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ゴッホの自画像が肖像画の下にあったってさ。

早速二回目の投稿です。
前回読んでくださった方、本当にありがとうございます。

さて、丁度西洋美術史を深めようとnoteを始めた私の目にゴッホのニュースが飛び込んできました。

ちなみに皆さんはゴッホと聞くとどんな絵を思い浮かべるでしょうか

・自画像
・ぐにゃぐにゃの空(夜景)
・ひまわり

という印象が強いのではないでしょうか。
今回はそのうちのひとつ、「自画像」関するお話しです。

その前に

実のところ、ゴッホに関する記事を書く前にこの話をするのが本当に惜しい。というのも、これに関する話をするまでに踏まえておいていただきたい前提があるからです。なので今回は説明し足りない部分が多く、多少表面的な話になっています。
ですが、できる限りゴッホの話の魅力を伝えつつ今回の発見について話したいと思います。

ニュース

簡潔にまとめると、
・7月14日にフィンセント・ファン・ゴッホ作「農婦の頭部」の下からゴッホの自画像がX線により新たに見つかったことが報告された。

・報告をしたスコットランド国立美術館の上級保存修復士レスリー・スティーブンソンは「ゴッホの人生に対する理解が深まる重要な発見だ。」と話した

というニュース。

着目点

この絵のゴッホは帽子をかぶった髭面に左耳がはっきりと描かれている。つまりは皆さんご存じ「耳切り事件」前のものということを覚えておいていただきたい。
つまりどういうことかというと謎を解く手掛かりになる可能性がある
ということです。美術史というのは絵一枚だけでも大きな進展があることは珍しくありません。

そして前提として知っておいていただきたいのが、ゴッホの人生が注目されている一つの大きな理由です。

前提

それはゴッホが何をしていたかが一部を除いてダダ洩れということです。彼は弟のテオと頻繁に手紙を送りあっていました。出来事や自分の状態が事細かく綴られているため、テオは彼にとって金銭的にも精神的にも支えだったことがはっきりと分かっています。

しかしながら、「耳切り事件」に関することは一切手紙等に書かれていないのです。当時同棲していたゴーギャンとの間に起きたトラブルが関係していることは明らかです。ただ、「なぜ耳なのか」や「彼の本意」は誰にも知り得ない訳です。
それも「ゴーギャンが描いたゴッホの耳の形が変だったから」という説まで存在するぐらいなのです。彼ならそれが理由になり得るかと納得してしまいそうですが…(笑)

ゴッホは精神科や病棟にいる間も制作を続け、特に晩年に描かれたものが私たちのよく知る絵だったりします。その間の様子は手紙や実際の証言などの情報によって割と鮮明に分かっています。
しかし今回は自画像を描くような時期、しかも耳を切る前事件前。かなり重要な情報になってくるということです。

今までの定説が変わる可能性もあります。このニュースを経ての展開が楽しみですね。

このニュースを見て

実はこのニュースを観たときに全く驚きませんでした。
というのも絵の下から絵が出てくることは珍しいことではないからです。貧相な生活をしていた画家達にとってはキャンバスも安価なものではありませんでした。そのために納得のいかない絵の上に絵を描くこともありました。ある時代の若い画家達は失敗作を画家仲間にキャンバスとして受け渡し、助け合ったりなんかもしていたのです。

最後に

ハッキリ言ってしまうと我々が知っているような画家は「変人」が多いです。前回も少しお話ししましたが、もし身の回りに居たらドン引きするぐらいですよ。(笑)そしてたしかにゴッホはそのうちの一人です。

しかし、「変な人」という一言でまとめほしくない

なぜならどの文化においても新しいものを誰かが生み出さない限り、廃れていくばかりだからです。Beatlesが今でも愛されているのには、当時は大胆で斬新な音楽だったからという理由がありますよね。しかし著名なアーティスト全員がピカソのように生まれつきの天才だったわけではない。
つまり現代美術が自由な形でいられるのにも先人達の挑戦や苦悩があるのです。

これからも私の記事には個人的な見解も含まれます。しかし不思議で目が離せない先人達の魅力を知って、西洋美術史を新しく教養として得るきっかけになれば幸いです。

参考

「耳が気に食わなかった説」の絵です。
※あくまでも一説

ゴーギャンが描いた「ひまわりを描くヴァン・ゴッホ」



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