人前での説明に自信がつく本
はじめに
本書は、実践で使える人前での説明のコツを紹介する本です。
プレゼン研修講師としてのキャリア38年のまとめです。
紹介する技法は、簡単かつ即効性があり、いろんな場面に応用が利く技法です。
ちなみに、私はこれまでプレゼン研修を十数社で5年以上、長いところで15年担当しました。
実は、私が行っているビジネスコミュニケーション(=ビジコミ)に関する研修で直ぐに効果が実感できる研修が「プレゼン研修」です。
1日研修ですが、本人も事務局も感心するほど変わります。
紹介するコツの効果は、研修で実証済みです
内容は、文章とイラストに3分未満のYouTubeショート動画(限定公開)を加えて紹介しています。
本書の構成は、各項目完結型にしていますので必要な項目から、あるいは必要な項目だけをお読みいただけます。
なお、本書では人前での説明としていますが、1対1でもご活用いただけます。
例としている言葉づかいと非言語による表現は、実際には相手(=聞き手)や状況、内容に合わせて変えていただく必要があります。
加えて、巻末には「あがりを早く平常心にもどす方法の動画」を添付しています。
本書が、あなたのビジネス・パフォーマンスのサポーターとしてお役に立てれば幸いです。
田中義樹
第1章 言語による表現の押さえどころ
1 内容のまとめ方で大事なこと
(1)大事なポイントをまとめることの重要性
プレゼンは、その内容を相手(=聞き手)に受け入れてもらってこそ意味を成します。
受け入れるかどうかを決めるのは相手です。
そして、相手は自分にとっての大事なポイントを早く知りたいものです。
プレゼンにおいては、内容のまとめ方がカギになります。
そこで、内容のまとめ方ですが、それには相手の立場から大事なポイントをまとめるようにします。
たとえば、
「新しい○○システムを導入することで、○○のコストを3割削減することができます」
といった感じにします。
(2)大事なポイントの表現は
大事なポイントをまとめる際には、ワンセンテンスをできるだけ短くして、その表現を印象度の高いものにします。
相手は、わかりやすく伝えてほしいのです。
たとえば、
「今回の○○器は、これまでのものよりはずいぶんと精度が高いものでして、ですから今後は、これまでよりはかなり早く○○危険域を確認することができるようになりますので、○○器に交換することによって○○コストを削減することができるということです」
を、
「今回の○○器は、現在使用中のものよりは○○精度が30パーセント高くなっております。これによって、これまでよりは○時間早く○○危険域を確認することができます。つまり、○○器に交換することによって、○○コストを1割削減することができるということです」
とすると、どうでしょう?
このように、大事なポイントのワンセンテンスを短くし、その表現を数字を使うなどして印象度の高いものにすると、伝える効果を高めることができます。
加えて、ワンセンテンスにまとめる際には、頭の中で「ひと言でいえば」でまとめるようにします。
そうすることで、よりまとめやすくなります。
(3)大事なポイントの数は
大事なポイントは3ポイントまでにします。
それは、大事なポイントが3ポイント超えると、大事なポイントとしての意味をなさなくなってしまうからです。
大事なポイントは、増えれば増えるほど訴求力が弱くなり、内容がわかりにくくなってきます。
たとえば、
「新しい○○を導入することのメリットですが、主なものとしては3点ございます。まず1点目が、…。2点目が、…。3点目が、○○です」
とするところを、
「新しい○○を導入することのメリットですが、主なものとしては5点ございます。まず1点目が、…。2点目が、…。3点目が、…。4点目が、…。5点目が、○○です」
とすると、どうでしょう?
