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season8 1話 ポケモン×この世界の片隅にクロスオーバー(ポケモンAYG)
『実りある人生を!』
1.『テラスタルオーブ、途絶えぬきらめき』
season7のラストの翌日。
オモダカへの報告や出版社とのあれやこれやで忙しいブライアをよそにフツーに授業を受けるヨーコ(3時間目、サバンナエリアでのドーム生態・捕獲研究)。
※エリアゼロ調査は学外活動レポートとして提出したため、結構単位もらえた。
(スグリさん達、お父さん達のとこ寄ってからキタカミに行く言うてたけど、今会うとるかね……)
授業終わりと同時に、
ディンドンダンドーン♪
『放送室より生徒のお呼び出しです。グレープアカデミーよりお越しのヨーコさん、ブライア先生から連絡です。1-4の教室へいらしてください。テラスタルに関する大事なお話があるそうです』
ドンダンドンディーン♪
急いで1-4へ。
「失礼します」
ブライア以外珍しく誰もいなかった。
「やあヨーコくん、よく来てくれたね!」
ブライアにっこり。
「ゼロの大空洞での疲れは癒えただろうか?」
「そりゃもちろん」
「さすが若いね! 私なんて数日経ってもまだ疲労が残っているよ!」
ブライア少しため息(帰ってきてから3日経ってる)。
「まあ、あれだけテンションあげあげじゃあ……」
ヨーコ苦笑い。
「ほうじゃ、お話というのは」
「ああそうだった」
ブライア、ハッとして、
「ヨーコくん、君のテラスタルオーブを見せてくれないか?」
「え、あ、はい」
ヨーコ、テラスタルオーブを取り出し見せる。
「やはり……、スグリくん、ゼイユくんのオーブと同じ反応を示しているね」
「どがな反応なんです?」
「スグリくんたちが言っていたんだが、大空洞後オーブをチャージせずともテラスタルできるようになったそうだよ。大空洞でテラパゴスのエネルギーに直に触れたからかもしれない」
ブライア、うなずき、
「そして! 大空洞関連でもうひとつ共有事項があってね。テラリウムドームの天井にぶらさがっているテラリウムコア! あれには以前から私がパルデアの土やてらす池の水をたびたび注入していてね。その結果学園内でテラスタルを安定して使えるようになっているのだが……」
「だが?」
「先日大空洞で採取した結晶を入れたら、コアの性質が変容してね。ドーム内で虹色にかがやくテラスタイプ:ステラのポケモンが出現するようになったのだよ!」
「え、大丈夫なんですかそれ」
「テラスタルの研究がはかどっていっそうかがやいてしまうね!」
「はあ」(汗)
「報告は以上だ! 時間を割いてくれてありがとう! 私はこれから大空洞での調査本の執筆に取りかかるので、失礼するよ」
「ありがとうございましたー」
ヨーコ、ブライアを見送る。
*
部活の時間。
リーグ部の部室にて、カキツバタ&アカマツ。
「カキツバタ先輩! なんか……、裏でやってただろ!?」
「おっ、いきなりだな。オイラが何やったって?」
詰めるアカマツだが、へらへらカキツバタ。
「なんか……、むずかしいけど……、ヨーコと……、組んで……?」
頑張って頭をひねるアカマツ。カキツバタはげます。
「おっ! いい線いってるぞ。がんばれぃがんばれぃ!」
「リーグ部を……、前みたいに……? スグリを……、なんとかする……?」
「あれ? 意外とやるな!? もうひと声だアカマツ!」
励ましてるのだか貶してるのだかわからない言い方なカキツバタ。アカマツとうとう噴火!
