君たちはどう生きるか感想
とてもネタバレしますので、気を付けてください。
書きなぐりです。
公開翌日に、新作のジブリを鑑賞するため映画館に足を運んだ。
ポスターはずっと前から見かけていた。鷺の目が二つある青と白のポスター
全然興味もなかった、原作も数年前に読んだがその頃の私には刺さらなかった。
でも、「この監督の作品だから映画をみる」という行動を
今まであまりしたことがなかったから、そんな選択をして行動する自分が
少しかっこいいなと思った。ジブリは母と観に行っていたなぁと思い出に浸ったり。映画館でみたジブリって数えるくらいでロードショーでばかり見ていたなとか。昔の自分と一緒に観る感覚だった。今回は一人で観た。
映画館は前の方で観る。自分だけのスクリーンみたいになる。
周りも気にしなくていい。前の方が人が少ないので気にすることもない。
冒頭に、「この時代か」とびっくりした。
前情報もいれずに観たので、風立ちぬに似た景色だなと思った。
東京の低い屋根達が横に流れていき、低音が聞こえる。
炎はぐいぐいと映画の中に引っ張っていた。
走る主人公の映像の躍動感と、唇の端、顔以外周りが溶けるようになっている描写が、周りのことはみえず燃え盛る母だけを思い、追う気持ちにダイブさせていく。なんだかもう泣いていた。
でも、炎はとてもきれいだった。それも悲しかった。
主人公の父は、3年で新しい母をつくった。
母は主人公に親切に接するが、荷物を主人公の足前に置いたり、
「赤ちゃんができた」とおなかを無理やり触らせたシーンの
主人公の表情が、もう、傷ついて、すべて悟らされて、
大人の傲慢さみたいなものと、未成年の非力さと芯の強さと
思春期めいた多感さを感じた。
「表門から」と客人のように扱い、
父の持ってきた荷物にばば達が群がるさまをみせつけ、
部屋ですとんと寝た彼をみて、かけ布団もかけずそのままにして
部屋を出た。彼も壁をつくり、義母も壁を敷いていることが
もう痛いくらいあって、もうもう、悔しくて悲しかった。
「父の好きな人」第一印象つよい。
ただ、お茶請けのシベリアを観たときに「風立ちぬだ~」と
少しほんわかした。
宮崎駿監督の母の無償の愛はこう!!!みたいなものを感じる。
母を奪われ、父は母に似た母でない人を好きになり、
足元が不安定な主人公が、塔の沼地に足をずぶずぶと入れていく
彼は全然いとわないけど、今の自分の状況とこの泥土が合致しているのかな
そして男子が母へ求める愛情表現も露骨にみれてよかった。
昭和の時代の、男児と母親の関係性ってこうだよなぁと。
そして平成、令和と徐々に愛の形が変化していることがわかった。
監督の精神世界を映像で見させてもらっている感じ。
少年は母を想う。父が学校に車で送る見栄にも付き合う。
その帰りに、自傷する。彼なりの怒り方なんだろうなと涙が出た。
夢ではあの時のトラウマが襲いかかり、
父は自分のことをみているようで汲めていない。
新しい母は、父のもので、母は父のもので。じゃあ自分は?である。
そしてハリポタになったり忍たまみたいだったり
今までのジブリに出てきた印象的な描写方法がたくさん出てくる。
あ!これあの時のあれみたい!みたいなのがザクザク出てくる。
背景も信じられないきれいさ。美術館で背景展してほしい。
色がきれい。海と緑、空と緑、泥と夜、夜と家、朝日と土。
深呼吸したくなるシーンもあれば、息をとめていたいシーンもある。
この映画においを感じる。すごい。勝手に脳が香りを感じさせてくる。
音楽も最高だった。緊張が走るシーン、誘われるシーンが好きだった。
そこから急に主人子の柔らかい愛の気持ちに触れる度、彼のやさしさが
伝染する度、彼が尊重され信頼される度に涙した。
2時間は短い、長くて永遠だけど、もっともっと細かい設定が隠れているんだろうなと思う。宮崎駿の作りたい映画を観れてよかったなと思う。
面白かった、もあるけど、圧倒された。
こんなに自分の思いを他者を巻き込んで作り上げることができるなんて
なんてすごい監督なんだろうと、人間てすごいなと思う。
あと米津さんの曲の旋律は本当に涙腺をぶるぶる震えさせてくるので
なんかもうただただ泣いてしまった。泣いてる人あんまりいなかったし、
宮崎駿ワールドだったね、と話す人や、この時代好きだなぁ~なんて
感想を言って出ていく人もいた。「人による」映画ですまさしく。
そういえば、君たちはどう生きるかっていうか君はどうするかという感じです。達ってなんだろう、達って誰に向けての達なんだろ。観客かな。
主人公はこうなったけど、君どうする?君もこのくらいやろうと思えば
できるし、「今日」ってすごいし、1日だけ?!かもだし、みたいな。
夢みたいな、夢ではないけど、夢の話だったなぁ。
黄色きれいだった、草原のさわさわと風でなびく様子美しかった。
目力が異常に強かった。ジブリのキャラクターの目力どうなってるの
新しい家族になれてよかった。
お母さんが信じてくれていることが、主人公に届いてよかった。
彼が人の力を借りれる人でよかった。
映画館でみてよかった。