人が常に管理し続けなければならないということは人が管理できないのと同義である
「私が原発を止めた理由」第1章 ハイデッガーのことば
「私が原発を止めた理由」 2
はじめに
「はじめに」には、原発の危険性を考えるにあたって忘れてはならない大事な点が書かれています。
「原発のことは素人になどわからないとい」ういう思いこみと、その思いこみを十全に活かしている電力会社の魔術は、「素直に捉える目」を欺くからです。
「素人にはわからない」という思いこみがあればこそ、電力会社の論理のなさが「通用」してしまっているからです。
王様は裸だー!
第2章 原発推進派の弁明
〖1〗の弁明 原発と住宅の設計は性質が違う
〖2〗の弁明 原発の設計は地表面の揺れを基準にしていない
〖3〗の弁明 地震予知予測
〖4〗の弁明 社会的必要性
原発の耐震設計が低いのでは?
〖1〗の弁明 原発と住宅の設計は性質が違う
「原発の耐震性の対象は構造のみならず、配管、配電関係にまで及ぶのは当然のことなのです。」(54ページ)
「地下と地上の揺れは違うので」比較してはいけない?
〖2〗の弁明 原発の設計は地表面の揺れを基準にしていない
強震動予測?
〖3〗の弁明 地震予知予測
「四つのプレートの境目に存在する世界で唯一の国で、世界の地震の一〇分の一以上の地震が(65ページ)」起きる国でこんな主張が罷り通っている。
⇩本ではこちらの図を参照しています。日本は赤の点で隠されています。
真っ赤❗
〖3〗に関して、本では電力会社の主張を詳しく検証していますが、省き、〖3〗の⑷「なぜ多くの裁判長は差止めを認めないのか」に進みます。
「他の裁判長はなぜこんなシンプルなことが分からないのか」と読者は疑問をいだくのでは? そして、「裁判官が政権または政権に迎合する最高裁に忖度して、あるいはなんらかの圧力を受けたからだ」と考えるのでは?
──それ以外の理由がわたしには想像できませんでした。ところが、
「私はそうは思いません。」74ページ
──では、どんな理由が?
素人にはわからない、難しい専門的なことなんだなという裁判官の思いこみが原因だそうです。
思いこみの原因は単純に知らないから。
①700ガルは震度6か7か、②700ガル以上の地震が過去どれだけ日本で発生したか、③700ガルの地震で普通の建物は倒れるか倒れないかを、裁判官は知らないからだそうです。
「原告側代理人弁護士の多くがこれらのことに関心を持たない」のはなぜ?
「解放基盤表面での揺れと観測記録の揺れは違う」 という電力会社の主張に絡めとられているからです。
そんなことになってしまった原因は、伊方原発最高裁判決の影響。
「私は、原発訴訟が専門技術訴訟であることを一概に否定するものではありません。」「(しかし、大飯原発は)高度な専門技術知識によってではなく、理性と良識によって解ける問題です。」76ページ
原発を止めたいから、裁判という容易とは思えないことをしている原告住民も原告側代理人弁護士をも煙に巻いてしまう「素人にはわからない」の威力──魔力。
「権威主義」につづいて「先例主義」「科学ではなく、科学者信奉主義」の説明がつづき、更に裁判で徒に論争になっている学説の話がつづきますが、既に長くなっているので省略します。
権威主義、先例主義、科学者信奉主義に陥った裁判官は、
ということなのだそうです。
専門技術論争や学術論争にとらわれ、リアリティを失ってしまうのだそうです。
電力不足 二酸化炭素 原発が解決する?
〖4〗の弁明 社会的必要性
☆原発が止まっても火力発電所がバックアップする。原発はもしもの時に備えて火力発電所とセットになっている。
事故当時の計画停電は、「三・一一の地震と津波で原発が止まったのと同時に、火力発電所も地震と津波でやられてしまったからなのです。」106ページ
脱原発派が極めて少なかったころから脱原発の市民運動がつづいていて、原発の誘致に「漁民、農民等が中心になって強固に反対した結果、電力会社は原発の新設を次々に断念せざるを得ませんでした。」
──もし、反対運動がなければ、日本の原発は八〇基を超えていたかもしれないのだそうです。八〇基を超える原発。
「原発で原発をバックアップする体制になっていたのかもしれません。その場合には原発を止めると本当に電気が足りなくなってしまうのです。私たちは反対運動をしてくれた人たちのおかげで、今、安心して脱原発に舵を切ることができるのです。」106~107ページ
☆1「原発は地球温暖化の最も大きな要因の一つです。」
ウラン燃料から出る大量の熱エネルギーのうち発電に使っているのは約三分の一。約三分の二の熱をそのまま海に捨てている。
「原発一基当り、一秒間に七〇トン、七℃海水を温めます*。」
* 1秒間に70トンを超える流量の河川は、日本には30本余りしかない。
☆2「二番目の誤りは発電時にCO₂を出さないことだけを取り上げていることです。」
「原発は鉄とコンクリートの塊です。その建造過程でどれだけのCO₂を出しているか想像してほしいのです。」
「使用済み核燃料を何万年にもわたって保管する費用と、そのために必要とされる人間の活動の総量は膨大なものになります。そして、人間が社会活動をすれば必ずCO₂がですのです。」
☆3「環境に最も悪影響を及ぼすのは原発からの放射性物質」だということを原発事故の経験が教えている。
「環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである(福井地裁判決要旨一六六頁)」
「原発推進派がCO削減を解くのは説教強盗に等しいのです。」
──辛辣なことばが、めずらしく用いられています。
国 富
🌏豊かな国土とそこに国民が根をおろして生活していることが国富🌟
第2章はもう少しつづきますが、
⑦は長くなりすぎましたので、あらためます。
「私が原発を止めた理由」つづく
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