英雄学園を知ってるか
ということで、Project EAS企画/製作の舞台、英雄学園RE:bonds and betrayalを観に行ってきました。(10/31昼の部)
私自身、諸般の事情で小劇場系は普段積極的に観る方ではないのですが、仲良くしてもらっている方が出演されるということで、好奇心半分に行かせていただきました。
結果、とんでもない感動が私の胸を衝き、Twitterの文字数では収まりそうにないため、別の用途で作っていたけれど、放置していたNOTEのアカウントを掘り起こして筆を執っている次第です。
過去にいくつか小劇場単位の作品を観た経験があるのですが、個人的にはどれも刺さらず、私は小劇場作品に向いていないんだなと勝手に諦観していた部分もあり、あまり期待しなかったというのが正直なところでしたが……。
すみません、ナメてました。
殺陣の応酬、整頓された緻密な情報量、総勢28名(+声1名)の個性的なキャラクター、どれもが素晴らしく、130分にも及ぶ長作にも拘わらず、全員の熱量120%のままで走り抜ける濃密さ。凄まじい体験をさせていただきました。
そして帰り際には台本と学生証を購入してました。
ハッ。気付いたら手元にそこそこに厚い本が。巧妙な罠か。
という訳で、思いのままに感想を書いていきます。
これを書いている時点でまだ公演は残っているため、当然のことながらネタバレでございます。
また他作品に結び付けてああだこうだ言ってたりします。すまないが、自衛だけよろしく頼む。
画を納める技
公演場所はJR大塚駅が最寄りの『萬劇場』です。恐らく小劇場に精通している人ならあああそこね、と想像がつくかなと思います。
『小劇場』と銘うつ通り、こじんまりとした舞台です。そこに、28名が並び立ちます。この時点でかなり窮屈だと直感するでしょう。しかも得物持ちですから余計に。とあるキャラクターなんて背中に二本、腰に二本とかいうトロンボーン並みに場所をとります。壁に当たるわユーフォニアムに当たるわ。お前は幅をとるな。すいません……。
それを雑然と感じさせない、むしろ整然としているとさえ感じるほどに全員を並び立たせて、舞台を端から端まで前から奥まで、なんなら花道だって目一杯使う。すげーな、トッポみたいに最後までチョコたっぷりみたいな構造だ。
流石に28名が一斉に動く、ということはありませんでしたが、毎度6-8人ほどが入れ替わり立ち替わりに動かしていくのは洗練された陣形を見ているようでした。よいか、ジェラール。我々はインペリアルクロスという陣形で戦う。
どのシーンをとっても画として完成されている。演者さんの立ち姿も個性的かつ洗練されているのも後押ししてます。
光と音のアクション
この作品一番の目玉、殺陣。先ほども言った通り、舞台上で6-8人ほどが剣(刀)、もしくは己の肉体でアクションしていきます。小並感ある感想になりますが、皆さまそれはそれはとてもお上手でして。一つ一つの動きもさることながら、とても見やすいんですよ。複数人で動いていて、作中ではそれぞれ違う目的が飛び交っているのに、「見せ場」の導線をしっかり作られています。
また効果音と照明が良い。きっとコンマ1秒でもズレたら台無しになるところを、全て的確に当てている。音響照明さんってすごい。
また、普通の殺陣以外にも『イグジスト』という所謂異能力を使う場面もありますが、こちらは効果音にプラスして照明でイメージを膨らませていきます。こういうのって大抵CGが使われたりしますが、音と光だけで表現してます。それだけでも何となく伝わるんだから、音響照明さんってすごい。
世界観と個性
総勢『28名』の『キャラクター』、異能力『イグジスト』、架空の学園『英雄学園』初見で吸収するには中々キツイ情報量だと思います。
