精神が不安定になったとき、僕は森先生のエッセイを読むことですべてがF(Freedom)になる

以下のテーマで書いてみます。


#推薦図書


僕は小さいころから本が好きなのですが、”本の虫”というほど読書狂でもないため、誰に言うわけでもなく、常にカバンに一冊は忍ばせて街を歩く内気な青年です。

そばに置いておくけど、決して依存することはない。本とは付かず離れずといった良好な関係性を保っています。

読むときは読むし、読まないときは読まないし、それは誰だって一緒ではないかと思うので、趣味の欄に書くことを渋って今日を迎えます。

そもそも読むスピードが遅いので、一週間に一冊読めてやっとかなという程度。とにかく長い文章を集中して読むことができないので(すぐに他のことを考えてしまい文字が入ってこない)、読後はいつもドッと疲れが襲ってきます。本当はずっと星新一のショートショートだけ読んでいたいのですが、疲れるから読まない、というのはなんか違うと思うので、いつも気合を入れて読んでいます。


中学生のころは江戸川乱歩、夢野久作、東野圭吾、京極夏彦辺りのミステリを好んで読んでいました。

この流れで大体分かってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、僕の一番好きな作家は森博嗣です。『すべてがFになる』という作品はドラマ化もアニメ化もされていて相当有名なので、皆さんご存知かと思います。

僕も初めは『すべてがFになる』を読み、とっつきにくい文体がとても苦痛だったのですが次第に慣れ、後半の解決シーンの描写がとても綺麗で心をガッツリ掴まれたのを覚えています。

んでもって、シリーズものなので一度読み始めたら『有限と微小のパン』までの十冊を全部読まなくてはなりませんのよね。それに飽き足らず、シリーズを超えた伏線も沢山張り巡らされているので、結局は森作品を全部読まなくてはなりませんのよね。

読むのが遅い(というよりもすぐに気が逸れてしまう)僕は未だに読まなくてはいけない作品が山積みで悲鳴を上げているのですが、森先生の神髄は小説よりもエッセイや新書にあるのではないかなと思っています。


最近ふと、本屋で森先生のエッセイを手に取っていることが増えたなと感じました。

そんな傾向がしばらく続いたので過去の自分を照らし合わせて分析してみたところ、大体が迷っていたり疲れていたりするときにその傾向があるな、ということが導かれました。

日々、いろいろな意見に挟まれ、自分というものを見失うことが多くなっていました。環境が変わったから、というのはとっくに通り過ぎ、少し余裕を持てるようになったからこそ今まで耳を傾けることができていなかった声が嫌というほど聞こえるようになった、といいますか。

そもそも”自分”なんてそんな大層なものは持っていないのですけれど、「僕はこれを信じて進むんだ!」というものをことごとく壊し壊され、情けなくも露頭に迷っていました。

僕は常に、自分に自信がないのです。

反対意見を聞いて、それも頷けるなあと唸り、たちまちに自分が分からなくなってしまうのです。

本を読むスピードが遅いのも搭載されたCPUのスペックの低さに起因しており、とにかく処理速度が遅くキャパシティも狭いために日々頭を悩ませています。これは他人からみてどうこうの話ではなく、僕が僕自身の鍛錬を怠ったために処理が追い付いていないので、余計に腹立たしく、余計に頭が熱を持ってボーっとするのです。

それでも、職場では少しずつ教えられる側から教える側の立場を任されつつ、これではいけないと虚勢を張ってなんとか振舞っていました。

だから、頭の整理もできていないし、時間がないと言い訳をして、単純なものを複雑に捉えたまま走っていました。


そんなときに森先生のエッセイや新書がとても効くのです。

とにかく、タイトルからしてブッタ切ってくれる。

文章はいわゆる解決脳まっしぐらといった感じで、なにごともド直球で本質を捉えた書き方をしています。人によっては冷たく感じて抵抗を覚える方もいらっしゃるかと思います(経験上これは男女関係なく一定数いる)。

ただ、僕はその文章に対して、ひたすら真摯に解決へと導こうとしてくれる森先生の優しさを感じ、こんなにもシンプルに生きてよいのかと読むたびに安心します。


最近手に取ったなかで一番おすすめなのが『自由をつくる 自在に生きる』という本。

著者本人が「これは啓発本ではない」と言っており、確かに分かりやすい方法論などは一切書かれておらず、ひたすら座禅を組まされているような気分になります。

僕なんかは何冊も読んでいるので、改めていままで森先生の仰ってきたことの整理がもたらされたぐらいなのですが(あとがき参照)、初めて読む方には内容の浮遊感が丁度いいかもしれません。

自由について徹底的に考え、やっぱり自由に生きるには辛く厳しい修行が必要なのだなと感じさせられます。

それでも進むべき方向がなんとなく示されて、こんなにも自由でよいのかと、いくらか肩の荷が下りること間違いありません。

最初だったら『つぶやきのクリーム』シリーズなんかも疲れなくておすすめです。


とにかく、精神的に参ってしまったとき、森先生のエッセイなり新書なりを手に取ってみてください。

ほんとうに辛いとき、慰めを与えてくれるのは現実から目を逸らした優しい言葉なんかではなく、本質をまっすぐに貫きすぎてときには耳の痛い言葉なのかもしれません。

宮崎駿がそんなこと言ってました。



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