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管理職の部下を動かすコミュの本
はじめに
本書は、実践で使える管理職に必要な部下を動かすためのコミュニケーション(=コミュ)のコツを紹介する本です。
ビジコミュ研修講師としてのキャリア38年のまとめです。
紹介するコツは、「コミュニケーションの決め手の9割は感情コミュニケーションの影響力」といった観点からのものです。
誤解のないように、管理職にとって部下への働きかけには論理のコミュはとても重要です。
ただ、その働きかけを受け入れてもらうための影響力は感情コミュが9割ということです。
ちなみに、私はこれまで管理職研修を数社で5年以上、長いところで10年担当しました。
ここでアドバイスした9割は感情のコミュに関するものでした。
つまり、論理に関してはできているということです。
紹介するコツの効果は、研修で実証済みです
内容は、文章とイラストに3分未満のYouTubeショート動画(限定公開)を加えて紹介しています。
本書の構成は、各項目完結型にしていますので必要な項目から、あるいは必要な項目だけをお読みいただけます。
会社を団体や組織と、お客様を住民やステークホルダーといった言葉に変えていただければ、どの業種や職業の方にもお役立ていただけます。
なお、動画には「どの関係においても押さえどころは同じです」といった観点から、他の関係のものも含めております。
言葉づかいと非言語による表現は、実際には相手や内容、状況に合わせて変えていただく必要があります。
本書が、あなたのビジネス・パフォーマンスのサポーターとしてお役に立てれば幸いです。
田中義樹
第1章 指導・支援のキーワード
1 言葉は気持ちをつくる
部下を伸ばす指導・支援においては、相手に前向きな言動につながる言葉を返してもらうことが大事です。
言葉は、自分の気持ちや考えを伝える手段であるだけではなく、言葉を発した人の気持ちを、よりその言葉が意味する気持ちにするものです。
つまり、相手に前向きな言葉を発してもらうと、相手の言動がより前向きになるということです。
会話のきっかけづくりや会話の展開を切り替えるときには、「○○さん、ちょっといい?」といった問いかけによって、相手から「いいですよ」という了承の言葉をもらうようにします。
また、相手の主体的な言動につなげるためには、
「○○については、何をすればよいと思う?」
「○○について、より良いものにするにはどういう行為・行動をとっていく?」
といった問いかけによって、実践すべき行為・行動を相手に話してもらいます。
詳しくは後述します。
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「人を動かす3つのポイント」(youtubeショート動画限定公開)
2 話を聴いてくれる人はいい人
話を聴くことは、「あなたに好意を持ち、興味を持ち、関心を持っているよ」といった意思表示です。
好意には好意が返ります。
また、聴くことで相手の気持ちや考えを汲み取ることができます。
つまり、的確な働きかけができるようになります。
そして、前述の項目1に関連して、思いや考えを表現してもらうことで主体的な言動につなげることができます。
メンバーの主体的言動度を高めるためには、相手の話をきちんと聴くことが大事なのです。
そこで、話を聴く際ですが、次のことを心がけるようにします。
①うなずきながら聴く
②途中でさえぎらない
③適時適切な相づちを入れる
④話は受けてから切り替える
まず、「①うなずきながら聴く」ですが、うなずきによって「あなたの話を、好意を持ち、興味を持ち、関心を持って聴いているよ」という気持ちを伝えながら聴くようにするということです。
加えて、うなずく際には気持ちを目線で伝えるようにします。
次に、「②途中でさえぎらない」ですが、こちらは相手の話を早合点によって中断させたり、途中でそらしたり、「でも、…」「しかし、…」で返すといったことをしないようにするということです。
相手からすると、「私の話をちゃんと聴いてくださいよ」といった不快な気持ちになるものです。
しかも、これによって肝心なことを聞き逃す可能性もあります。
そして、「③適時適切な相づちを入れる」ですが、相手の話の肝心なことをきちんと聴くために「相手が気分よく話せるよう適時に適切な相づちを入れるようにしましょう」ということです。
相手としては、気持ちが伝わる相づちや理解を深める相づち、発展させる相づちが入ると気分よく話せるものです。
