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【読書メモ】『境界知能:教室からも福祉からも見落とされる知的ボーダーの人たち』
基本情報
タイトル:『境界知能:教室からも福祉からも見落とされる知的ボーダーの人たち』
著者:古荘純一
読了日:2024年6月19日
メモ:図書館から
自己開示
WAIS-Ⅲ(2022年実施)
全検査IQ(FIQ):108
・言語理解(VC):126
・知覚統合(PO):103
・作動記憶(WM):79
・処理速度(PS):86
→ 指標得点の最大差分:47
引用
IQが50~70で知的障害と診断された人と、IQが70~84の境界知能の人は、同じような生活の困難さを持つことが指摘されています。そのような兆候が見られたら日常生活に差しさわりが出ないように早めに当事者に自覚を促し、家族や周囲の理解と支援が必要です。しかし、医学的に厳密さを求めると生活に差しさわりが出ないと診断できないというジレンマがあります。
境界知能の人は、一見すると正常知能の人々と区別がつかず、傍目からは困っているようには見えません。本人や家族が困りごとを伝えることは少なく、むしろ本人は、小手先の返事の仕方やこれまでに身につけたソーシャルスキルを使って困っていないようにふるまい、その場を切り抜けてきたのです。
(Q2)家族が抱える悩み・不安は何ですか?
(A)家族も同様に、境界知能がどのようなものなのかがわからないケースがほとんどだと思います。
(中略)
本人は家族に心配をかけないように「大丈夫」と答えてしまいがちで、苦手なことを隠してしまうのですが、家族から見ると、本人の認識が現状とかけ離れていることも、不安になる要因と言えるでしょう。
すべての人が等しく自由を享受するためには、個人の能力に応じて現実可能な目標が設定されることが望ましいです。高IQの人の目標は高く、境界知能の人は低過ぎるように思えるかもしれませんが、一定の目標を目指して、到達したときの達成感を味わうことで社会との共生を得ることが大切な視点なのです。
参照用外部サイト(書籍とは無関係)
WISC-Ⅳとは、世界中で使われているウェクスラー式の知能検査のことを指します。
(中略)
検査を実施することで、4つの指標得点(言語理解、知覚総合、作動記憶、処理速度)とIQの結果が出てくるというものです。
例えばIQの結果であれば、平均値は100。85–115の間に約68%の人が収まり、70–130の間に約95%の人が収まるとされています。境界型は70-79、IQ69以下は軽度の遅れがみられます。また、4つの指標得点のうち一番高い項目と一番低い項目の差が15以上であれば能力に凹凸があると診断され、その差が大きいほど日常生活に支障が出てくるようです。
基本的に、発達障害の診断は、ご自身の成育歴・現在のお困りごと・心理検査の結果などを総合的に評価して行う必要があります。ですので「心理検査のみで、発達障害かどうかは分かりません。(以下略)」
全体まとめ
「境界知能」。
なんだか妙に聞き覚えがある単語だと思い、図書館で手に取った。
今考えてみると、知能検査を受けた2年前に聞いたのだと思う。
*********
統計データと診察経験を豊富に起用した、難しい本だった。
数字が多く、よく目がすべった。
難しい箇所は飛ばしながら読んだので、実際に読んだのは6割程度かもしれない。
私が大切だと感じた内容は、引用した4箇所だ。
まとめると以外のようになる。
1)境界知能とはどの範囲の人たちを指すのか。
2)当事者はどのように過ごしているのか。
3)親しい人は当事者をどのように見ているのか。
4)課題解決のためにどうするべきか。
*********
この本を読んで、心が少しざわついた。
先述したように、私は2年前に知能検査を受けている。
転院前のメンタルクリニックで(なかば騙されて)検査を受けた。
結果は「自己開示」にて書いた通りだ。
当時の私は抑うつ状態だったので(今もだが)、この結果を受けても、特に驚きも悲しみもしなかった。
ただ、今まで感じていた「社会不適合感」や「周囲とのズレ」の原因はこれだったのか、と思った。
そのとき出てきた単語が「境界知能」と「発達障害」であった。
臨床心理士は、私の「作動記憶(WM)」の得点を指さして「境界知能」と言い、4つの指標得点が描く折れ線グラフの形をなぞって「発達障害」の典型的な形状である、と説明したように記憶している。
折れ線グラフの凹凸が大きいことが、脳の発達に凹凸があることを意味していると言っていた。
しかし同時に、発達の凹凸は誰にでもあり、あくまで「個性」である、とも言っていた。
グラデーションなのだ、と。
働けているから発達障害と診断するのはムリだ、と。
知能検査を受けたいと頼んでいないのに。
発達障害と診断してほしいと頼んでないのに。
―――勝手にフラられた。
結局その後、そのメンタルクリニックから発達特性に関するアドバイスなどは一切なかった。
ただ検査だけが終わり、いまだにモヤモヤを抱えたまま生きている。
*********
この本で指摘している「境界知能」とは、知的障害とは診断できないが日常生活で困りごとがあるIQ数値の話、である。
だから厳密には、発達障害の話ではない。
でも同じ指数を使うから、混乱してしまった。
心は少しざわついたが、この本を読んでよかったと思っている。
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