雷鳴
雲行きは怪しい
いえ、とうに予測出来ていた今
神経質な雨は 激しいテンペストに変わり
不穏の中に、勇気でも無鉄砲でもなく
諦観の心のままに
一歩踏みでた私を びっしょりと濡らす
足りない もっともっと
望むべきは轟く一撃の雷鳴
飛べない羽を持つ私の
おぞましい輪郭を溶かすほどに、
優しく打ち据えよ 粉々に壊せよ
そして
休息の闇の中にー
あぁ、雨粒と同化出来たなら
やがて何者か形状も窺い知れぬ程に
崩れ、それは只のかつては私であったと私が知るのみの
モノ、温かみの消えた抜け殻と化し
捨てられた人形のように、誰かが踏み潰すか、路側帯に蹴飛ばすか
轢き殺されるか
ただただ消滅を望む
もしも、奇特な人が拾い上げ
連れ帰るなら、そのモノは息を吹き返すであろうか