「あなたの話を前向きに聴いているよ」
という気持ちを伝えるためには、
「○○については、そうだよね」
「○○になって、それはよかったね」
といった共感や配慮の気持ちを伝える相づちや、
「ほぉー」「いやぁー、すごいね」
といった感嘆の気持ちを伝える相づちを入れます。
また、相手の話への理解を深めるためには、
「そして?」「それから?」といった話を前に進める相づちや、
「○○をしたんだね」「○○とは、○○ということ?」
といったオウム返し的な相づち、自分の言葉にして返す相づち、
「○○については、どうだったの?」
といった質問を入れます。
そして、相手の話を発展させるためには、「○○から見ると、どう?」といった新たな気づきを生む質問を入れるようにします。
質問については、後ほど詳しく紹介します。
ちなみに、相手が最も気持ちよく話しているときの相づちは、感嘆の相づちだと言えます。
さらに、「④話は受けてから切り替える」ですが、こちらは事情によって最後まで聴けない場合や相手の話の途中で質問や説明を入れる必要がある場合には、相手が言い切るまで聴いて、そこから展開を切り替えるようにするということです。
この話の切り替えは、前述②の話を途中でさえぎらないということともに、話を聴く際に特に配慮すべきことです。
そこで、相手の話を切り替える際ですが、それにはクッション言葉を入れて、相手から了承の言葉をもらうようにします。
たとえば、
相手が話している途中に、
「ごめん。今から会議なんで、ここまでにして」
と返すのと、
「なるほど、それは○○だよね。ごめんなさい。ちょっといい? 今から会議なもので、続きは会議が終わってから聞かせてくれる。ごめんね」
といった感じで返すのとでは、
どうでしょう?
後者だと、相手は快く受け入れてくれるはずです。
「話の聴き方」(youtubeショート動画限定公開)
3 イラっときたときこそソフトに!
メンバーを伸ばす指導・支援において、最も難しいのは自身の感情をコントロールすることだと言えます。
イラつきが生まれかけたときには、グッと我慢をして、自身が求めていたレベルや必要な方法などに関しての「なぜ?」を考えてもらうか、教えるようにします。
ここは忍耐です。
「ダメじゃない。もう一回やり直し」
「こんなの常識でしょ。ちゃんとやってきて」
「言ったことぐらいはちゃんとやってくれない」
「○○のレベルぐらいまではやってほしいな」
「もういいよ。私がやるから」
といったマイナス感情をストレートに吐き出してしまうと、この場がお互いのマイナス感情の醸成の場になりかねません。
誤解のないように、これは何も叱ることを否定しているわけではありません。
前述のマイナス感情の吐き出しは「怒る」であって、「叱る」ではありません。
「叱る」はメンバーを伸ばすための働きかけであり、改善点を指摘したうえで成長への気づきを生むことです。
ちなみに、私としてはメンバーを叱って伸ばせる管理者は素晴らしい管理者だと思います。
叱りが効果を発揮するのは、信頼関係ができているからこそです。
話を戻しますが、自分が求めていることを教えるか考えさせるかは、相手の主体的言動につなげるという観点から、相手に合わせて判断するようにします。
4 人はプラス展開を快く受け入れる
メンバーへの指導・支援においては、相手の気持ちをマイナスにしないことと、成長への働きかけというスタンスからのプラス展開を心がけるようにします。
前項3の「イラっときたときこそソフトに!」にも関連するのですが、人はプラス展開を快く受け入れるものです。
たとえば、イラつきが生まれるようなやり取りにおいて、
「それだったら、○○ということだから○○をするといいよ」
と教えるとか、
「それだったら、○○を参考にして『なぜ?』を整理して提出してくれる。今後の○○さんの成長につなげようよ」
というように対応すると、相手のモチベーションも上がり、前向きな取り組みへとつながるはずです。
また、その他の場合においても、メンバーとのやり取りにおいては、相手にマイナス感情からの「何で、ですか?」を言わせないようにします。
たとえば、メンバーからの質問に答えられない場合や受け入れられない提案に対して、「知らない」「それは無理だね」といった返しをすると、相手からは不快感を伴った「何で、ですか?」が返ってきがちです。
これを、
「ごめん。○○については○○ということで、今は答えられない」
「それについては○○ということで、できない」
といった返しにすると、どうでしょう?
