喇叭亭馬龍丑。日記「『駄目だ、駄目だ』という名の誘惑」 4/10(水)
2024.4.10(水)
「『駄目だ、駄目だ』という名の誘惑」
中野まで煙草の葉を買いに行き、その足でディスクユニオンに吸い込まれる。
心の中で「駄目だ、駄目だ」と呟く声が実に官能的である。使っちゃいけない金に手を出してからが勝負、とギャンブラーは言う。俺はギャンブラーじゃない。勝てる闘いしかしない。『九条の大罪』現時点における壬生憲剛みたいに。
ディスクユニオンに入った時点で俺の勝ちは決まっている。圧倒的なレコード運を味方につけて生きているんだから。
レコードをあらかた見て、良いモノもあるけど、如何せん高過ぎる。俺のレコード運もこれまでか…、と諦めてCDコーナーへ。リー・モーガンの『イントロデューシング』を発見していそいそと手に取る。予感はあった。天啓にも似た直感、とでも言うべきか。
元々、ハンク・モブレーのリーダーアルバムとして計画されたコレ。モブレーのカルテットに本来ならマイルズ・デイヴィスが加わる予定だったらしい。が、来ず。急遽としてホレス・シルヴァーの紹介でリー・モーガンに白羽の矢が立ったそう。(しかもこのアルバム、リー・モーガンのブルーノートデビューアルバム『インディード』の翌日に録音された。才能とは恐ろしいものである)
で、レコード会社のサヴォイがハンク・モブレーをさしおいてリー・モーガンを前面に押し出した結果、このタイトルにこのジャケットとなった。当のリー・モーガン自身はお気に召す出来ではなかったらしいが、バッチバチのトランペットの音にモブレーのテナーが絡む、この先も続く二人の共闘を初記録した歴史的名盤。
まぁそんなウンチクを頭の中で反芻しながら、購入!
いつかこのジャケットでも持っている、ディジー・ガレスピー直系上向きトランペットを吹いてみたいものである。