大事なポイントを3ポイントまでにすることの効果がおわかりいただけると思います。
(4)大事なポイントをまとめることのメリット
大事なポイントをワンセンテンスにまとめることには、次のようなメリットがあります。
①自信を持って話すことができる
②自分らしさを活かした伝え方ができる
③相手の理解度・納得度を高めることができる
④質疑応答を充実させることができる
まず、「①自信を持って話すことができる」ですが、大事なポイントがワンセンテンスにまとめられるということは、話す内容がきちんと整理できいるからこそです。
それだけに、自信を持って話すことができるようになります。
次に、「②自分らしさを活かした伝え方ができる」ですが、それは大事なポイントの表現技法によって自分らしさを活かすことができるということです。
たとえば、言葉グセがマイナスに受け止められるようであれば、大事なポイントのところだけクセを入れずに話すようにします。
そうすると、マイナスに感じられたクセが気にならなくなります。
そして、徐々にそのクセが少なくなってきます。
また、声の小さいタイプの場合は大事なポイントを強く話すようにします。
そうすると、声の小さいことがマイナスに感じられなくなります。
そのうちにマイナスに感じられた部分も解消されてきます。
これらの方法については、後述します。
そして、「③相手の理解度・納得度を高めることができる」ですが、
それは大事なポイントを
「テーマを言った後」
「話のまとめの部分」
「話を転換するところ」
等で話すことによって、次のような効果を生むことができます。
・話への注目度・興味度を上げることができる
・話の筋道をハッキリさせることができる
・話の展開にメリハリがつけられる
・話の訴求力を高めることができる
さらに、「④質問応答を充実させることができる」ですが、前述に関連して、大事なポイントが印象づけられると、相手からすれば質問や意見表明がしやすくなります。
つまり、それだけ質疑応答が充実したものになるということです。
ちなみに、プレゼンは「ライブ」です。
文章のように、固定してはいません。
ですから、大事なポイントは数回聞いても邪魔にはならないものです。
むしろ、大事なポイントは何度か聞きたいはずです。
(5)内容のボリュームは
プレゼンでは、内容を効率的かつ効果的に伝えることが大事です。
相手は早く的確に内容を伝えてほしいのです。
また、相手からすると、プレゼンの内容は必要最小限のもので十分なのです。
逆に、提案者からすると、
「あれも、これも伝えたい」
といったサービス精神や、
「あれも、これも伝えないと理解してもらえないのではないか」
といった気持ちが働くものです。
しかし、それは相手にとっては迷惑な話です。
「あれもこれも聞かされる」と、かえってわからなくなってしまいす。
これでは効率がよくありません。
ただし、誤解のないように。
ここで「必要最小限のものを揃えるように」と述べているのは、一般的に多く揃えがちだからです。
また、大事なポイントを支える内容については、次の点に注意をして選ぶようにします。
①信頼度の高いものを使う
②鮮度の高いものを使う
まず、「①信頼度の高いものを使う」ですが、分析結果や事例、他者の見解や他社の取組み状況などを使う際には、信頼度の高いものを使う必要があります。
一見、理にかなっているようでも、その資料や情報が信頼できるものでなければ意味がありません。
そのためには、出所をハッキリさせておくことが大事です。
また、「②鮮度の高いものを使う」ですが、現在のようにテンポの早い社会では、鮮度が重要です。
話材集めには、人的ネットワークを広げることと、友人や知人との会話を大切にします。
こうした会話での情報は、誰もが見られるものよりは価値がありがちです。
「話の内容のまとめ方」(youtubeショート動画限定公開)
2 話の構成には
(1)内容を効率的かつ効果的に伝えるには
プレゼンでの内容を効率的かつ効果的に伝えるためには、話の構成を相手の気持ちに応えるものにします。
相手は自分にとっての大事なことを早く知りたいのです。
その気持ちに応えるためには、前置きの後にテーマを言ったら、相手が最初に知りたいことから話していきます。
この話の構成としては、次の構成をおススメします。
まず、ここでいう「案内」は、相手を話に誘う部分です。
ここでは、テーマを示します。
次に、「注目」・「興味」ですが、ここは相手の注目度や興味度を上げる部分です。
ここでは、相手の「どういうもの?」「どういうメリットが?」「どうして?」に応えます。
「注目」では、大事なポイントのうちの相手が最初に知りたい大事なポイントを話します。
