ゲームと私[作品別編]:モンスターメーカー
私が中学から高校にかけて、ロードス島戦記の
影響を受けてダンジョンズ&ドラゴンズなどの
テーブルトークRPGをプレイしていた頃のこと。
当時アナログゲーム(まだ”ボードゲーム”という
呼称のほうが一般的だった)といえばタカラや
エポック社が発売する低年齢やファミリー層向けの
もの(人生ゲームがその代表例)か”重量級”の
ウォーシミュレーションなどが主流だった。
そこへカードゲームという取っつきやすいジャンルと
キャッチーなかわいいイラストで、国内のアナログ
ゲーム界に転機をもたらした作品が登場した。
それが『モンスターメーカー(以下MM)』である。
当時としては割と短時間(今見るとそれなり)で
手軽に遊べるルール、それでいてプレイヤー同士の
駆け引きなどもしっかり盛り込まれたデザインで
TRPGに夢中だった私たちを虜にした。
私は高校時代、部活でTRPGをプレイしそれを元に
ロードス島戦記のようにリプレイや小説を書いて
いたのだが、それらの創作活動にちょっとした
支障をきたすくらいには遊んだものである。
ルールをおおまかに説明すると、5枚の手札から
距離が書かれた迷宮の回廊カードを場に出す。
この距離だけ迷宮を進んだことになる。
一定の距離を進むと迷宮の奥に辿り着いた事になり、
そこで財宝を入手。今度は同じ手順で迷宮を戻り
脱出する、というものだ。
もちろん一筋縄では行かない。
他のプレイヤーを妨害するためにモンスターや罠を
配置したり、置かれたモンスターを排除するために
冒険者カードを出して戦わせたりと、いかに他者を
足止めしながらいち早く脱出するかの駆け引きが
繰り広げられるのだ。
”MM”はシリーズ化され、いくつもの派生作品が
誕生。そのどれもが面白いのだから”困る”。
さらにメディアミックス展開も当時としては
幅広いジャンルで行われている。
ゲームと世界観をデザインされた鈴木銀一郎先生に
よる『ドラゴンライダー』『ナルド預言書』を
はじめとする小説、九月姫先生によるコミック
『モンスターメーカーサガ』、ボードゲームや
テーブルトークRPGなどその世界設定を活かした
別ジャンルへの展開などだ。
中には私の友人でもある河村有木生さんが
デザインを担当された
『門星明華学園 The Makers Academy』もある。
おそらくこれがもっと後の時代であったなら、
アニメ化も充分に有り得たのかもしれない。
ゲームボーイやファミコンなどでも主にRPGとして
「カードをめくりながら迷宮を進む」という
独特のシステムでコンピュータゲーム化されている。
この電子ゲーム化に携わっていたのが
『デジタルデビル物語 女神転生』を手掛けた
鈴木銀一郎先生の実子、鈴木一也さんというのが
実に興味深いところだ。
現在でもアークライトが発売しているリメイク版が
入手可能である。ボードゲームカフェなどで
プレイ可能な店舗もあるので、もしご興味を
持たれた方は試しに一度遊んでみてほしい。
時間を忘れてみんなでワイワイ遊ぶ、今では
なかなかそんな機会がなくなってしまったが、
やはり卓を囲んで遊ぶ感覚は忘れ難いものだ。