【屋台売上が2倍になった簡単な方法】
◆『安い・旨いでは響かない』
2020年の夏、コロナ禍では私が管轄していた海鮮居酒屋も店舗営業できずにいました。
そんななか、地元のスーパーからお声かけいただき
スーパー店頭の駐車場スペースで屋台販売をさせて頂くことに。
そこでは地元で有名な老舗焼き鳥屋さんも屋台販売をしていて、飛ぶように焼き鳥が売れています。
当時私が担当していたのは海鮮居酒屋なので焼き鳥では太刀打ちできないと判断し、利益率が低い大エビやホタテなど海鮮串を全面に押し出して勝負を挑みましたが、、、
ところが初日は予想していた売上予算の半分にも届かず惨敗。
翌日はもっとお値頃感を際立てるようなPOPをつくり掲示してみましたがいくら利益率が低い、顧客にとってメリットのあるメニューを宣伝しても反応はイマイチ。
全然売れません。
30~40年ほど前、まだお店が少なかった時代は『安くて旨い』に付加価値があったかもしれませんが、
今やマズいラーメン屋さんを見つける方が難しくなったように美味しくて当たり前、そのうえでの価格競争なので、安い旨いだけの機能性だけではなかなか顧客に響かなくなってきています。
◆『行動心理にフォーカス』
そこで、旨い・安い以外の価値で勝負できないか考えてみましょう。
幸いなことにスーパー入口の駐車場で屋台をやらせて頂いたので通行料はメチャメチャ多い。
当たり前ですがサービスを買うのは人間で、ひとの判断は脳ではなく心(感情)です。
ということで目を付けたのが、『行動心理』。
横断歩道で信号待ちをしているとき、だれか一人が空を見上げたら周りのひとも空を見上げる。と聞きますが、人間は他人の行動に引っ張られます。
例えば、人集り。
繁盛しているクレープ屋さんなどは、あえて人目に付く場所に行列をデザインします。
人がひとを呼んでくれる設計ですね。
以前の記事で『顧客は感情を買う』と書きましたが、スーパーの主なお客さんは孫を連れたご年配の夫婦。おじいちゃん、おばあちゃん。
でもよく考えると、
『買い物したいのに何故、わざわざ孫を連れてくるのか?』
といった矛盾に気が付きます。
自分の小さい頃に照らし合わせてみたとき、当時の私の狙いはお菓子を買ってもらうこと。
おじいちゃん、おばあちゃんの立場からしてみれば孫の『ありがとう』、
そしてその先にある孫の笑顔を買うために一緒に買い物に来ていると解釈できます。
買い物はあくまでも手段(コミュニケーションツール)で目的は孫の笑顔。
◆『返報性の原理』
今までの状況を整理すると、人は人集りに興味を示す。
スーパーの主な顧客は孫の笑顔を買いに来ている。
ここを掘ると何やらヒントがありそうです。
色々と考えながらお店の倉庫に足を運んだとき、
たまたま目に入ったのが子供用のプール。
夏祭りイベントで使用したヨーヨー釣りセットが一緒に保管してあったので
さっそく屋台の横で子供用プールを準備しヨーヨー釣り開始。
色々と議論しましたが今回は無料で実施することに。
するとあっという間に子供が寄ってきて人集りができました。
その年は色んなイベントが中止になって、日本中から笑顔が消えたので少しでも笑顔を提供したい、無料なので遊んでいってね。と伝えたところ子供以上に喜んでくれたのが、おじいちゃん、おばあちゃん。
孫の笑顔をみて本当に喜んでくれました。
それと同時に思わぬ副産物が。
孫の笑顔の御礼にということで串焼き各種が10本単位で注文が入ります。
そう人間は『恩を受けたら返したい』という
『返報性の原理』が働いて串焼きの注文という形で返ってきたんです!
こうやって、子供用のプールを出したことにより
地元ではちょとしたイベントとして話題になり、
結果として屋台売上は2倍になりスーパー側からはプール遊びの景品と特売チラシに出店情報の掲載、Instagramでの拡散をしていただき思わぬ形で強い広告と口コミを無料でゲットできました。
サービスが乱立する中、旨いものを安く提供するだけでは勝ち残れない時代ですがサービスを買う側の行動心理を読み解き、客寄せ商品と利益を上げる商品とを分けて考えてみると色んなサービスに転用できると思います。
是非、ご自分のお仕事に置き換えてみてください!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?