「興味」では、次の大事なポイントを話します。
そして、「理解・納得」ですが、ここは相手の「詳しく教えてくれない?」に応える部分です。
ここでは本論を話します。
最後に、「採用」ですが、こちらは相手の「ぜひ採用しよう」につなげる部分です。
ここでは、大事なポイントを再度話して、採用を促してからまとめます。
こうすることで、相手に「なぜ?」をきちんと認識してもらいます。
たとえば、次のようにします。
「このように、当社の新サービス『ひとりで安心』は、皆様の安心と安全を24時間サポートするというものです(大事なポイント)。既存の公的サービスを補完するサービスです(大事なポイント2)。ひと月の費用が4000円と他の同類のサービスよりもお得になっております(大事なポイント3)。ぜひ、導入をご検討くださいますよう、よろしくお願いします。以上、皆様の安心と安全を24時間サポートする『ひとりで安心』をご提案させていただきました。ありがとうございました」
この例では、3つの大事なポイントを話していますが、全てにするのかそのうちのいずれかにするかは、話の流れや相手によって変えるようにします。
ここでの話の構成の展開例をシンプルに紹介すると、次のようになります。
「(前置き)それでは、○○についてのご提案をいたします(テーマ)。本提案は、○○の年間コストを100万円削減させるためのものです(相手が最初に知りたい大事なポイント)。それは、現在の○○を新しい○○に換えることによって可能になります(大事なポイント2)。新しい○○は○○よりは○○効率が20%高くなります(大事なポイント3)。具体的に申しますと、…(説明)…。このように、現在の○○を新しい○○に換えることによって、○○の年間コストを100万円削減することができるということです。是非、新しい○○への交換をご承認くださいますよう、よろしくお願いいたします」
「案内」→「注目」→「興味」→「理解・納得」→「採用」の展開は、
ひと言でいうと「テーマを言ったら相手が最初に知りたいことから話す展開」です。
なお、ここからは、「案内」「注目」「興味」までの部分を「導入」、「採用」の部分を「まとめ」として説明をしていきます。
「プレゼンでの話の展開法と展開を変える方法」(youtubeショート動画限定公開)
(2)テーマへの入り方
前述(1)の「案内」の部分で大事なことは、次の2つです。
①テーマをはっきりと示す
②相手に合わせたテーマへのつなぎをする
そこで、テーマへの入り方ですが、それには次のいずれかをお勧めします。
①場の雰囲気をなごませてから入る
②ほめてから入る
③同意をつくってから入る
④関心度を高めてから入る
まず、「①場の雰囲気をなごませてから入る」ですが、次のように相手の笑いを誘ってからテーマを話します。
「すみません。今、ドキドキしています。この緊張状態をほぐす方法はひとつしかありません。(間)それは、みなさんがうなずきながら聴いてくださることです。よろしくお願いします。(笑い)それでは、○○についてご提案させていただきます」(その場の気持ちを話材にしたもの)
といった感じです。
次に、「②ほめてから入る」とは、次のように相手の「ありがとう」の気持ちを生む話をしてからテーマを言います。
「先ほど、このたび御社で開発されましたストレス解消ゲームを体験させていただきました。これまでのものからすると○○な感じで体感度がずいぶん向上していることを実感しました。お陰さまで、いま、非常にいい気分です。ありがとうございます。それではこれから私どもの○○ついてご提案させていただきます」(本番前の体験を話材としたもの)
といった感じです。
そして、「③同意をつくってから入る」ですが、相手の「私もそう思う」といった気持ちを生む話をしてからテーマにつなぎます。
「先般、全社員を対象に職場での人間関係上の問題点についてアンケートを取りました。それによると、1位が感じのよい挨拶の不足、2位が他部署との交流の不足、3位が報告・連絡・相談の不足という結果でした。この上位3つの問題はいまのうちに対処しておかなければ、近々に生産性を下げる大きな要因になりかねないと言えます。そこで、その問題を解消するための重要な手段となる○○研修実施のご提案をさせていただきます」(実際に調査した結果を話材としたもの)
といった感じです。
さらに、「④関心度を高めてから入る」ですが、相手の「へぇ~、すごい!その話を詳しく聴きたい」といった気持ちを生む話をしてからテーマに入ります。
