古巣の倒産に見る、零細企業の落とし穴とは〜部下は決して本音を語らない
かつて、古巣の社長から全社員へメールの一斉送信で「今後は本音で行きましょう」とお触れが回った事があった。
(当時LINE等は無く、ガラケーのキャリアメールへ一斉送信だったな。そういや必ず出すよう言われていた日報も、個人携帯のメールから社長個人宛だったな。一回も送ったことなかったけど。)
正直な私は、以後、社長へ本音をぶつけてみた。
すると社長から「だからお前はバカなんだ」とお褒めの言葉を戴いた事を思い出した。
社長が「本音で行きましょう」というので、本音を吐くと、バカと言われ、当時の私には全く意味が分からず、悩んだ事を思い出す。
先輩方や同僚は、空気を読んで何も言わなかったのであろうと推測できる。
同様に「今日は無礼講で」という飲み会にも言える事だが、無礼講など実質機能していない言葉だった。
自動車学校に通っていた頃、ある教官が「無礼講で行こう、と銘打った上司との飲み会では、上司は隠れて塩を舐めながら酒を飲み、部下の本音を聞き出す。」と教えてくれた。塩を舐めると酒に酔わないらしい。そして次の日は二日酔いが酷いらしい。
その教官は、飲酒運転をした事があると、懲戒免職モノのカミングアウトもぶちかましていた。閑話休題。
とかく、部下は決して本音を語らない、という前提で接していかなければ、本当の意味での本音にはたどり着けない。
私自身、今はモチーべション管理は自己責任と思うのだが、務め人だった頃といえば、それを会社のせいにしていたし、つまるところ経営者がモチべーションを上げてくれない事が会社のダメな所だと本気で思っていた。
先輩社員方の口からは常々、会社の愚痴が聞こえ、すぐに共感、同調。日々の共通の話題となっていく。
結局の所、勇んで入社した会社も半年後には「給料は我慢料」というマインドへと落ち着いていった。
しかし売上、そして利益は社員が働いてくれる事で、より生み出される訳なので、モチベーションは高い方が良いに決まっている。
大企業、中小企業と、条件面で比較されても勝ち目は無く、そもそも同じ競技では勝負にすらならないし、零細企業に務めるメリットなど、条件だけを見たら皆無かもしれない。
だから、経営者側からメリットを提示していかなければならない。それはメンバーの成長であり、"業務"ではなく"経営"そのものに参加しているという気概を持たせるという事かも知れない。
経営者がテコ入れせずともメンバーが自主的にモチベーションを保ち、全員が当事者意識を持つ。
言う程簡単ではないですが、そんなシステムの構築こそ、零細企業経営者の1番の仕事だと思うのだが、さてどうか。
落とし穴その一
部下の本音は、心の柔らかい場所にある。虎穴に入らずんば虎子を得ず。ミイラ取りがミイラにならないよう注意。