「……だーっ! わかんねー! オレは頭使うの苦手なの!」
「あらら、残念」
しょんもりカキツバタ。
「とにかく! 嫌われ役ばっかりやってると嫌われちゃうよ!」
必死に言うアカマツ。
「次なんかやるときは、オレに相談してよね!」
「へっへっへ……、違えねえ」
どことなく嬉しげなカキツバタ。ここでヨーコ、部室に入る。カキツバタが出迎える。
「おーすチャンピオン、3日ぶりだねぃ」
「ただいまでーす!」
「ヨーコ! ちょうどいいところに!」
アカマツきりり。その間に、カキツバタ椅子に座る。
「君に一言言っておく!」
「は、はい……」
ヨーコおされる。
「スグリとの勝負! 強火でアツかった!! キタカミから帰ってきた負けなしだったスグリをコテンパンにするなんて! そりゃブルベリーグを一瞬で燃えあがっていくはずだよ!」
「は、はあ……」(汗)
「そして! ヨーコがチャンピオンになると、スグリが四天王に落ちてくるワケで……、そうなると四天王で最弱なオレが、ザンネン……、都落ちってことになる!」
肩を落とすアカマツ。
「あ、ほ、ほうよね。ごめん……」
思わず謝るヨーコ。
「いやー、マジでツレーよ! でもルールだししかたないさ!」
しょんもりながらも、明るく笑うアカマツ。
「それに、リーグ部前みたいな空気に戻ったし、オレ的にはこっちのがうれしい!」
アカマツ、ヨーコを見る。
「ヨーコのおかげ! 直火で言いたかったんだ! ありがとね!」
「うん! こちらこそ!」
ドアがノックされて、
「アカマツー、料理教えてー」
ひょっこり顔出した他の生徒。
「あいよっ! じゃあねヨーコ。今度勝負で燃えよう!」
「うん!」
アカマツを見送るヨーコ。
「改めて、ブルベリーグお疲れさんだったな」
カキツバタしみじみと言ってくれる。
「チャンピオンが変わったおかげで、張りつめてた空気がやわこくなった! だからああして前みてえにリーグ部員以外の連中も来てくれるようになったんだ。久夫も喜んでたぜ」
「それはよかった」
ヨーコもにっこり。カキツバタ少ししょんもりして、
「──ツバっさん的には、スグリとも楽しくやりたかったんだけどよ……。……思い描いたようには、なかなかうまくいかないねぃ」
「──きっといつか! また一緒に色々出来ますよ」
ヨーコ、別れの時を思い出し励ます。カキツバタふっ、と笑い、いつも通りの調子で、
「さすが現チャンピオン! いいこと言うぜ!」
それから詫びてくれる。
「……キョーダイのこと、利用したみてえになっちまったな。そんなつもりはなかったんだけどよ。
オイラもちぃとマジになっちまった。それについては、改めてまた詫び入れさせてくれーい」
静かに笑ってうなずくヨーコ。ふと気づいて、
「あ、そういえばタロさんとネリネさんは?」
「ああ、それなら」
カキツバタの言葉を引き継ぎ、
「お待たせしました! ネリネ先輩は生徒会だそうですよ」
と言いながらタロも入ってきた。
「タロさん!」
「ヨーコさんおかえりなさい!」
「ただいまです」
「スグリくんたちと行ってた校外活動はどうでした?」
「いやー、色々大変でした」
たはは、なヨーコ。
「ですよね! 本当にお疲れさまです」
うなずくタロ。
「パルデア地方の大きな穴で調査をされてたんですよね」
「はい」
タロ、ちょっと顔をしかめ、
「というか、留学してすぐパルデアまで戻らせるの……、ちょっとひどくないですか?」
「うーん、まあ、たしかに……?」
「ですよですよ! そういうの、よくないと思います!」
タロ、バッテンマーク。軽く頭を抱え、
「この学園、自由すぎてそういうとこあるから……」
「ほうですねえ……」
ヨーコもため息。
「よくないなーって思ったことは、きちんと指摘していきましょうね!」
タロ、そこではたと気付き、
「そうだヨーコさん、今いいですか?」
「ええ、どうぞ」
「ありがとうございます。ヨーコさんが外出していた間のリーグ部のこと、報告しますね」
「お願いします」
「まず……、混乱を防ぐため、ブルベリーグのランク変動を一時的にストップしました!」
「ほいじゃあ、アカマツさんは四天王のまんまかね!」
「です! アカマツくんにはわたしから伝えますね!」
「ありがとうございます」
「そして、留学生がチャンピオンになれるルールを正式に追加しました! スグリくんが変えちゃった部の規則できびしいものは見直して戻しました!」
