタを探すと、カキツバタはテーブルでだべっていた。
「カキツバタさん」
「よう、ヨーコ」
カキツバタ、小さく振り向く。
「立ち話もなんだし、座りなよ」
「失礼します」
ヨーコが隣に座ると、
「おばちゃーん、このヨーコにコーラと学園サンドウィッチセット一丁!」
「あいよ!」
おばちゃんが来てくれ、ヨーコに気付き、
「あら、噂の留学生さんだね」
「半年間お世話になります」
「ご丁寧にどうもね。先にコーラからどうぞ」
「ありがとうございます。あの、お代……」
「オイラのおごり! 四天王サービスだ」
「すみません」
「いいってことよ」
「サンドウィッチとポテトフライもすぐに用意するからね」
おばちゃん厨房へ。
「うちの食堂、ツバっさん的オススメは学園定食! 全体的にやわらけえから、あんま噛まなくていいのよ」
「いやあ、そこはちゃんと噛まんとダメですよ」
「へっへっへ、アンタおふくろみたいなこと言うねぃ」
愉快そうに笑うカキツバタ。
と、おばちゃんがサンドウィッチを運んできてくれた。仕切りトレーに乗った、パルデアのよりは少し大きめで具だくさんなBLTサンドとフライドポテト、マカロニのチーズ和え、ピクルス。手を合わせいただくヨーコ。
「味濃いめじゃけど、これはこれで!」
「だろー?」
カキツバタ、笑ってから声を低くして、
「ヨーコ……、アンタ、向こうでチャンプしてんなら、ポケモン強いだろ?」
「え、ええ、まあ」
「その強さなら、ブルベリーグでもテッペン目指せるぜ。交換留学で来てるやつが、学園で一番になったらすげーおもしれえだろ? しかも半年の内によ」
カキツバタ、含み笑い。
「だから、ヨーコにはブルベリーグに参加してほしいのよ」
「うーん、参加できるもんならしたいですけどねえ。でも留学生で半年しかおらんうちがやれるかどうか……」
考え込みつつ完食するヨーコ。手を合わせコーラをいただいていると、
「おっ、おいでなすった」
スグリと他の四天王が入ってきた。とたんに一気にざわつく周囲。さっきとは違い今度は緊張感溢れる空気。
「チャンピオンだ!」
「四天王もいる!」
「留学生と話すのかな」
テーブル前に並ぶなり、
「カキツバタ……、話って、何?」
無表情にカキツバタを見るスグリ。
「何もなにもさ」
飄々としているカキツバタ。
「ここ、食堂よ? 一緒にメシでもどうよって誘っただけなんだがねぃ」
「……くだらない」
スグリ、ため息をつき、
「そんなヒマあるなら、少しでもポケモン強くしたら?」
一旦言葉を切り、挑発。
「だから俺に負けるんだよ」
カキツバタ、黙って聞いていたが、
「……あーあ、フラれちまった」
ふっと笑う。
「スグリのだぁい好きなお友達がいても難しいかぁ」
ヨーコに目を向ける。スグリもつられて視線を移し、
「えっ……、ヨーコ!?」
スグリ驚愕。
「──久しぶりじゃね、スグリさん」
微笑みかけるヨーコ。
「な、なんで……!?」
「あれえ? 知らなかったの?」
カキツバタ、少し挑発。
「交換留学で来てるんだってよ? 半年間こっちにいるってさ」
「……本当?」
タロに聞くスグリ。
「うん……。今のは本当」
うなずくタロ。
「わたしも、エントランスでシアノ先生から紹介されて……」
スグリ、ヨーコに黙って目を向ける。
「オイラたち、もうなかよしこよしでさぁ! ヨーコにブルベリーグ参加してくれ~、ってさそってたのよ!」
「おお! いいねそれ! 燃えるじゃん!」
フライパンの少年がにっこり。
「なっ……!?」
タロはびっくり。
「他校の生徒、ましてや留学生のブルベリーグ参加。……前例にありません」
眼鏡の少女、クールに言い放つ。
「そ、そうだよ! たしかにヨーコさんはすごかったし、何よりパルデアチャンピオンのひとりだけど、さすがに……」
ぴくり。タロの言葉にスグリの眉が小さく動く。それを見逃さず、唇を結ぶヨーコ。
「なんだよ! さみしいこと言いやがって!」
カキツバタ、すかさず反論。
「うちの授業受けてうちの寮に部屋もあんだ!
