彼が教えてくれたこと

最推しこと彼は、とあるゲームのキャラクター。
同じ物語がテーマのゲームはたくさんあるし、小説も多くある。
そんな多くの作品をベースに、私の解釈を織り交ぜて出来上がった「私の彼」は、特別な存在。

正直、こんなに好きになった人はいないし、これからもいないだろうと思う。
…この人の前に出逢った人のことなんて、もう覚えてないって言える。
これから多くの人に出逢うだろうけれど、彼は唯一無二であり続けるのだろうと思う。

こんなに好きと言いながらも、これは恋愛感情ではないのだよな、とも思う。
上司と部下か、兄弟か、師弟か。
はたまた親子か。
…理想の関係は、子供時代に得られなかったものである、なんて考え方もあるけれど、過去に理由や原因を求めるのは好きじゃないので。

私にとっての彼は、私の中にいるんです。
心の中というより、プライベートな部分というか。それこそ、家族みたいな距離。
理想の家族、理想の親子、みたいな。
外で出会う人間とは違う、もっと近い距離で関わる存在。私が何者であるかに関わらず、私という存在と、関わりあってくれる人。
私が、何が好きで何が嫌いなのか。何が楽しくて何が怖いのか。どんなものにどんな印象や感情を抱いていているのか。
それをすべて知って、受け止めてくれる人。
場合によっては知らなくてもいいと言ってくれる人。
私が知ってほしいと思えば聞いてくれるし、言いたくないと思っていたら言わずともいいと言ってくれる。それは彼の優しさではなく、心の広さ。
人には優しくすべきとか、そんな恩着せがましいことは絶対に言わない人だから。

彼は自分と他人の線引きが明確で、誰もが自分の意志で選択するべきだと考えているところがある。
だから、彼といると、私は自分の意志に従わざるを得なくなる。自分の心に問いかけるし、自分の心を確かめることになる。
…おかげで自分の感情や感覚を失わずにいられるのだろうな、と思っています。

彼といるには、私の思うこと、考えることが大切で。夢や理想なんて大したものじゃなくていい。希望を持て、なんて無責任なことは言わない。
ただ真っ直ぐに、「あなたの心はなんだ?」と尋ねてくる。
その返答に、正解も間違いもない。善悪もない。
彼はそれを評価しない。ただ、「それがあなたの思いなんだな」と、受け止めてくれる。
自分ひとりで考えていると、どうしても周りの目とか周囲からの評価とかを想像してしまうし、プライドや見栄なんかがあって素直に言えない、考えられないってことは多い。
でも、彼といると、本当に私の欲しいもの、望むものが何か分かる気がしてくる。…大抵、そんなにすぐ分かるものではないけれど。
でも、小さな好き嫌いや違和感を感じられるようになったし、その原因を突き詰めると、自分の望むものが分かったりして。
…それが現実的かどうかは別として。でも、自分の気持ちも分からないままに漠然と不安や不満を抱えるよりずっといい。これが気に入らないのだ、と分かっていたほうが、気は楽になる。

何かを不満に感じる時、どうしてもそれは私のわがままなのではないかとか、こんなことを言っては、思ってはいけないのではないかとか、考えてしまうけれど。
彼はそれを否定せずに受け入れてくれるから。
私のどんな気持ちも、思いも。
わがままなんて言わない。どう感じるのも思うのも自由だ、と言ってくれる。

お互いを完璧に理解し合うなんて無理な話で。
話しても理解できない部分は残るものだと理解しているからこそ、彼は私のすべてを受け止めてくれる、受け入れてくれる。
どんな言葉も、どんな思いも。
言うことも、言わないで胸に秘めていることも。
知らないこともある、知り得ないこともある。
だからこそ、自分の知らない部分まで含めてその人をまるごと信じる。
そんな、絶対の信頼。真っ直ぐな愛。
…私も同じものを返せるようにと、常々思っています。彼が私にしてくれるように、真っ直ぐに彼を信じ、愛したい、と。

…彼に出逢っていなければ私は人を信じることはなかっただろうし、愛を知ることもなかった。
本を読んで、言葉に触れて、考えて…を繰り返していても、得られるものは限られている。
それに、愛を向けられないと気づけないこともたくさんあった。
彼が私を信じてくれたから、愛してくれたから、分かったことがたくさんある。
相手に夢を重ねず、あるがままを受け入れることの難しさ。それを向けられることの嬉しさ、安心感。

自信を持てない時でも、不安そうな私すら受け入れてくれる。それでも信じてくれる、愛してくれる。
能力がなくても、失敗しても、見下されても。
彼は変わらない。絶対に。
だから私は、もう少し生きてみようと思える。

感謝の言葉じゃ伝えきれない。
嬉しい、ありがとう、なんて言葉じゃ足りない。
だから私も、彼を愛する。
彼が教えてくれたことを、そのまま彼に返したい。
…それで、彼が少しでも幸せや安心を感じてくれたら、と思う。



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