season3 24話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
『いざ、パルデアの頂点(てっぺん)へ』
24.『チャンピオンテスト・面接試験』
コサジの実家に立ち寄るヨーコ。
「ちいと通りかかったけ、立ち寄ったんじゃ」
「丁度夕飯じゃけ食べていきんさい。今日アルデネーノの大安売りじゃったけ多めに買うたんよ。ポケフーズもあるけえね」
すずにすすめられ、夕食の準備に加わるヨーコ。途中で周作とハネすけ、径子とムーコが帰ってくる。
食卓をみんなで囲んでいる時に、明日リーグに挑むことを伝えるヨーコ(とうもろこしごはんと野菜スープと肉詰めカボチャ)。応援するすず達。
*
学校に帰り、なんとなく眠れない気がしてコロンをもらいに医務室へ行く。
「夜分に失礼しまーす」
「ようこそー、ミモザの医務室へー」
ミモザ先生が出迎えてくれた。
「あ! ヨーコ! よく来てくれたわ!」
「ミモザ先生、何だか嬉しそうですねえ」
「えへへ、あたしね、なんと……」
頬を両手で押さえるミモザ先生。にこにこ。
「なんと?」
「養護教諭の試験受かったの!」
「よかった! おめでとうございます!!」
「本当、ありがと! ヨーコが宝探しでチャレンジしてるの知ったら、あたしもがんばんないとって思ったんだ」
ミモザ先生照れ隠しに、
「まあ、半分以上は自分の努力のおかげだけどねー!」
「あはは……」
ミモザ先生、ヨーコを見て、
「ヨーコ、背中押してくれてありがと」
少しむくれて、
「でもさー、今年度は新しい授業やる枠がないんだって! しばらくは医務室のミモザ先生やってるよ」
「ありゃあ、それは残念」
「でも、いつかはこの学校で教壇に立つから!
そんときはビシバシ保健教えてあげるよ! ミモザ先生の授業、楽しみにしててよねー!」
「はい!」
その後、寮の部屋でベッドに入りながら、
(いよいようちの番じゃ。がんばらんとね)
※ミモザ先生からコロンの他げんきのかたまりとかもらったりした。
コロンの香りで眠りにつくヨーコ。
*
翌日。寮で身支度をし、自作の朝食(焼いたスモークきりみとキュウリの和え物、ご飯と味噌汁)を食べ学校を出てポケモンリーグへ向かう(ここで北條家の様子。それぞれヨーコを気遣う)。
建物の入り口あたりまで来ると、ちょうどオモダカが出勤してきたところだった。
「あ、おはようございますトップ」
「おはようございます、ヨーコさん」
ニコニコ顔で挨拶するオモダカ。何だか嬉しそう。
「いよいよ、ポケモンリーグに挑戦されるのですね」
「はい」
「チャンピオン・ネモやお父さまからお聞きしているかとは思いますが、チャンピオンランクになるための最後のテストは、こちらの建物、リーグ本部でおこなわれているのです」
建物を見上げるヨーコ。
(ここがお父さんの働いとるとこ、そしてこの地方最高峰の場所……!)
「ヨーコさんのご健闘を心より祈っております。後ほどお会いできるのを、楽しみにしておりますよ」
「はい! がんばります!」
満足げにうなずき、本部に入るオモダカ。スタッフが扉の前に立つ。
ヨーコ、深呼吸し、
「おはようございます!」
「はい、おはようございます。ポケモンリーグ、チャンピオンテストに挑戦される方ですね?」
「はい! お願いします!」
「えーと、グレープアカデミーの、北條陽子さんですね。お持ちのジムバッジは8個……と!」
ドキドキしてるヨーコ。スタッフ、ロトムスマホを操作し、
「はい! それでは面接室にお入りください」
ということで中へ。面接室は入ってまっすぐのところだった。
深呼吸してノック。
「どうぞ」
中から声が。
「失礼します」
入室し、面接官を見てぎょっとするヨーコ。
なんと、メガネをかけたチリ。
全てを見透かすような瞳のチリ、
「おはようございます。北條陽子さんですね」
「はい。おはようございます」
挨拶をかわす。
「本日はお越しくださりありがとうございます。どうぞお掛けください」
生唾を飲みながらも、
「ありがとうございます」
リュックを横に置き、椅子に腰かけるヨーコ。
(面接官の人怖いって言うとったん、このことか……)
学校で小耳に挟んだ話に、しみじみ納得してしまう。
「面接官のチリです。これより、チャンピオンテストの第一次試験……、面接試験を行います」
チリ、デスクのパソコンを見て、
「えーと、お持ちのジムバッジは……、おお、8個ですか!」
ヨーコに向き直る。
「今からヨーコさんに、いくつか質問をさせていただきます。回答によっては、その時点で不合格となる場合もございますので、ご注意ください」
「はい」
うなずくヨーコ。
「それでは、始めます……」
チリの目が厳しく光る!