相手は不快感を覚えることなく、気持ちを前に進めることができるでしょう。
そして、可能であれば、
「もしよかったら、○日くれない。それだったら答えられるんだけど」
「それだったら、○○の視点から見直してみるとよいのでは」
といったプラス展開の対応にすれば、より「相手のため」を生むことになります。
さらに、項目2の「話を聴いてくれる人はいい人」のところでも述べていますが、プラス展開という点では、「でも」「しかし」「そうは言っても」といった言葉を、「それだったら」「それについては」に換えるようにすることも大事です。
加えて、「遅い」は「慎重」に、「不平」は「意見」に、といったプラスの言葉に換えることもしかりです。
5 感謝には感謝が返る
「ありがとう」と言われて、不愉快になる人はまずいないでしょう。
「ありがとう」あるいは「ありがとうございます」という言葉は、お互いの気分をよくしてくれる言葉です。
「またその人のために何かをしてあげよう」という気持ちを生む言葉です。
メンバーへの感謝の気持ちは、素直に伝えるようにします。
「ありがとう。手伝ってくれると助かるよ」
「○○さん、ありがとう。あなたのお陰で納期に間に合ったよ」
「昨日はありがとうね。○○さんの提案のお陰で、例の企画が採用されたよ」
といった感謝の言葉によって、メンバーのモチベーションは上がり、主体的な言動へとつながるのです。
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たとえ、メンバーとのやり取りがマイナスの展開になったとしても、ここはプラス思考で、より良いものにする時間をもらったことへの「ありがとう」を言うようにします。
たとえば、
「○○については受け入れられないですね。おかしいですよ」
に対して、
「何を言ってるんだよ。やってもらわないと困る。もう今日は時間がないから、いい。またにしよう」
と返したのでは、相手のマイナス感情を増幅させかねません。
これを、
「私としては○○なので、あなたはわかってくれると思ってる。今日は時間も時間だからまた明日話そう。大切な時間をありがとうね。お疲れさま」
と返すと、どうでしょう?
相手の気持ちが前向きになることが読み取れるでしょう。
このことは、相手が「やってられないよ」といった捨て台詞を言って、その場を去ろうとする場面においても重要です。
背後から「○○さん、大切な時間をありがとう」といった言葉を投げかけると、相手は時間の経過とともに冷静になり、「ちょっと悪かったかな。明日は前向きに話そう」といった気持ちになるものです。
何事もプラスでまとめることが大事です。
このように、これまで述べた心がけをまとめると、「プラスではじめ、プラスの展開をし、プラスでまとめる」ということが重要なのです。
「部下とのやり取りでの心がけ」(youtubeショート動画限定公開)
第2章 メンバーのモチベーションを高めるポイント
1 自分の気分がよくなるあいさつをする
メンバーを伸ばす第一歩は、相手のモチベーションを上げるあいさつです。
そのためには、次のことを心がけるようにします。
①あいさつでの声と顔の表情を自分の気分がよくなるレベルする
②あいさつ言葉の語尾まで体と目線を相手や周囲に向ける
気分は伝染します。
こうした心がけによって、お互いのモチベーションが上がってきます。
気持ちが沈みそうな声と顔の表情でのあいさつや、体も目線も向かないようなあいさつを想像してみてください。
これ以上は説明するまでもないでしょう。
また、管理職としては、あいさつに対する反応から相手や周囲の心の状態を汲み取ることも大事です。
明るいあいさつが返ってくれば、「相手や周囲は乗っているな」とわかります。
逆であれば、「体調不良や何か問題を抱えているのかな」ということがうかがえます。
あたり前と思えることをやり続けることは難しいことです。
意外とそうはなっていないという状況をよく見かけます。
自分の気分がよくなるあいさつは、メンバーのよき模範となるべき管理職にとって大切な心がけです。
2 関心を伝える
人は好意を持って受け入れられていると感じると、モチベーションが上がってきます。
そして、相手にも好意を持つものです。
好意には好意が返ります。
メンバーのモチベーションを上げるためには、相手に対する関心を伝えるようにします。
それには、次のようにします。
①相手の近況への関心を伝える
②その場での相手への関心を伝える
③相手に対する人からの情報への関心を伝える
まず、
「①相手の近況への関心を伝える」ですが、
「○○さん、昨日のパートナーとのテニスはいい感じだったね」
「ええっ、見ていたんですか。なんか、照れますね」
「いいじゃない。ホットな気分をいただいたよ」
といった感じで、相手の近況への関心を伝えます。
次に、
「②その場での相手への関心を伝える」ですが、
