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(90)厚生年金保険の特定適用事業所について その7

 「四分の三基準」について、ごく簡単に触れていきます。

 1週間及び1ヶ月間の所定労働時間がその会社(特定適用事業所など)で働く正社員の「3/4以上」という要件(「四分の三基準」)を満たさない場合であっても、次の「4要件」をすべて満たす場合には、短時間労働者(パートタイマーなど)は、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入することになります。

☆☆☆☆☆資料116 ~ 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の更なる適用拡大に係る事務の取扱いについて(令和4年3月18日/保保発0318第1号・年管管発第0318第1号/)

①四分の三基準について。

 1)1週間の所定労働時間及び1月間の所定労働日数の取扱い
      ・・・ 1週間の所定労働時間及び1月間の所定労働日数と
          は、就業規則、雇用契約書等により、その者が通常の
          週及び月に勤務すべきこととされている時間及び日数
          をいう。

 2)所定労働時間または所定労働日数と実際の労働時間または労働
   日数が乖離していることが常態化している場合の取扱い
      ・・・ 所定労働時間または所定労働日数は4分の3基準を満
          たさないものの、事業主等に対する事情の聴取やタイ
          ムカード等の書類の確認を行った結果、実際の労働時
          間または労働日数が直近2月において四分の三基準を
          満たしている場合で、今後も同様の状態が続くことが
          見込まれるときは、その所定労働時間またはその所定
          労働日数は四分の三基準を満たしているものとして取
          り扱う。

 3)所定労働時間または所定労働日数を明示的に確認できない場合の取扱
   い
      ・・・ 所定労働時間または所定労働日数が、就業規則、雇用
          契約書等から明示的に確認できない場合は、実際の労
          働時間または労働日数を事業主等から事情を聴取した
          上で、個別に判断する。

②短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取得基準
    ・・・ 施行日以後、四分の三基準を満たさない者で、次の1~4
        までの4つの要件(以下、「4要件」)を満たすものは、
        健康保険・厚生年金保険の被保険者として取り扱う。

 1)1週間の所定労働時間が20時間以上であること。

 2)報酬の月額が8万8千円以上であること。

   ※「報酬」は、最低賃金法で賃金に算入しないものに相当するものを
    除く。

 3)学生でないこと。

 4)以下のいずれかの適用事業所に使用されていること。

    a)公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国
      民年金法等の一部を改正する法律(以下、「年金機能強化
      法」)附則第17条第12項及び第46条第12項に規定する
      特定適用事業所(以下、「特定適用事業所」)。

    b)特定適用事業所以外の適用事業所のうち、労使合意により、事
      業主が適用拡大を行う旨の申出を行った事業所。
      (「任意特定適用事業所」)

      ※「特定適用事業所以外の適用事業所」は、国または地方公共
       団体の適用事業所を除く。

    c)国または地方公共団体の適用事業所。

参考までに ~ 

③「短時間労働者」が上記の「4分の3基準」を満たさない場合でも、次に
 あげる要件をすべて満たす場合には、被用者保険の被保険者(短時間労働
 者)となります。

 ※社会保険の内容を説明するサイトの多くでは下記の1~4を「4要件」
  と呼んだり、厚生労働省の資料などでは下記の1~3と5を「4要件」
  と呼んでいます。

 1)週の所定労働時間が20時間以上であること。

 2)賃金の月額が88,000円以上であること。

 3)学生でないこと。

 4)2ヶ月を超えて継続して雇用されることが見込まれること。

 5)「特定適用事業所」、「任意特定適用事業所」や国・地方公共団体に
   勤務していること。


★★★★★資料116はここまで ~


 今回はここまでです。またよろしければ次回(12月15日予定)もお読みください。

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