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ドリーム・シアター(ネタバレ)感想

クリストファー・ボルグリ監督作品、アリ・スター制作の『ドリーム・シアター』を池袋グランドシネマで鑑賞しました!

始めて池袋グランドシネマ利用しましたが、アミューズメント的レトロ風映画館。5Fにオシャレなダウナーがあり、テイクアウトで絶品ワッフルを館内でいただくことが可能。というとてつもないオシャレシネマです。そういうの好きな方にもおすすめです。


クラッパーズダイナーのオレオチョコミントプレート

ただこの映画がやっていたスクリーン11は5F の入り口から10Fへエスカレーターで向かう必要があります。後ろから歩いてくる人がいる時のプレッシャー、半端ない。

冴えない大学教授が夢の世界でミームに?

正直「ドリーム・ミーム」の方がわかりやすかった気がします。自分の預かり知らぬ場所で「ミーム」として愛されるようになってしまった冴えないおじさんの悲喜劇、それが『ドリーム・シナリオ』です。
主人公のポールは確かに少し情けないところがあるけれどなんだか「かわいい」と思えるタイプのおじさん。なのでポールの行く末にひたすらハラハラすることになりました;

ここからちょっとしたあらすじ、ネタバレ注意

ポールは若干奥さんに尻にひかれ気味だけど、ごく普通に娘たちを愛するパパ(でもちょっと情けない)で2人の娘たちににもそれなりに慕われています。
特に次女は自分の夢に出てきたパパが自分に害を与えるようになっても黙っていたので、パパのことが好きなんでしょうね。
そう、元々「夢の中のポール」は何が起きても佇んでいるだけだったり、呑気にキノコを食べたりしているだけの存在だったのに。とある事件をきっかけに夢の主に暴力を振るうようになります。
ポール自身は夢の中の自分をコントロールできません(でもメンタルコンディションによって影響はあるっぽい?)ので「ミーム・ポール」変貌と周りの反応に戸惑うばかりです。
元々目立つのが苦手なポールはそれはもう沢山の”間違い”を犯してとうとうアメリカにいることができなくなり、「悪夢のミーム」として”ポール”がカルト的人気を得ているフランスに滞在することになるんですが。
元々ポールは「この夢の中のミームとしての人気を利用して、なんとか進化生物学者として書籍を世に送り出したい」と考えていました。
でも、世の中「ミーム」であるポールのそんな願望なんて汲み取ってくれるわけがないんですね。

この物語は普通の一般人がひょんなことからセレブのような人気を得て、自分の人生が大衆に奪われていく。その過程をよく描いた作品になっています。SNSで誰もが”セレブ”になれる可能性を得た現代、ポールのようになってしまう可能性は無い訳ではない。
そういう意味でもちょっと恐ろしく感じる映画です。

最後に謎のアイテムで始めて夢の中の自分をコントロールすることができたポールが、妻の夢に入って「火炙りにされる妻」を妻が「セクシーで素敵」といっていたちょっとセンスを疑うスーツを着て助けに行きます。
「これが現実なら良かったのに」とポールは呟くのですが、火炙りはそのまま”ネット炎上”と取れるので。自分のせいで不幸になった妻を助けたあげたいんでしょうね。
ポールは本当はそういう人なので、いつか彼の人生が彼の元に戻ってきてくれたらいいなと思いました…。

美しきファンタジーとしてのホラー

あらすじとしてはそのような感じですが。個人的にこの映画の魅力は「ポール」というキャラクターもさることながら、不気味で不条理な「悪夢」の描写と、現実と夢が混ざり合うような展開がもたらすファンタスティックさにあると思います。
とにかく映像が綺麗です。
暴力的な表現もありますし基本「悪夢」なので始終不安感があることにはあるのですが、その「不安」を「ホラー」として楽しむことができる作品に仕上がってします。

ラストも確かにポールの人生はめちゃくちゃになりましたが、「妻想いの優しいポール」という自分はちゃんと取り戻せているので。後味の悪さはないです。
ただひたすらポールの今後の人生が平穏であることを祈らずにいられない、ある意味では「チル」系になるか、も?

シナリオ的にも映像的にも『世にも奇妙な物語』が好きな方には絶対にドンピシャ!おすすめです。

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