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ことばの世界に来る前

幼稚園以前

ことばの世界に来る前のわたしは大切なことがわかっていた。
ほんととうそが見えていた。
それに基づいて生きていた。
ことばの世界に来る前のわたしは賢かった。
ことばの世界に来る前のわたしは勇敢だった。
自分に忠実だったから。

幼稚園以後

ことばの世界に来て、適応しようとするほどにわたしはバカになった。
勇気は、きのうのお祭りの時の、寝る前はパンと張っていたはずのヨーヨーさながら、しぼんで戻らなかった。
惨めな者になった。
惨めな自分を救おうとして言い訳をいっぱい考えた。

ことばを、悪者にしようというんじゃない。
ことばは必要だ。
空気、
水、
たべもの、
眠り、
ことば──
ことばは素晴らしい。
ことばは啓き、道案内し、力づけ、共に歩んでくれる。

でもね、人生始まり始まりの時期を生きている人に、赤ちゃんに、大人が「英才教育」を押し付けるは僭越。
赤ちゃんは自ら学んでいる。
大人は子どもの邪魔はしないで、必要そうなものがあれば差し出す。

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