【原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち】と【後世への最大遺物】 ⑪
人が常に管理し続けなければならないということは
人が管理できないのと同義である
「私が原発を止めた理由」第1章 ハイデッガーのことば
これだけ危険な原発を止めないという
蛮勇ともいうべきものを
私はおよそ持ち合わせていません。
樋口英明「私が原発を止めた理由」より
⇧バリアフリー版制作中だそうです♪
⇩
⇩繰り返される原発事故
政府をはじめ東電も原子力規制委員会も、あの人たちは、【核を扱う】ということを真剣には考えていないことがよくわかる被曝事故。自分以外は人間ではないくらいの認識障害を負っているのではないだろうか。
高みにいる彼らは、小さな箱の中で保身汲々。
【偉い私が被曝することはない。被曝するのは会うこともない、見ることもない、ウラン採掘鉱山労働者、地域住民、汚れ仕事をする現場の労働者などなど】──だということを頭がよくて目先が利く彼らはもちろんわかってるから。
ウラン採掘 人形峠 インド アメリカ
こういう頭がよくて目先が利く人たちが、戦争できるようにと着々と足場を固めている──
アメリカが処分したい武器バンバン買ってやる、国産の武器もこれからスゴいのつくる、うるさい学者どもは兵糧攻めにして黙らせる、歯向かう奴らに邪魔はさせない、口を塞がないなら、貶めて辱しめれば、あとは喜んでそれを広める者どもが群がって、逆らう奴らの価値を徹底的に剥奪するために勝手に働く、そうなればまつろわぬ学者など誰も相手にしない、協力する学者たちとスゴい武器をつくる、大丈夫、戦争はなくならない、武器は巨万の富を生んでくれる、カロリーベースで賄えるのが4割弱? 大丈夫、武器を売って我々の分を買えばいい、あのとき同様飢え死にするのは我々ではない、大丈夫、原発がある、核兵器はつくれる*、再生可能エネルギーは、頭がお花畑の連中が騒いで面倒なことにならない程度にやらせてやる──
*SmartFLASH 2017.11.13
雲居のヒトビトの中に立ち交じり、地面に足裏を着けて日々尽力されている方が、きっとぽつぽついらっしゃるのだと思う。
第3章 責任について
2 司法の責任
⑴問題はどこにあるのか
原発運転差止めの判決がめずらしいのは、判事をはじめ裁判所全体が権力に屈しているからではなくて、「どの組織でもそうであるように、良心的に自分の本分を尽くしかつ能力の高い人もいるし、」逆もまた然りと。「それらの裁判官の中で、必ずしも良心的で能力の高い人が最高裁に行くわけではないという点に裁判所の問題があるのです。」
「裁判実務経験が長い裁判官だと最高裁に行く可能性がグッと減るのが実情です。」
「最高裁は一番難しい裁判をするところなのに、最高裁の裁判官が裁判実務の経験が少なくてどうするのですかという問題です。」
「大病院の理事長は(天皇陛下の手術の)執刀しません。第一線で患者を診察し手術を成功し続けている医師が、天皇陛下の手術をするのが当然と国民も思うでしょう。」(135~136ページ)
最高裁長官の指命権を握る内閣─ブルーパージ「石田人事」─**
「例えば木谷明元裁判官*のような方が最高裁に行くべきなのです。さらに、最高裁が推薦した法律家を内閣が任命するという慣例が安倍政権下で破られ、(略)政権に近い法律家が最高裁裁判官に任命されるということになってしまいました。二重の意味で最高裁裁判官の人事がおかしくなってしまったのです。」(136ページ)
*木谷明元裁判官
「刑事裁判官として三〇件にも及ぶ無罪判決を出し、そのほとんどの判決について検察官が控訴することなく確定に至りました。我が国では有罪率が九九・八パーセントに達することや、検察官の有罪判決への強いこだわりからみても驚嘆すべき実績といえます。」(137ページ)
有罪率のこと
「刑事事件有罪率99.8%」(⇦幾つか読んだ中で「泉総合法律事務所」の解説がわかりやすかった。)ということに関して調べたところ、「例えば木谷明元裁判官のような方が最高裁に行くべきなのです。」という意見を無価値にしてしまう根拠にされかねないと感じた。数字に滅法弱いので、心許ないが、有罪が確実と考えられるばあいに起訴しているので99.8%という数字になる、ということらしい。その上で、冤罪が少なくないように思えるけれど***。
***「現職警部補二名が『捏造』を認めた国家賠償訴訟」
書籍「明日はわが身?胸に刻みたい四大死刑冤罪事件」
木谷明元裁判官が「刑事裁判官として三〇件にも及ぶ無罪判決を出し、そのほとんどの判決について検察官が控訴することなく確定に至りました。」というお仕事をなさることを可能にした姿勢が重要で、あとがきからそれを推し量れそうな部分を引用するつもりだったが、木谷明元裁判官ご本人のことばを読むことができた。
3 私たちの責任
「原発の過酷事故が一度起きると、これらの社会問題(所得格差、教育格差、雇用問題、年金問題、コロナ問題等)を議論したテーブルはテーブルごとひっくり返ります。」
「原発の問題を正しく理解して、論理に従って行動してください。そして、ときには健全な怒りを示して下さい。」
「(原発の耐震性の)低さの根拠が不可能とされている地震予知に基づくものであることは、間違いなく電力会社が最も国民に知られたくない事実です。」
「国民に知られたくない事実を主権者たる国民が知り、すべての原発の即時停止を求める国民が半数を超えれば必ず全ての原発は止まるのです。」
「自分の責任が分かっている人は分かっていない人より遙かに幸せだと思います。」
「この本を読んでしまった皆さんにも責任が生じます。自ら考えて自分ができることを実行していただきたいのです。」
「知らなかった方がよかったとは思わないで下さい。」
「知ることによって初めて考えることができ、考えることによって初めて道を選択できるのだと思います。」(148~150ページ)
人格権
「我が国の憲法は間違いなく、命を守り生活を維持するという人格権(憲法一三条、二五条)が電力会社の経済活動の自由(憲法二二条一項)に優先すると定めているのです。(96ページ)
⑫へつづく