これを、『史実上の人物』、『どこかで見たことのある設定』というエッセンスを上手い事混ぜ込むことによってクリアしているのが巧みだなと個人的に感じます。用語自体を知らなくても、例えば『ヒロアカっぽい感じね』で伝わる。それでいてオリジナリティがある。凄いなぁ。
ネームドに限定しても21名ほどのキャラクターも、先述の『史実上の人物』にプラスして衣装による個性出しによってすんなり入ってきます。
衣装は基の制服からアレンジをしているみたいなのですが、これが可愛いし、かっこいい。勢力図としては4勢力ほどあるのですが、共通の小物を身に着けていることでより分かりやすくなっているのも良いなと。統一感と連帯感を見て感じ取れる。
侵入者たち①
さてここからは一人一人のキャラクターについての感想を書いてきます。誰もが魅力的だった。かなりのネタバレを含みます。あと勝手な考察してますが、所詮私の考えすぎによるものです。
䋝田ノブナガ
(それでオダって読むの?漢字変換でてこない)
主人公。他の回ではわかりませんが、私が見たときはノブナガの演者さんが前説をしてくれました。約10分くらい喋ってたのですが一切途切れることなく、なんなら片手間にファンサもしてくれてました。凄いや。アイドルか。
ノブナガチームはラフな着こなしが特徴でしたね。ラフなんだけどどこか洒落っ気もある。
ところでこのノブナガさん、超動くし、飛ぶし、なんかすごいんですけど……。ノブナガチームが一番アクションクオリティがとんでもなかったです。私だったら二歩目で捻挫してる。
強き者を求めるザ・バトルジャンキーで、開幕英雄学園にカチコミしにいきましたね。この人日常生活をちゃんと送れてるのか心配になる。
破柴ヒデヨシ
ノブナガの相棒枠。刀狩りってそういう意味だっけ。なんか回避行動がやたら上手いひと。ところで秘宝ってなんだったんですかね??あとノブナガとやるピシガシグッグってフィストバンプっていうんですね。(台本で知る)
葦利ヨシテル
背中に二本、腰に二本剣を帯刀してる。お前、ギルガメッシュでは?(FFのほう)身に着けてる小道具が多いにも拘わらず、身のこなしが素晴らしすぎる。ワープするとたまに女性に殴られる特殊演出が入ります。可哀想。やっぱお前ギルガメッシュ(FFのほう)だろ。そういえばこの人だけ室町時代のひとですね。室町政権は調べようとして複雑すぎて投げました。逃げ若も止まってる。
風紀委員会『壬生狼士隊』
名前から推察される通りに、新撰組(の前身)ですね。腕章にはお馴染みの浅葱色の段だら模様がデザインされてました。あとそれぞれ刀のデザインが違ってました。凝ってる。
朱智ミツヒデ
もう一人の主人公。なぜか壬生側についてる。ちなみに私はミツヒデという名前から裏切るんじゃなかろうかとヒヤヒヤしてました。急に後ろから刃を突き立てて「楽しかったぜェェお前との友情ゴッコォ!!」とか言ってきたらどうしようかと思いましたが全くの杞憂でした。
登場するキャラクターは何かしら史実に因んだものがありますが、中でも彼女はイグジストと合わせて特異な立ち位置でしたね。何度かノブナカの窮地を助けたり、イグジストが時間を巻き戻すものだったり。何かこう、あの時の明智光秀の心情を考えずにはいられません。
あとこれは本当に余談というか余計なお世話だと思いますが、超活性を発動させるたびに叫ばせて大変そうだなと思いました。あの、演者さん、とても素敵な声をしていらっしゃるので喉を大事に取り扱ってくださいね。潰したら演出家を恨むからな(過激思考)
ところでへんれいじんこうって、返戻仁功って書くんですね。おまえ……。
芹爽カモ
ご存じ隊長さん。苗字に反して全然爽やかじゃない。恐らくノブナガに次ぐバトルジャンキー。この方もイグジストが時間関係なんですよね。
「俺の時間だ」ディエゴかな?
