枯れ枝骸骨河童
1997年11月13日(木)
朝起きると手足の指が枯れ枝のように固まっていることはなくなって、本当にうれしいけれど、左の肺は相変わらずよくない。眠っている間、左肺は止まっているのじゃないだろうか。のども、左の方に重さがある。
さっさっさっさとマッサージすると、ようやく血が廻る気がする。眠ると肺が仮死するような気がする。左に問題が多いような。
なだめようとする。なだめようと必死。穴みたいな目。穴なんだ。目玉がない。
嘘です! 嘘です! 見てしまったものは間違いです!
信じこませようとする。
わたしはとっくに骸骨なのだ。
亡霊だ。
お芝居してただけ。生きた人間の役。
誰にも、自分にも、気づかれないところへ行け。
雨が降っている。切れ切れな音が聞こえる。だから星は見えなくて月もない。
大きな穴があり、穴には何もない。
何もないのだから、「その穴の中には何々が幾つ入ります」なんて計算するなよ。
数なんか数えて何が楽しい。
終わった。
終わりなんだよ。
さみしささえない。
何もない。
何もない。
1997年11月14日(金)
こんなわたしでも、人並みにエネルギーを消費して、酸素を使います。
とてももったいないです。
皮肉ではありません。
自嘲ではありません。
だから泣くんです。
書いて、涙が出たら大変楽になった。
最近わかったのは、はなをかむと涙が引っこむ。まるで河童の腕のようだ。
わたしに覆い被さっていたお母さんはもういないんじゃないかしら?
さかさま