歯科医師が肝に銘じておくべきお話
こんにちは!歯科医師Hachiです!
今日は自分たち歯科医師が肝に銘じておくべきお話です。
むし歯治療の本質のようなお話なので、一般の方もぜひお読みください。
そもそも、むし歯とは??
そもそも、むし歯ってなんでなるんでしょうか?
むし歯の原因はむし歯菌とよばれる「細菌」です。
細菌は飲食物の中の糖分を摂取して酸を出します。
この酸により歯は溶かされます(脱灰)。
溶かされた歯はそのままの状態ではなく、また修復されます。これに一役買っているのが、「唾液」です。
唾液は、カルシウムやリン酸を含んでおり、これらが脱灰された歯を修復(再石灰化)します。
ところが、糖分の摂取が頻繁で、酸の緩衝や再石灰化が間に合わずに脱灰された状態が続くと、その部分はそのうち崩壊することとなります。これが「むし歯」です。
むし歯により崩壊した歯質は、再石灰化等により自然に回復することはありません。
つまり、むし歯というのは、
「口の中の脱灰と再石灰化のバランスが崩れて、脱灰に傾いた状態」
と、言えます。
これを一旦他の病気でも考えてみましょう。
糖尿病で考えてみます。
糖尿病とは、端的に言えば「血液中を流れる血糖が増えてしまう状態」です。
これを放置すると、さまざまな合併症が生じます。
その一つに、「足が壊死してしまう」ことがあります。
足が壊死してしまったら、足を切断して、義足をつけます。
何の話?と、思われるでしょうが、もう少しお付き合いください。ちゃんと繋がります。
話を戻します。
先程、糖尿病は「血液中を流れる血糖が増えてしまう状態」と言いました。
なので糖尿病の治療は、「血糖値を下げること」です。
糖尿病の治療を「足を切断して、義足を作ること」なんて、誰も思いませんよね?
歯に話を戻します。
先程むし歯は、「口の中の脱灰と再石灰化のバランスが崩れて、脱灰に傾いた状態」と言いました。
これを放置した結果、歯に穴が空いてしまうわけです。
穴が空いてしまったところに、僕たち歯科医師は詰め物や被せなどをして、修復していきます。
ここで、勘のいい方は気づかれたかもしれません。
先程、糖尿病の治療は「血糖値を下げること」で、「足を切断して義足を作ることではない」という結論で一致したと思います。
ところが、むし歯治療として一般的に認識されているのは、「穴が空いたところに詰める」ですよね?
おかしくないですか??
むし歯は「脱灰と再石灰化のバランスが崩れて、脱灰に傾いた状態」です。
なら、その治療法は「脱灰と再石灰化のバランスを整える」ことになるはずなんです。
そのためには食事指導や、フッ素の活用などが必要となります。
つまり、何が言いたかったかと言うと、
糖尿病を放置していて、壊死してしまった足を義足で補っても糖尿病が治ったとは言えないと同じように、
むし歯を放置していて、大きな穴が空いてしまった歯に詰め物や被せをしても、本質的な意味ではむし歯が治ったとは言えないのです。
これは、患者さんはおろか歯科医師ですら意識されてないことかもしれません。
本当の意味でのむし歯治療というのは、食事指導をして間食の回数を減らしたり、フッ素を活用して再石灰化を促すということにあるのだと思います。
このことを肝に銘じながら、今後も歯科医師としてしっかりとした医療を提供していきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回もよろしくお願いします!