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2010-2018年におけるノロウイルス感染による入院と死亡のリスク
はじめに
ノロウイルスは比較的予後が良い感染症ですが、感染者の中には重症化し、死亡する例も報告されています。しかし、その割合やリスクについて疫学的な評価を行った報告はあまりありません。今回ご紹介する論文は、米国の退役軍人病院を受診したノロウイルス感染症患者のデータをもとに、ノロウイルスによる感染が入院および死亡率に及ぼす影響を推定しています。
経緯と方法
2010年1月1日から2018年12月
集中治療室における気管支鏡検査に伴う水痘・帯状疱疹ウイルスの擬似集団感染
はじめに
軟性気管支鏡(以下、気管支鏡)は、気管支や肺胞の検査、肺の浸出液吸引のために急性期病院では広く利用されています。気管内にも微生物が常在しているため、気管支鏡の再生処理が拙い場合は、気管支鏡を原因としたアウトブレイクが発生する可能性があります。
今回ご紹介する論文は、集中治療室(ICU)において、気管支鏡の洗浄・消毒不良が原因と推定された播種性水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)による擬似集団
米国の病院における医療従事者へのインフルエンザワクチン接種義務化の傾向
はじめに
日本ではインフルエンザワクチンを義務化している病院がどのくらいあるのか不明です。米国も同様でしたが、その疑問に答えるべく、全米におけるワクチン接種義務の状況を調査した結果が、米国医師会雑誌(JAMA)に掲載されました。日本でもそうですが、米国でも医療従事者にはインフルエンザのワクチン接種が勧奨されています。病院には感染弱者が多数来訪するため、医療従事者からのインフルエンザ感染を防ぐ意味で
医療従事者における手指衛生の有効性比較 最新のシステマティックレビュー
はじめに
世界保健機関(WHO)は、手洗いならびに手指消毒の方法として、6ステップ法を提唱しています(図の2-7)。この6ステップ法による手指衛生は手指表面の微生物低減にどの程度有効か明確ではありませんでした。
今回ご紹介する論文は、WHOが英国の研究センターに委託し、6ステップ法の有効性を他の手指衛生方法と比較・検証したレビューです。
方法
Medline、CINAHL、ProQuest、