こりゃもう、半年の間でも同じ学園の仲間だろ!?」
それから低く宣言。
「──それに、うちは生徒の自主性が重んじられている。……決を採ろうぜ」
タロの方を向き、
「オイラはもちろん大賛成。……タロはどうよ?」
「わたしは……、ごめんなさい。ルール的には、ナシかと……」
少し歯切れの悪いタロ。
「アカマツくんは?」
「へっ? いーんじゃね!」
きょとんと明るく答えるアカマツ。
「半年でも学園にいるってことは、生徒ってことだろ!? ネリネ先輩はどうよ!?」
「──ネリネは規則にのっとり、反対の意を表明」
頭を振るネリネ。
「2対2、ね……」
カキツバタ、少し考え、スグリを見て、
「そいじゃ、ブルベリーグチャンピオン・スグリさまはどうお考えで?」
スグリ、しばらく黙ってヨーコを見る。ヨーコも少し緊張する。ややあって、
「──相手が誰だって……」
鋭い目を向けるスグリ。
「俺は負けない」
「へへっ……、決まりだな」
スグリ、カキツバタを無視し去る。
「あっ、スグリくん!」
タロ、カキツバタに、
「カキツバタ! そういうの、よくないと思います!」
バッテンマークをし、カキツバタを一睨みして走っていく。後に続くネリネ、アカマツ。
ヨーコ、少し考える。
トレイやコップをふたりで下げると、
「悪いな、ヨーコ」
カキツバタが頭を下げる。
「なんか流れでブルベリーグに参加してもらうってなっちまった」
「いえ、お気になさらず」
その後少し黙るヨーコに、カキツバタ軽く首をかしげるも、
「ま、ものは考えようさ! スグリと親ぼく深めるチャンス!? なぁに、オイラもしっかりフォローするからよ」
「ありがとうございます」
(強うなりたい、ネモさんとまた戦いたいんもあるけど……)
「そうと決まれば、正式にエントリーしなくちゃな。エントランスの受付に行こうぜぃ」
「はい」
*
エントランスの受付へ。夜の海は静か。でもエントランスはやはり人で賑わっている。ヨーコとカキツバタがくるとやっぱりざわつく。
「よし、ヨーコ、ここでエントリーすんだ」
うなずき、ヨーコ、受付へ。
「あの……」
「はい、本日はどうなさいましたか?」
「ブルベリーグに参加したいんですけど、出来ますか?」
「お待ちください」
キーボードを叩く受付の人。少しして困った顔で、
「失礼ですが、ヨーコさんは留学中ということで、正式なブルーベリー学園の生徒さんではないようですが……?」
周り、ひそひそ。
「うーん、やっぱしですか……」
「あー、いいのいいの!」
ヨーコを遮るカキツバタ。
「さっき四天王でちゃちゃーっと決めたから!」
「カキツバタさんは、発言にちょっと信憑性が……」
カキツバタ、思わず(汗)
「ええー……」(汗)
ヨーコも(汗)。周りはうなずく者と首をかしげる者で半々。
すると、
「カキツバタの言うとおりだよ」
スグリがゼイユとやって来た。
「スグリさん、ゼイユさん」
スグリ、受付に、
「ヨーコのブルベリーグエントリーは、俺が認めた」
「はい、チャンピオンがおっしゃるなら! 少々お待ちくださいね」
手早くキーボードを叩く受付さん。
「ありがとう、スグリさん」
「助け船たぁ、意外だな」
スグリ、ヨーコとカキツバタを一瞥し、
「……コソコソと裏で糸引いてるみたいだけど、ヨーコと戦えるのは、俺にとっても望むところなんだよ」
「へっへっへ、そいつはよかった」
スグリ、ヨーコを見て、
「……ヨーコ」
ヨーコもスグリを見る。
「──俺とやるまで、負けたら許さない」
「……当然。負けやせんわ」
「……なら、いい」
ニイッ、と笑うスグリ。不気味という他ない。ヨーコも顔が引き締まる。
「パルデアのチャンピオンだかなんだか知らないけど、以前の俺とは違うってこと、頂上で見せてやるから」
言いながら去るスグリに、ゼイユが、