*
周作のシーン。そわそわしつつも冷静に仕事。同僚も気遣わしげ。
一方のヨーコ、最初の質問。
「本日はどのようにしてお越しくださったんですか?」
「歩きで来ました」
「それはいいですね」
笑うチリ。でも営業スマイルなのでヨーコは緊張ほぐれない。
「現在通われている学校の名前を教えてください」
「グレープアカデミーです」
心中で首をかしげながらも答えるヨーコ。チリ再び営業スマイル。
「そうでしたね」
目を閉じ、
「本日はポケモンリーグまで、何をしに来られたんですか?」
「チャンピオンになるためです」
少し間があって、
「ええ、ええ、それ以外ありませんよね」
再び聞くチリ。
「では、チャンピオンになってどうなさるおつもりですか?」
「色々ありますけど、ネモさんと勝負したいです。誘ってくれた友達と決着つけたいし、今もきっと、うちとの勝負を待ってくれとると思いますから」
「なるほど、そうでしたか」
チリ営業スマイル。
「続いて、8つのジムの中で、最も苦戦したのはどこですか?」
「ほうですね……」
ヨーコ、じっくり考え、
「フリッジジムです」
「ほほう」
うなずくチリ。
「では、そのジムで勝負したジムリーダーの名前は?」
「ライムさんです」
間があり、チリ笑って、
「しっかりと覚えていますね」
(間違うたかと思うた……)
胸を撫で下ろすヨーコ。
「ライムさんのポケモンのタイプは覚えていますか?」
「ゴーストタイプです」
ここも間があり、やがてチリの口角が上がる。
「素晴らしい」
またまた胸を撫で下ろすヨーコ。
「チャンピオンテストにたどり着ける実力をお持ちだということは、ヨーコさんはたくさんのポケモンと出会ってきたと思います。その中でも、最初に相棒になったポケモンの名前及び分類は覚えていますか?」
「ピチュー、こねずみポケモンです」
ぴっかりさんのピチュー時代を思い出すヨーコ。
「さすがです」
チリ、またまた営業スマイル。再び真顔。
「申し訳ありません。同じ質問を繰り返させてください。ヨーコさんはチャンピオンになって、どうなさるおつもりですか?」
「えと、ネモさんと勝負したいです」
戸惑いつつも答えるヨーコ。チリ、黙ってモニターを見て、
「すみません、そうでしたね」
営業スマイル。
「それでは、最後の質問です」
背筋を一層ぴんと伸ばすヨーコ。
「ヨーコさん、──ポケモンは好きですか?」
ヨーコ、ここで初めて笑みを浮かべる。
「もちろん、──大好きです!」
堂々と晴れやかな顔で答える。
それを見たチリ、目を閉じ黙り、そして……。
「お疲れさん」
にっこり笑う。営業スマイルじゃない感じ。
「以上で、質問は終いや。──ヨーコ、おめでとさん。一次試験……、面接試験、合格や!」
ほっ、とため息つくヨーコ。
「さすがの一発合格。ネモ以来初やないか?」
「ネモさんも?」
少し驚くヨーコ。
「ああ。あれはまさに打てば響くってやつやったな。自分よか結構テンション高めやったけど」
「あ、ああ……」
ヨーコ、妙に納得。
「さ! 気持ち切り替えて次の試験や」
顔を引き締めるヨーコ。
「二次試験は四天王とのポケモン勝負……、その名も、実技試験!」
「実技試験……!」
「あ、そのまんまやないかーいってツッコミはなしな」
にっこり笑うチリ。
「あ、はい」
「パルデアリーグ選りすぐりの、4人のポケモントレーナーとの連続勝負。激しい戦いになるさかい、しっかり準備してから奥の部屋に進みや」
「はい!」
ということで、技の見直しと順番の見直し、ポンさんの仮面を一緒に確認したりして奥の部屋に進むヨーコ。
廊下を進み、バトルコートの部屋へ。
静かにきあいだめをしていると、後ろからドアの開く音が。眼鏡を外したチリがやってくる。
通りすぎ、少し驚くヨーコの前に立つチリ。
「それじゃあ、さっそく始めよか」
「──はい」
うなずき、身構えるヨーコ。
「四天王の露払いはこのチリちゃん! うんとかわいがったるから、せいぜい……、きばりやぁ!」
不敵に笑うチリ! 実技試験開始!