喇叭亭馬龍丑。日記「新宿BLAZE最後の日にトランペッター会議」「解体的交感な店」「虫に保険金請求」 7/31(水)〜8/2(金)
2024.7.31(水)
「新宿BLAZE最後の日にトランペッター会議」
駅を降りると土砂降り。「すぐ止むだろう」と待つも二十分経っても止まず。より強くなるのみ。開演時間も迫っているので、コンビニでビニール傘を調達。千円弱。ビニール傘、五百円ぐらいの時代で時が止まっていた。これが物価高なのか。ビニール傘といえど大切に使おう…。盗まれず、壊れず、置き忘れず、ように。
ペペ・トルメント・アスカラールによる新宿BLAZE最後の日の弔い解体に立ち合い、そこからトランペッター三人で歌舞伎町に流れ、八月末のイベントの打ち合わせ。
イベントの話を中心にしつつ、なかなかこうしてトランペッターだけが集まる機会もないので、終始トランペット談義。トランペットメーカーやマウスピース、歴代トランペッターの話、練習方法やバテるあるある等々。盛り上がる盛り上がる。きっと吹奏楽部とか音大とかの飲み会はこんな感じなんかな、と夢想す。いいなぁ。
僕は僕で「役得や!」と先輩方のありがたい話に耳を傾ける。貴重な機会をありがとうございます!楽しいイベントになりそうです。
2024.8.1(木)
「解体的交感な店」
世間では「35℃だ!猛暑日だ!!」と騒いでいるが、嘘である。暑いは暑いがもう涼しい。風の中に一抹の寂しさが混ざる季節になりました。八月です。
かつて「粋な夜電波」でもDJミックスされたことのある、園まりさんが七月末にお亡くなりになった、という訃報が飛び込んでくる。ペペ・トルメント・アスカラ―ルの公演翌日に。レスト・イン・ピース!
次の仕事先であるお宅に原付で向かうも迷子になり、下北沢近辺をウロウログルグルと周回する。迷いに迷い、迷った先で見つけた一軒のジャズ・バー。名は「LADY JANE」。はて?どこかで聞いたことのある名前だ。SINCEは七十年代。約五十年の歴史。か細い記憶の糸を辿りながら、脳内検索エンジンをフル稼働させる。
下北沢…。LADY JANE…。……阿部薫だ!
生前の阿部薫が鈴木いづみ等と二〜三回来たことがある、という現存する数少ない伝説の店だ。そんなことを昔読んだ本に書いてあった気がする。
あわわ…あわわ…。どうしよう。入りたい。でもまだやってない。しかも仕事中。
改めて今度遊びに来よう…、と現場を後にする。迷った先にあったパラレルワールドの幻ではありませんように。
良いタイミングなので帰ってから阿部薫✕高柳昌行『解体的交感』を引っ張り出して聴く。いつぶりだろう。初めて聴いた二十代の頃は曲が始まって速攻、「ヤバい…CDプレーヤーがぶっ壊れた」と思ったこのアルバム。相変わらず凄い。凡百のノイズミュージックがひっくり返る有り様。
オリジナル版LPは150万くらいで取引されてたりする。150万ってすごいよな…。レコードだぜ?
持ってたら俺に寄付してください。悪いようにはしないからさ。
2024.8.2(金)
「虫に保険金請求」
歯医者へ自費クリーニングをしに行く。相変わらず始まる前にチョコの如く甘い液体を唇に塗られる。その後は歯茎にかき氷のシロップのようなものを。かき氷のシロップは全て同じ味、という話があるが、今日塗られた瞬間に屋台のかき氷イチゴ味が脳内に浮かんだ。不思議だ。いつだって買うのはブルーハワイ味なのに。
削られて、磨かれる。気持ち良く…はない。
終りにまた唇にチョコ塗られて終了。パン買って帰る。
帰り道、チャリを漕いでいると、前方から超高速飛行する虫が目の端に捉えられる。その瞬間に激突。首が仰け反るほどの衝撃。
虫は遥か彼方から狙いすました様にして俺の下唇に突撃してきた。やめろや、トランペッター黄金の唇やぞ。保険金請求したい。
俺の唇に塗られた甘いチョコみたいな薬液に誘われたのかしらね。