中小企業の社長のちゃぶ台返しについて
1、社長のちゃぶ台返し
やる気のある社員とリーダーが必死になって作った企画を、やっとの思いで完成させた直後、社長が独断で企画変更するというのはよく聞く話である。
それがセンスの良い判断だったとしたら、社員も納得がいくのだが、
いわゆる企業をここまで生き延びさせてきたと言う根拠のない自信による「感」で決めるパータンの時は本当にたまったもんではない。
それをやって良いのは、最終的にみんなが納得できる結果を生むカリスマ経営者だけだ。
社長の「感」をなめてはいけない。
と言う意見があることも重々承知しているが、ただただひっくり返したいだけじゃないかと思うことが良くある。
その「ちゃぶ台返し」があまりにも腹がたつので、一度思い切って聞いたことがある。
私「社長がいつも最後に出てきて、企画をひっくり返すのはなぜですか?」
社長「中小企業の社長ってそんなもんだろう」
私「は・・・?」
責任とれば良いって話じゃない。
多くの中小企業で、社長のちゃぶ台返しによる損失は計り知れない。
コレって日本特有ってわけでもないのかな、、、
2、考えない社員が生まれる。
「結局最後は社長が決めるから、このミーティングは無意味だよね」と言った会話を頻繁に聞く。
いくら知恵を振り絞っても、社長の傾聴力がなければ活かされないわけで。
優秀な社員や、やる気のある社員が評価されないと言う環境は、本当にモチベーションが上がらないし、考えない社員が生まれる。
そのくせ社長は「社員は意見を言わない」だの、「責任感がない」だのと言う。
そらそうだ。意見を聞いてないんだし、責任を持たせていないのだから。
しまいには「君たちにはセンスがない」などと言いだす。
センスがあるかどうかは分からないが、少なくとも社長よりは「現代を生きるいち顧客としての感覚は備わっています」と言いたい。
3、ターゲットは社長ではない。
和食さとの社長があるインタビューでこんなことを言っていた。
社員が提案した企画に口出しをしたら、「ターゲットは社長ではありません」と言われました。と
和食さとの社長はその言葉を素直に受け入れ、口出しするのを辞めたそう。
ハッキリと伝えた社員も社員だが、社長の器も大したものです。
コレを全国の社長に聞かせてやりたい。
社長は今までの経験と自信で判断してしまう。
が、時代も環境も大きく変わっている。
時にはその判断が成功につながる事もあるが、企業と社員の成長はない。
社長の感が鈍ったら会社は終わる。
4、ちゃぶ台をひっくり返せなくする。
ちゃぶ台返しの対策としては、「ちゃぶ台の足を固定する」か「ひっくり返した気にさせる」か「みんなで一緒にひっくり返す」かだと思う。
・「ちゃぶ台の足を固定する」
ちゃぶ台の足を固定するためには、とにかく社長への報連相をこまめにする事だと思う。
企画のパーツ1つ1つについて社長の了承を得ている、という状況にしておけば、最後にちゃぶ台をひっくり返される確率が下がる。
手間だしスピード感遅くなるけども、確実に進めるならコレ。
足の固定を破壊する場合もあるが、、、
・「ひっくり返した気にさせる」
どうしても最後にガラッと変えたいという欲望を抑えきれないのであれば、メイン企画のちゃぶ台の横に、サブ企画のサイドテーブルを用意しておく事だ。
そして、サイドテーブル中心に意見を社長に求め、そちらは好きにひっくり返してくださいで進める。
そうすればみんなの夕飯は守られる。
・「みんなで一緒にひっくり返す」
あとは、社長をしっかりミーティングの場に同席させて、しっかりと社長の意見を聴きながら進める事だ。そうすれば最後に大きな変更があっても、みんな共犯なので、みんなで一緒にちゃぶ台をひっくり返すことになり、後で文句も出にくい。
文句が出ないためにやっている訳ではないが、勝ち目の見えない理不尽な企画変更の発生はマジでいかん。
社長の「いいからやれ」が口癖として頻出している企業は本当に良くない。
そういう社長が悪なのではなく、それを許す企業文化が悪である。
「社長が言うから仕方ない」で終わらすのではなく、仕組みとして改善すべきだ(と、ひたすら自分に言い聞かしている)。