「昨日の○○新聞の経済欄をご覧になりましたでしょうか。私どもがこのたび開発いたしました○○技術を紹介しております。手前味噌になるのですが、『今後は○○分野において主流になる技術である』といった○○大学○○教授のコメントも併せて載せております。実は、今からご提案いたします○○は、その○○技術を取り入れたものです。それでは、○○についてご提案させていただきます」(新聞に紹介された事例を話題にしたもの)
といった感じです。
加えて、どの方法をとるにしても、話材としては次のようなものを使うようにします。
①その場で感じたこと
②それまでに自分が「見たり」「聞いたり」「体験」して感じたこと
③情報に対して感じたこと(ネット情報やマスコミ情報等)
(3)質問を使ったテーマへのつなぎ方
テーマへのつなぎ方としては、前述(2)に加えて、それら4つの入り方のいずれかと質問を組み合わせて使うのも効果的です。
たとえば、
「まず、お伺いします。私は○○費の使途については見直しが必要であると思うのですが、みなさんはどう思われますでしょうか?○○さん、どうでしょう?」
「私もそう思います」
~(他の人にも訊く)~
「ありがとうございます。お二方とも私と同様の考えをお持ちなので心強いです。この場が、よりよい考えを引き出す場になればと思います。それでは、まず私から○○費の新たな使い道についてご提案をさせていただきます。この提案は、…」(自分の考えに対する質問)
といった感じでテーマにつなぎます。
あるいは、
「○○については○○が潮流となっていますが、○○さんは、どのような考えをお持ちでしょうか?」
「○○の方向で進めていく必要があると思います」
~(他の人にも訊く)~
「ありがとうございます。私も同感です。それだけに、後ほどお知恵をいただければと思います。よろしくお願いします。それでは○○の進め方についてご提案させていただきます。まず、私の進め方のポイントとしては、2点あります。…」(世情に関する質問)
といった感じにします。
質問の内容としては、次のような質問を活用します。
①自分の思いや考えについての質問
②他者の考えや世情に関する質問
ここで意識すべきことは、どの方法を使うにしても、「これから何について話すのか」というテーマを際立たせるものにします。
「プレゼンでの話の導入法」(youtubeショート動画限定公開)
(4)本論を展開する際の心がけ
人に話をするということは、相手の頭の中に話の内容を描き出すということです。
相手からすると、早く「何を話すのか」を知っておきたいのです。
話をわかりやすくするためには、全体的な視点から適時に話の順序を伝えながら話していきます。
特に、長い話の場合には効果的です。
そこで本論を展開する際の心がけですが、それには次のようにします。
①「本論」に入る前に全体的視点から話の順序を示す
②途中で全体の中での位置づけを話す
③「まとめ」で話の展開を振り返る
まず、「①『本論』に入る前に全体的視点から話の順序を示す」ですが、テレビニュースのように事前に主な項目を示すようにするということです。
たとえば、
「導入」と「本論」の間に、
「まずはじめに、企画立案の背景、次に企画概要、そして企画の特徴、企画実施の効果、今後の展開という順序でお話しします。それではまず、企画立案の背景についてですが、…」
というように全体の流れをざっくりと話します。
次に、「②途中で全体の中での位置づけを話す」とは、
「これまでは、企画立案の背景、企画概要、企画の特徴を話してきました。(適当な大事なポイントを話す)。続いて、企画実施の効果ということですが、…」
というように、途中で話の筋道をハッキリさせるために、これまでの話の展開を振り返ります。
さらに、「③『まとめ』で話の展開を振り返る」ですが、
「以上、企画立案の背景、企画概要、企画の特徴、企画実施の効果、今後の展開という順番にお話をしてまいりました。(適当な大事なポイントに触れてから話をまとめる)」
というように、最初からの話の展開を振り返ります。
この例では、文章でいう目次・項目のすべてに触れていますが、どの程度まで触れるかは、相手の立場から判断します。
加えて、第1章1-(4)で述べていますが、話を最後まで関心を持って聞いてもらうためには大事なポイントを活かすようにします。
それには、次の場合に「大事なポイント」を話します。
①余談を入れたあとに話を本論に戻す際
②話の展開が単調になった場合
文章と違って、相手にとって、大事なポイントは何回か聞いてもしつこくないものです。
むしろ、何度か聞いたほうが理解度や納得度が高まります。
また、大事なポイントが頭の中に残るために質問がしやすくなります。
(5)本論の展開の仕方