「スグ! ヨーコにそんな言い方……」
「ねーちゃんはだまってて」
ゼイユも見ずに拒否するスグリ。
「──勝ち上がってくるの、楽しみにしてる」
去るスグリ。何も言えないゼイユ。周囲からも疑問の声。
「あれがチャンプに対する態度かよ」
「こわいね……」
「留学生の子、大丈夫かしら」
そんな中でも声をかけるヨーコ。
「ゼイユさん」
「──ごめんヨーコ! スグ、感じ悪かったでしょ?」
すぐに謝ってくれるゼイユ。うつむき、
「あたしもひさびさにしゃべったけど、ほーんと、ヤな感じ……」
「チャンピオンさまは、とってもえらいでやんすからねぃ」
カキツバタもため息まじり、ゼイユ即座に、
「カキツバタ! アンタ、ヨーコをブルベリーグにまきこんだでしょ!」
「いやいや、これ本人の意思よ? なぁヨーコ!?」
「ええ」
正直にうなずくヨーコ。
「ほらいい返事! 人間ってのは、生まれたからにゃあドデカいことやりてぇもんな!」
「なーんかあやしいけど……」
ゼイユ、ジト目でカキツバタを睨む。
「ゼイユさん、うちが参加したかったんは本当よ。丁度ポケモン勝負の腕を磨きたかったとこやし、売られた勝負は買わんと、チャンプの名前が泣くし」
(それに、スグリさんをこんなんしてしもうたんは間違いなくうちじゃ。落とし前は、きっちりつけんと……)
「へっへっへ、さっすがパルデアチャンピオン!」
「そう、ヨーコが言うなら」
ゼイユ、ヨーコに優しく微笑み、
「……やるからにはがんばんなさい。あたしも応援してる。──スグのこと、お願いね」
「うん」
ゼイユも去っていく。
と、
「ヨーコさん、お待たせしました!」
受付の人が声をかけてくれた。
「エントリー完了です!」
「おっと、グッドなタイミング」
カキツバタと共に振り向く。
「改めて確認しましたところ、ヨーコさんは、ブルベリーグに挑戦できます!
通常は一般生徒さんと勝負して勝ち上がるところから始まるのですが、ヨーコさんは四天王数名とシアノ校長からの推薦、何よりパルデアのチャンピオンクラスのトレーナーということで、ランク上位からのスタートです。
なので初めからテラリウムドーム4つのエリアを拠点としている四天王に挑むことができます。スマホロトムに位置を登録しますね」
お互いスマホを出す。マップに場所を登録してもらった。
「なお、四天王に挑戦するには、ブルレクで手に入るBPが必要です! 四天王全員に勝てば、チャンピオンに挑戦できますよ」
受付の人、にっこりと、
「それでは、ブルベリーグ、がんばってくださいね!」
「お世話かけました!」
ヨーコ、ぺこり!
「どいつから挑戦するかはまかせる。四天王と戦う前にゃあ、ちょっとしたお遊びもあっから、乞うご期待だぜぃ?」
「授業の合間に鍛えてやって来ます!」
ヨーコ、キリリ!
「へっへっへ、真面目だねぇ」
カキツバタ楽しそう。
「そいじゃ、ドームで待ってるぜ、キョーダイ!」
手を振り去っていくカキツバタ。
「ありがとうございましたー」
頭を下げ見送ったとたん、ギャラリーが押し寄せてきた。
「すげーなお前! 飛び級かよ!」
「今すぐ勝負してくれ!」
「テラスタル見せてー!」
「わー!!」
そして順番にテラリウムドーム、サバンナエリアの休憩所で勝負。賑やかで明るい空気が流れる。
「ふー、いい勝負だったな」
「パルデアチャンピオンってマジなんだな!」
「テラスタルきれいだった!」
「いえこちらこそ、勉強になりました」
頭を下げるヨーコ。みんな顔を見合せ明るく、
「ううん、こっちも久しぶりに楽しい勝負ができたから。ね!」
「うん!」
「留学生がこっちいる間でもうちのチャンプになってくれれば、今よかだいぶマシになるのにな」
「あ、それ思った!」
「しっ、声が大きいよ!」
複雑な気持ちになるヨーコ。