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あのぉ、人事戦略ってなんですか

 人事に戦略という名前がついたのは、アメリカのミシガンビジネススクール教授、デーブ・ウルリッチが1996年にHRBPという用語を作り出し、外資系企業を中心に紹介されるようになった時期からでしょうか。ビジネス戦略と整合性のとれた人事が戦略人事である、これまでの人事とは違うのだよ…というご主張です。が、私、どんなに考えてもしっくりきません。
 そもそもこれまでも日本では労政企画とか、人事企画という仕事がありました。当時は給与制度の設計、就業規則の改定がその主な業務内容で労働組合担当が華であった時代です。ただ、総じて裏方的な役回りでした。それが、2000年代以降、労務費の抑制や労働法の改正が相次ぎ、これらに対応することが最大の課題になってきました。人事システムが導入され、担当者にプロジェクトマネジメントの力量が求められるようになってきました。一方、長引く不況の中、人件費の上昇抑制が経営の重要な課題になり、「人事制度改定」という言葉に不穏な響きが出てくるようになった時代でもありました。確かに法対応やコスト抑制の前にやむなく、という受け身的なものばかりですが、これはビジネス上のニーズに沿っています。まさに人事企画の仕事は戦略人事なのです。
 さて、「新しい資本主義」は、働き方改革2.0と言われています。副業・兼業、リモートワーク等が含まれますね。目利きの利いた会社は、いち早く制度改定を行い、それを対外的にアピールすることで、採用ブランドの強化につなげています。
 「何をやるか」よりも、「ちょっと先」の制度を入れていくことが、「戦略」になりそうですね。