本論の展開においては、相手や内容に合わせて次のようにします。
①問題解決的に話していく
②時系列的に話していく
③わかりやすい内容から難易度の高いものへと進めていく
④全体がイメージできる内容から具体的なものへと進めていく
3 言語による表現効果の高め方
(1)言葉づかいは
プレゼンの内容を効果的に伝えるためには、「言葉づかい」をわかりやすく感じのよいものにすることも大事です。
まず、わかりやすい言葉づかいという点では、相手の「知識レベル」にあわせた言葉づかいをします。
たとえば、専門家同士や同業者であれば、専門用語や業界用語を使ったほうが短い言葉で内容を的確に伝えることができます。
しかし、そうでない人に使うと、その言葉はわかりにくく、不親切な言葉になってしまいます。
また、感じのよい言葉づかいという点では、プラスの言葉づかいをする必要があります。
プラスの言葉づかいとは、相手の気持ちを前向きにする言葉づかいということです。
コミュニケーションには、感情的なものと論理的なものがあります。
人は、相手に対して、
「何となくイヤだな」
「信頼できそうにない…」
といったマイナス感情を持つと、相手がどんなによいことを言っていたとしても、その論理を受けつけなくなるものです。
プレゼンの内容をまとめる際には、相手の気持ちの中にマイナス感情を生じさせない言葉づかいをするようにします。
それは、ほとんどの場合において、言葉は感覚で受け止められるからです。
たとえば、プラスの言葉づかいという意味では、次のように言い換えると、どうでしょう?
「不平・不満や苦情」→「改善意見」
「理屈っぽい人」→「論理派」
「おしゃべりな人」→「話好きな人」
「契約が古い」→「長くご利用いただいている」
受け止め方が違ってくることが、おわかりいただけると思います。
(2)内容の表現は
説得力を高めるうえで大事なことは、相手が「自分のためになる提案である」と、頭の中にイメージできるように表現します。
相手としては、頭の中に「自分のため」が明確に描ければ「ぜひ採用しよう」という気持ちになるものです。
次のような、自分からの「すごい」や自分にしかわからない抽象的な表現では、相手の「ぜひ採用しよう」につなげる力は弱いと言えます。
①自分からの「すごい」
・わが社が開発した業界初の○○技術を
採用しています
・いま注目の○○を初めて採用しています
②抽象的な表現
・かなりお得になっています
・非常に効果のあるものです
・これまでのものよりはコストがかかりません
以下では、相手にわかりやすく具体的に表現する方法を紹介します。
(3)信頼度を上げるには
まず、数字化が可能であれば、数字で伝えるようにします。
これによって、次のような効果を生むことができます。
①内容を明確にすることができる
②内容への注目度・興味度を上げることができる
③内容への信頼度を上げることができる
次の「改善を必要とする例」と「改善をしたもの」を較してみてください。
【改善を必要とする例】
・すごく売れています
・かなりお安くなっています
・このたびの○○開発には相当な投資をしています。
しかし、5年後にはそれなりの利益が見込まれます。
【改善をしたもの】
・月間にして3万個売れています
・正規料金より3割お得になっています
・このたびの開発には50億円の投資をしています。
しかし、5年後には1億円の利益が見込まれます。
このように、数字化が可能であれば数字で伝えます。
数字は、具体的でわかりやすいだけに説得効果が高まります。
ただし、数字で伝える場合には、十分な根拠のある数字を使う必要があります。
いい加減な数字を使うと、信頼を失うといった数字の持つマイナス効果が出てきます。
(4)大事なポイントを際立たせるには
次に、他のものと比較することで一方を際立たせる技法を紹介します。
たとえば、
大きさの対比においては、
「こんなに大きいと運搬が大変だと感じられると思いますが、組み立て式になっておりまして、分解しますとこのように通常の段ボールの中に収めることができます」
また、
値段の対比に関しては、
「年間10万円というとずいぶんと高いように思われますが、1日にすると274円ほどですから○○のコーヒー代にもなりません」
そして、優劣の対比においては、
「この外壁材は他社の同ランクのものに比べて耐久性は若干劣るものの、耐熱性と遮音性は他社の追随を許さない優れものです。ですから、寒冷地のにぎやかな場所のビルの外壁材としてご活用いただければ、ご期待を超えるものと思っております」
あるいは、
「○○君は、文章力は普通ですが、物事の発想に関しては我社では彼の右に出る者はいません」
とすると、いかがでしょう?