タロ、ふんす、と、
「……などなど、けっこういろいろやってたんですよ!」
「ありがとうございます。お疲れ様です」
「……あ! ごめんなさい! 恩着せがましく聞こえちゃったかも」
わざわざ詫びてくれるタロ。
「いえいえ」
タロ、ヨーコごしにカキツバタをにらみ、
「……カキツバタはあいかわらず会議中、寝、て、た、け、ど!」
ヨーコ(汗)。カキツバタ、お菓子をぼりぼり食べながら、
「ん? 何だって?」
「まったく、どうしてあんなにちゃんとしないんだろ」
タロやれやれとしつつも、
「ヨーコさんからも何か言ってやっていいですからね。……以上! リーグ部の近況報告でしたー!」
と、タロ膝を打って、
「あ、それと! もう少しお話いいですか?」
「え、ええもちろん!」
タロの勢いに少しびっくりなヨーコ。
「スグリくんがチャンピオンだったとき、けっこう部の空気重たくて……、それがイヤで部活から離れちゃった人もいるんですよ」
「ほうですよね……」
「……そこで!」
タロにっこり。
「新チャンピオンのヨーコさんに、これからのリーグ部の新しい方針を決めて欲しいんです! 何かいいの、あったりしますかね?」
「そりゃあやっぱり、清く明るく元気な勝負を! じゃと思いますです」
「『清く明るく元気な勝負を!』……、うん! いいと思います!」
タロ嬉しそう。
「これで部の空気、もっといい感じになりそうですね!」
ふう、と一息つき、
「これでやらなきゃいけないことはあらかたかたづいたはず……! どっと疲れちゃいました……」
タロ困り顔。
「かわいいをシェアして癒されたいなぁ」
「ほいじゃあ」
ヨーコ、ぴっかりさんとポンさん、さんさん、ちっちらさんを見せる。
「うちの女子組をなでなでどうぞ!」
「わあ、ありがとうございます!」
ぴっかりさん以下素直になでなでされるメンバー。それぞれの魅力を熱く語るタロ。
その時突然、ドドドと生徒たちが部室に押し寄せる!
*
口々に新部長と勝負させてほしいと意気込む生徒たち。ヨーコが新チャンピオンに就任したと聞いて練習試合の申し込みが殺到していたらしい。呆然としていると、カキツバタが、
「さーて、リーグ部部長として、いよいよ活動スタートだねぃ」
「へ? 部長!?」
ヨーコぱちくり。
「どういうことです?」
「あらら? 言ってなかったか? リーグ部の部長はブルベリーグチャンピオンがやんのよ」
「ほうなんですか!? 今知りました!」
「そりゃ失礼! そういうわけなのよ!」
カキツバタ笑って、
「まぁオイラが一番強かったときも、あえてチャンピオン名乗らねえで四天王みんなで部長業持ちまわってたんだぜ! ……めんどくせえから」
「え、ええ……」(汗)
「そういうわけで、なんかあったらオイラ達がケツ持つから、部長はどーんとかまえてろぃ」
「カキツバタが言っても、あまり説得力ないんだけど!」
タロ、ツッコんでヨーコににっこり。
「ヨーコさん、ご心配なく! ヨーコさんがパルデアに帰るまで、しっかりサポートしますからね!」
ということでタロが順番を整理してくれ、
「じゃあカキツバタ、今日こそは四天王の仕事やってもらうから!」
「オイラがやったらミスだらけで、かえって仕事増やすぜぃ?」
「それは……、そうかもだけど!」
タロちょっと口ごもるも、
「まず……、やる気! やろうとする気持ちが大事! だから立って! ほら書類持ってきて!」
「えー、だりぃよー、ねみぃよー、かったりぃよー」
「そういうの、よくないと思います!」
タロ、バッテンマーク! しかし負けじとカキツバタ、
「オイラはいいと思いまーす!!」
「なっ……!?」
ぐぬぬなタロ。
「まあまあ、ちいとくらいはやったってつかあさいカキツバタさん」
「……ま、運ぶくらいならやったるかぁ」
カキツバタ、どっこいしょ。タロひそひそ。
「ありがとうございますヨーコさん! あとで何かおごります!」
*
オーブの試しがてら、申し込んだ生徒たちと勝負するヨーコ。みんな勝った。そしてチャージしなくても確かに途切れない。
みんな口々に褒め称えてくれる。
「あなたの勝負見てたらファンになっちゃった!」
「オレもチャンピオン目指してもっとがんばるよ」
「パルデアにはあなたみたいな強い人いっぱいいるのね」
「わたしもあなたみたいに強くなりたい」
嬉しくなるヨーコ。一緒に勝負していこう、と宣言。士気は最高潮。ブルベリに新しい風が吹き始めていた。