休職する・させる前に考えてほしい。
休職は簡単
会社を休職するための手続きはとっても簡単。
会社にて
1.休みがちになったりして、人事と相談する。
2.予約しやすいメンタルクリニックを勧められる。
メンタルクリニックにて
3.診察時に会社を休みがちになっていることを伝える
4.すぐに適応障害の診断が下り、診断書を作成してくれる
会社へ戻り診断書を提出し、休職願にサインして、手続き完了。
休職者は増えている?
休職者のリワークプログラム(社会復帰に向けたトレーニングをしてくれるところ)に過去に参加したことがあり、講師の方に話を伺う機会があった。
リワークをやっているところが最近増えていますが、休職者って増えているんですか?と聞いてみた。
それに対する答えが、メンタル疾患への理解が進んできているので、それとともに休職も増えるでしょう、現に増えているのを感じるということだった。
民間企業含めた休職者数のデータは見つからなかったが、公務員のデータを見つけた。休職というと、主にメンタルの疾患というイメージだが、下記グラフで精神及び行動の障害が原因の休職者数がぐんぐん伸びていることがわかる。民間も似たようなものだろう。
実際に精神に疾患がでる人が増えているのか?
病院にいけばすぐ適応障害やうつの診断が出るようになったのが原因か?
切り分けできるデータはみつけられなかったが、気になるところだ。
メンタルの不調への理解は無関心と紙一重
ここ最近メンタルの不調への理解が進んで、休職する人が増えているとのこと。たしかに簡単に休職できたし、会社もなにかあったらすぐ休職を勧める。
理解が進むことはもちろん良いことだが、無関心につながっている気がしてならない。メンタルの不調を持つ人のことを批判しなくなった代わりに、相手のことを知ろうとしない。どうしてそうなったかもあえて触れない。うかつに思ったことを口にして、差別だ偏見だと言われるより、無関心でいるほうが安全だからだ。
すぐ休職をすすめるのは果たして良いことなのか
以前いた会社の様子を思い出す。
落ち込んでいる社員がいたら休職をすすめる。
パフォーマンスの上がらない社員がいたらまず休職。
新しいところに配属された人が、もうちょっとで仕事ができるようになって、面白さがわかるところに来ているんだから、あと一歩だ!というところで、メンタルに不調を抱えて休職。
山登りをしていると、最初は楽しいがだんだん苦しくなってくる。頂上の手前あたりがいちばん苦しい。でも肉眼で頂上がはっきり見えると、がんばろうとやる気が出てくる。
仕事でも、いいところまできているときのほうが、不安になったり苦しかったりする。そんなときに、もうちょっとでできるんだということを周囲の人が伝えて、気持ちの面でも仕事の面でもフォローしていたら、休職せずに一人前の仕事をできるようになっていたかもしれない。
その人をかけがえのない一人の人間として、大切な会社の仲間として扱っていたら、壁を越えられたのに。ということがある。
一度休職した人は、たとえ復帰できても、職場で明るさが戻ることは少なくて、退職してしまう傾向がある。休職したことで離婚や自殺まで追いつめられる人もいる。
会社の利益を考えると、いきなり解雇だと問題になるが、休職なら給与の支払いは不要となり、メンタルヘルスに理解がある感じを出せるので、休職はベストな選択肢なのかもしれない。
しかし休職者が出た職場では、数年かけて周囲の人に影響を与えていく。モチベーションが上がることはなく、退職の連鎖が起きやすくなる。
休職する・させる前に考えてほしい
大抵の人は、悩んでいる人が周りにいても、無関心とか、冷たいと思われるのもいやだから、大丈夫?と声をかける程度だ。社内で休職者がでると、とりあえず噂になるが、特に何か組織や個人としての行動がとられることはまず無い。
私が働いていたころを振り返ると、無関心寄りの対応をしていたと思う。今となっては、人としてそれでいいのか?と心が痛む。
どうすればいいのか、解決策は考えても分からないが、おせっかいなくらいグイグイいく人がいてもいいんじゃないかと思う。組織の中で社員の状態に気を配る役割の人を設けるとかでもいい。
身の回りにいる人くらいは幸せに生きてほしいので、おせっかいしつつ、相手の負担になるようなら、サッと引くくらいの距離感で出来たらいいと思う。もし今後の人生で、組織で働くことがあったら、そういう人に私はなりたい。