時止め……っていうのがまた考えさせられるというか、芹澤鴨は組織浄化によって淘汰された側な印象があるので(自分の素行が巡り巡ってるとはいえ)
近導イサミ
隊員さん。やんちゃな犬に振り回されてるブリーダー。シンプルにイグジストが強い。衝撃波は強いって。真面目だし責任感強いし、強く生きてほしい。
沖汰ソウジ
オキタ・ラムちゃん・ソウジ。衣装デザインが一番好きです。ギャルかわいい。ギャルの質がたまに80年代だけど。ギャルだから鞘もデコるし。腰に帯刀している短刀(だと思う)スタイルなのも良い。刀を納めるときにノールックで器用に納めてるの好きです。
ポニテに蛍光色の髪飾りがついてるのですが、暗所になるとぼんやり光るのが、イグジストと相まってめっちゃ良いなって思いました。
お察しかと思いますが、推しです。
新美ニシキ
最良は無傷の捕縛、次点で半殺し、最悪ブッ殺せ!のセリフのテンポが良くて好き。イグジストが素で恐ろしい。というか、刺してしまえば操れる点でいえば、あのハゲ以上の能力なのでは……?名称がネタバレになるから、ハゲとしか言えない。ディスってません。
挟んどいたよ。はまたちょっと違うか。月島さんのお陰じゃないか。刀の形は八鏡剣に近いけど。
山涙ケイスケ
どいつもこいつも(怒)
常識人枠が怒ると怖いよねの最たる例。正しくない奴ら全員ブッ殺そうぜ。(過激派)
茉永ヒサヒデ
松永久秀をお恥ずかしながら全く知らなかったので調べてたのですが、ちょっと創作が面白くてゲラゲラ笑ってました。誰が呼んだか戦国のボンバーマン。
最終決戦に寝っ転がったまま登場する。
なんかいつぞやかに見たロミジュリ終盤のティボルトを思い出しました。舞台上に寝っ転がらされたままエンディングを迎えるあの感じ。
地獄で俺に詫び続けろォ!!!で不覚にも笑ってしまった。LAL好きだろ、これ書いた人。
生徒会執行機関『円卓の騎士』
円卓と名がつくとドロドロするのは最早宿命なのか。衣装の共通項として肩章(エポレット)がついてる。かっこいい。イグジストがギネヴィアを除いて全員「眼」で発動するのも共通項でした。逆にギネヴィアのイグジストの火力がおかしい。
アーサー・アルトリウス
???「王は人の心が分からない」
共感力は求められるからね。私が出会ってきたアーサー作品、大体人の心を失ってるんだけどその名の定めか何かか?今作はまだ救いがある。無知の知は一歩。やっぱ鈍感系主人公は受けがよくないって!
???「キムチでいい?」
途中、偽物が出てくるのですが凄く「っぽく」てよかったです。
ギネヴィア・グアンフマラ
恐らく良いひとではあるんだけど、悉く「間」に恵まれていない、そんな印象。彼女のイグジスト、四つの剣がそれぞれちゃんとデザイン違ってるのが良かった。カッコいいので見てください。
ところでオリュンポスの権能で用いられてた『アレース』って不貞を働いた神様で有名だけどギネヴィアって……げふんげふん
モルドレット・メドラウト
会計担当だったんですね。(台本見ながら)確かにしっかり者の感じはあった。あとてっきり、アーサーと直系の兄妹なのかと思ってましたが、従妹だったんですね。さすがにインモラルすぎますよね。安心しました。……ん?
ギネヴィアは多分可愛がっているのだろうけど、モルドレット的にはウザいんだろうけど、それがまた可愛いんだろうな。(存在しない記憶)
ランスロット・ランツェレト
ランスロットはさぁ……。
こいついつも女性の尻追っかけてんな……(言い方)
外見は文句なしにイケメンなんだけど、どこかうだつが上がらない感じが、とってもランスロットを顕してて良いです。(超褒めてます)
本当に顔は良い。(超褒めてます)
ベディヴィア・ベドウィール
あ~~~~だめだめ可愛すぎます。ベディ卿は可愛くなければいけない法則でもあるんでしょうか。超かわいい。あとスタイルが良い。あとかわいい。こんなかわいい子を困らせんじゃねぇ~~~~~!!!でも困ってる顔から得られる栄養素もあるんだよなぁ。心が二つある。お察しかと思いますが、推しです。
特殊待遇スペシャルクラス
学園を統括するチーム。英雄学園の天井帯。衣装は制服ではなく、それぞれの個性を表現している感じでした。居るだけで『格』が違うって表現できるの凄いなと思う。
レオネスト・ダ・ヴィンチ
最強。天井。終始強いし、とても恵体。良い体してますね。
いや~~~ベストにワイシャツという出で立ちはちょっと目に毒すぎやしませんか。癖を感じる。この感想大丈夫だろうか。
イグジストがメタすぎる。こんなんクソゲーやん。
マリアレーゼ・アントワネット
全体的に白のデザインはジャンヌとの対比だとは思うけど、史実的に『白』は結構考えさせられるような気がする。ゲートオブバビロンみたいなことしてた。亜空間からの銃ブッパはロマンがあるよな!!