「○○さん、何かいいことがあったみたいだね」
「ええ、わかりますか?」
「顔に書いてあるよ。今日もいい一日にしたいね」
「そうですね」
といった感じで、その場での相手への関心を伝えます。
そして、
「③相手に対する人からの情報への関心を伝える」ですが、
「○○さん、○○さんから聞いたんだけど、○○で入賞したんだって。おめでとう」
「ありがとうございます」
「これからが楽しみだね」
「頑張ります」
といった感じで、相手に対する人からの情報への関心を伝えます。
こういった声かけは、メンバーのモチベーションを高めるベースになるものです。
また、こういった関りは、
「あの、ちょっといい?」
「えぇ、いいですけど、何ですか?」
「実は、…」
といった感じで、相手を対話に誘う際にも使えます。
3 共通の体験や情報を話題にする
人は、共通の体験や情報、近い体験や情報を持っていると親近感を覚えるものです。
ですから、前述の相手への関心に共通の体験や情報、近い体験や情報を加えると、相手の気持ちの中に親近感が生まれ、対話に誘いやすくなります。
たとえば、近況に関しては、
「○○さん、昨日のA社の○○は大変参考になったね」
「そうですね。特に、○○には感心しました」
「そうだよね。うちでもあれを参考にして○○をやろうよ」
「ええ、やりましょう」(前向きな展開)
といった感じの展開です。
次に、人からの情報に関しては、
「○○さん、A社の○○さんから聞いたんだけど、同郷なんだって」
「そうなんです。先日の○○会でお話しした際に知ったんですけどね」
「実は、私は彼とは学校が同じでね。しかも、4年間サークルも同じという仲なの」
「ええっ、そうなんですか。びっくりですね」
「○○君は○○だからね」
「そうですね。今、ご指導いただいているところです」(盛り上がり)
といった感じになります。
メンバーを対話に誘いやすくするためには、共通の体験や情報、近い体験や情報を活かすようにします。
4 ほめることを大切にする
メンバーを伸ばすためには、「ほめる」ことを大切にします。
「○○さん、あなたのプレゼンは私たちの気持ちに応える○○な構成にしているんで、とてもわかりやすいね。特に、大事なポイントのまとめを○○さんらしい○○なまとめをしているのには、感心した」
「ありがとうございます」
このようにほめられると、誰もが前向きな気持ちになるのではないでしょうか。
ここで言うほめるとは、相手のよいところにスポットを当てて、そこを表現することを言います。
ほめることで、相手のモチベーションを上げることができます。
また、ほめることで、相手からは「ありがとうございます」という言葉が返ってきます。
ほめることは、お互いのモチベーションを上げるものです。
そこで、「ほめるには」ということですが、それには次のことを心がけるようにします。
①ほめる対象の焦点をできるだけ絞る
②できるでけ早いタイミングでほめる
③適切な場でほめる
まず、「①ほめる対象の焦点をできるだけ絞る」ですが、こちらは焦点の絞り度が相手のうれしさの度合いになります。
たとえば、
相手のある言動に対して、
「○○さんの○○は素晴らしいね」
と言うのと、
「○○さんの○○だけど、○○部分が○○といった工夫がされていて、素晴らしいね」
と言ったのでは、後者のほうが相手にとっては、よりうれしいはずです。
つまり、後者のほうが焦点が絞られており、相手にしてみれば、より関心を持って見てもらっているという気持ちになるからです。
また、ほめる対象そのものにも気をつかうことも大事です。
その対象としては、相手の言動やセンス、実績などを対象にするようにします。
次に、「②できるだけ早いタイミングでほめる」ですが、基本的には文字どおり、「ほめる」ことはできるだけ早いタイミングで行うようにします。
「○○さん、○○試験合格、おめでとう」
「はい、ありがとうございます。私も先ほど知ったばかりなんです」
の場合と、
「ああ、忘れてた。○○さん、○○試験に合格したんだよね。おめでとう」
とでは、
相手のうれしさが違ってきます。
後者だと、相手は「何だ、忘れるほどのことか。私にはあまり関心がないんだな」という気持ちになりがちです。
そして、「③適切な場でほめる」ですが、ほめる際には効果的な場でほめるようにします。
周囲のモチベーションを上げるような内容については、みんなの前でほめるとよいでしょう。
ただし、
「○○さんの○○は素晴らしいね。うちの中では君にかなう者はいないよ」
「ありがとうございます」
になると、
本人は優越感が味わえても、周囲のモチベーションを下げかねません。
周りに人がいる所やみんなの前でほめる際には、周囲に嫉妬心が生まれないように配慮する必要があります。
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5 第三者のプラス評価を伝える