ただし、対比するとか、対比的に表現する場合には、次の2点に配意が必要です。
①プラスの部分を後に持ってくる
②他者あるいは他社との比較の場合には相手方をけなさない
まず、「①プラスの部分を後に持ってくる」ですが、対比した場合には前よりも後ろのほうが際立ちます。
次に、「②他者あるいは他社との比較の場合には相手方をけなさない」ですが、他者あるいは他社をけなすことは、自分あるいは自社の評価を下げることになります。
説得力を高めるためには、対比するとか、対比的表現によって一方を際立たせることも有効です。
「プレゼンでの内容を効果的に伝える2つの方法」(youtubeショート動画限定公開)
(5)説得力を高めるには
次に、相手にとって信頼度が高い第三者を登場させることで説得力アップへつなげる技法を紹介します。
相手にとって信頼度が高い第三者とは、次のような人を言います。
①オピニオン・リーダー
(世論形成をリードする評論家やジャーナリスト、大学教授等)
②ポジション・パワーのある人(経営幹部等の決裁権者)
③実績を上げている人
まず、「①オピニオン・リーダー」に関するものとしては、
「私どもがこのたび開発いたしました○○技術につきましては、あの有名な技術評論家の○○先生からもご推奨いただいております。そして、今回ご紹介いたします○○機は、その○○技術を採用したものでございます」
あるいは、
「今回の調査結果は、○○大学の○○教授の提唱されている解析法を使って行った結果です」
といった例があげられます。
また、「②ポジション・パワーのある人」ということでは、
「今回の企画の発案者は企画部の○○部長でして、私どもとしては何とか成果へつなげたいと思っております。是非ご協力をお願いいたします」
といった感じにします。
そして、「③実績を上げている人」に関しては、
「この営業展開の方法は、営業成績10年間トップを維持している○○さんが行っている方法を組織としての取り組みに応用したものです」
といった感じです。
このように、相手にとって信頼度が高い第三者や事例を持ち出すことで説得効果を高めることができます。
ただし、これらを活かすためには相手との関係を事前にチェックしておく必要があります。
(6)わかりやすく表現するには
わかりやすい伝え方という点では、比喩による表現法を活用するのも効果的です。
つまり、物事を「喩え(たとえ)」で表現すると、内容への理解度・納得度が直感的に上がり説得効果が高まります。
そこで、ここでは比喩による表現法を紹介します。
それには、次の方法があります。
①直喩(明喩)法…「たとえば」といった言葉を使って、
喩えるものと喩えられるものを直接比較して表現する方法
②隠喩(暗喩)法…別のものに置き換えて表現するものの、
表現上には「…のようだ」を出さない方法
③擬人(活喩)法…人間以外のものを人間になぞらえて
表現する方法
たとえば、
「年間520万トンのゴミ」を比喩法によって、
「年間520万トンのゴミと言いますと、10トントラック52万台分のゴミになります。このトラックを1列に並べますと6240キロメートルですから、東京・大阪間5往復以上になります」
といった表現にすると、どうでしょう?
相手はイメージしやすくなります。
その他にも、
「東京ドーム30杯分」
「人件費に換算すると50人分になります」
「彼女の瞳は黒いダイヤのようだ」
といったものがあります。
次に、隠喩法は、
「○○さんは、我が社の知財創出機です」
「彼は我が社の生き字引です」
といった表現です。
そして、擬人法は、
「花が微笑んでいる感じ」
「風がささやく感じ」
といった表現です。
このように、プレゼンでは内容を分かりやすく感じの好い表現にすることも大事です。
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