ところで同じように某マミさんが似たような戦法をとることがあったんですが、彼女の死因は……。
あとイグジスト名が「門」なのが、すごく、こう……ギロチンの形がね。
考えすぎな気がする。
ジャンヌ・ダリア
黒のデザインがとても好きだ……。あとポーズをとるときにデフラワーするのも好きだ……。怠惰になったジャンヌも可愛くてすきだ……あっはい、推しですね。
一介の村娘だったジャンヌと、生まれながらに王族なマリアだったりと、結構対比してますね。マリアがジャンヌへ喝を入れるところは、ノブレスオブリージュを体現しているような気がします。
ところでイグジスト名に炎って名前がついてるんですけど……人の心……。
ジル・ド・レドゥアン
ジャンヌの付き人……ジルか?と思ったらその通りだった。軽々とジャンヌを俵担ぎできるし、とびかかられてもびくともしない。体幹強すぎる。
イグジストが絶対破壊で、普段はジャンヌによって封印されてるって聞いてあああああ……って項垂れました。人の心!!なんで特待組のイグジストはしんどいのばっかなん??
余:アンサンブルの皆さま
細かな動作一つ一つでより舞台が映える。素晴らしいです。
どなたか存じ上げないのが非常に申し訳ないのですが、ポニテで太ももがとても健康的なお姉さまがとても好きです。大丈夫かこの感想。
侵入者たち②
ノブナガチームとはまた違う枠組みの人たちはこっちにしました。
祭藤デンキボウ
おまえなんなんだよ!!!
と、登場するたびに心の中で叫んでいました。剣を抜いたな?最強の俺はそれに応えるぞ?妖怪縁結びの遠縁か何かか?
イマジナリーフレンドがいたりと、この人だけドンブラから出張してきてない?世界観が一人だけ違うんだよな。
イマジナリーフレンドの声が髙木裕平氏なんて贅沢なイマジナリーフレンドなんだ……。
てっきりオリキャラなのかと思ったらちゃんと史実にいらっしゃってた。
禍森居士
ハゲハゲ言ってたのはこの人のことです。
狂言回しっぽい立ち位置……と思って騙されねえぞ!途中でにゃるしゅたんとか言ってるし、てめぇニャルラトホテプだろッ!!!と疑ってたらその通りでした。私は多分クトゥルフ神話TRPGの見過ぎだと思う。APP18が居たら疑え。そいつがニャルラトホテプだ。(個人の見解です)
ニャルラトホテプ
初登場時に複数の声が混ざるという演出でニャルっぽいな……と思ってました。この複数の声が混ざるのってリアルタイムで演者さんがやられてるんですよね?喋る速度にばらつきがあるのにそれでも明瞭に聞こえて、笑い声のあの不気味な感じとかが表現されていて凄いなと思って聞いてました。
おまえマジで周防達哉にしたこと許さねえからな。
好奇心で人間に対してストレス耐久テストしてくる。おまえなんなんだよ!!勝ち逃げみたいな雰囲気だけどお前負けてるからな!!!バーカ!
……ハッすみません。ニャルラトホテプと聞くとどうしても色んな記憶がよみがえってきてしまい……。ペルソナ2罪罰リマスターお待ちしてますね。
衣装デザインがお洒落でいいですね。あの長い裾で捌いてるのは凄いなと思います。
ニャルラトホテプの隠れ蓑で果心居士なのは上手いななんて思いました。
お腹いっぱい
とてもとても堪能させていただきました。
小劇場のキャパを余すことなく、照明、音響、演出、衣装、役者、全ての技が連携された熱のこもった舞台だったなと改めて思います。
あと神話系や歴史系が好きなのでより楽しめたというのもあるかと思います。
小劇場の認識が変わった瞬間でもありました。なんだ……面白れぇじゃねえか。
なんとこれはリメイク作のようで、第二、第三作があるようですって。
こうしてまた一つ生きる目標が増えたな。再演、お待ちしてます。大丈夫、待つのには慣れてるんだ。FF15もFF7リメイクも待ったから。
改めまして『英雄学園』に関わった全ての人に拍手と喝采を。