項目4のほめることに関連するのですが、人は複数人や第三者からのプラス評価もうれしいものです。
特に、第三者が相手より影響力のある人の場合には、そのうれしさは相手からのものを超えると言えます。
たとえば、複数人の場合、
「職場のみんなが、あなたの○○については一目置いてるよ」
「後輩たちが、○○さんのことを模範とする先輩だと言ってたよ」
といった感じで伝えます。
また、影響力のある人からのものとしては、
「○○さん、○○社長があなたの○○部分を○○だとほめておられたよ」
「A社の○○部長があなたの○○がいいね、と言っておられたよ。よかったね」
といった感じにします。
どうでしょう?後は言わずもがなです。
ちなみに、ほめるとお世辞は違います。
お世辞は過度に称えたり、根も葉もないことを言って煽ることを言います。
誤解のないように。
お世辞がよくないと言っているのではありません。
お世辞にも相手の気持ちを乗せるというプラス面があります。
そこで、お世辞の活用ですが、それにはユーモア感覚で活かすようにします。
ただし、ほめること以上に目的や相手、場をわきまえる必要があります。
「○○さんは凄いねえ。ええ~、10年に1人出るか出ない人だね」
「またまた、人を乗せるのがうまいんだから。何か魂胆があるんでしょ」
「さすが、○○さん。察しがいいねぇ。実は、○○さんだからこそ、ということでお願いがあるんだけど…」
「まいったなぁ~。いいですよ。やりましょう」
とか、
「ここだけの話だけど、○○ができるのは○○さん、君しかいないんだから」
「また冗談を。よく言いますよ。まいったなぁ~。いいですよ」
といった展開は「あり」です。
いくぶん関連しますが、「○○さんだから、わかってくれると思うけど」といった相手の自尊心への働きかけも、場合によっては有効です。
6 励ますことを大切にする
前項4及び5のほめることと同様に、メンバーのモチベーションを上げるためには、励ますことも大事です。
ここでの励ますとは、相手の行ってきたことを認め、自信を持たせることを言います。
ただの「頑張れ」では励ますことにはなりません。
「頑張れ、頑張れ」と、言うのは簡単です。
しかし、相手からすると、よりプレッシャーがかかり、たまったものではないでしょう。
「○○さんはこれまで○○をやって来たんだから、普段どおりやればいいと思うよ。自信を持ってやったら」のほうが本来の力を発揮しやすいはずです。
「頑張れ」と言いたいのなら、自信を持たせることを話したあとに言うようにします。
そこで、「励ますためには」ということですが、それには日頃からメンバー言動に関心を持っておく必要があります。
励まし度が好意の度合いです。
そういう意味では、「頑張れ」しか言わない管理職は失格です。
何事においてもそうですが、人は常に高いモチベーションを維持できるものではありません。
仕事をしていると、悩むことも、落ち込むこともあります。
投げ出したくなることもあります。
メンバーにすれば、そういった心理状態のときの管理職からの励ましは助かるものです。
7 協力の気持ちを伝える
管理職にとって、メンバーを伸ばすためにはやって欲しいことをできるだけ任せるようにします。
ただし、場合によっては協力することも必要です。
その判断は、「メンバーの自律のため」というスタンスからのものにすることが大事です。
たとえば、その場の相手の状況からして協力が必要だと感じた場合には、
「○○さん、頑張ってるね。手伝おうか?」
「○○さん、深く考え込んでいるみたいだけど、私で役に立てそうかな?」
といった声かけをするようにします。
または相手の目線に立って、
「実は、私も○○さんのころに○○といった失敗をしたことがあってね。気持ちはわかる。この経験をいい経験にしたいね。今後の成長につなげるために○○を一緒に考えようよ」
とか、
「○○さんの経験からすると、○○については○○といった問題意識を持っていると思うんだけど、私も協力するから、一緒に解決策を考えようよ」
といった声かけをすることも大事です。
加えて、見た感じや察した感じについて言う場合には、プラス表現を意識するようにします。
たとえば、
「元気がなさそうだね」
「落ち込んでいるみたいだね」
といった相手の気持ちをさらにマイナスにするような表現はできるだけしないほうがよいでしょう。
また、相手の目線に立つ場合に関連して、自慢話や「○○ぐらいはできると思うけど」といった上から目線の表現も控えるようにします。
このように管理職から協力を伝えることは、メンバーを伸ばすだけでなく、
共創の組織風土づくりにもつながるものです。
「部下への日常の関わり方」(youtubeショート動画限定公開)
「部下をお願いや説得の対話に誘う4つの方法」(youtubeショート動画限定公開)
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