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【相続手続の手順】遺産相続手続のスケジュールを徹底解説!

ご家族や大切な人が亡くなると、様々な相続手続きを行う必要があります。手続きには期限があるものも多く、万が一期限に間に合わないと、追徴課税を課せられたり家族間トラブルにも発展する恐れがあります。

大切な方が亡くなってすぐは悲しみに浸ってしまうこともあると思いますが、ひとつづつ着実にこなしていくために、手続きの一覧をもとにできる限りわかりやすく解説していきたいと思います。

この記事を見てくださった方が、いざ相続が起こった際にトラブルなくスムーズな相続手続きができるようお役に立てましたら幸いです。


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1. 相続手続きの一覧表はこちら!

お亡くなりになってからご遺族の方が行う必要がある相続手続きの流れを、表に一覧にまとめました。

この期限はあくまで目安であり、中にはかなりの時間を要する手続きもありますので、何事もできるだけ早いタイミングで取り掛かるようにしましょう。

2. 各種手続きの詳細を期限ごとに解説!

では、表をもとに各種相続手続きについて、期限ごとに分けて詳しくご説明していきます。

2-1. 死亡日から7日以内の手続き

①死亡診断書の取得

「死亡診断書(死亡検案書)」は通常、死亡の判断を行った医師や歯科医師が記入し発行します。

死亡届と死亡診断書は一体となっており、用紙は病院や葬儀会社、役所の戸籍課などに置いてあります。

A3用紙の右半分が死亡診断書(死亡検案書)で、左半分は死亡届となります。

死亡診断書・死亡届の原本

②死亡届の提出

先ほど死亡診断書は医師が作成すると申し上げましたが、「死亡届」は遺族の方で作成する必要があります。

死亡届が記入できたら、「死亡を知った日から7日以内」に役所に届け出をします。※国外にいる場合は3か月以内

提出先は、亡くなった方の死亡地、もしくは本籍地、または届出人の住所地の役所になります。つまり、「死亡者の住所地」は含まれないことにご留意ください。

③火葬許可証と死体埋葬許可証の取得

遺体を火葬、納骨等するためには、死亡届と同時に「火葬許可書」が必要となります。

「火葬許可申請書」を死亡届と同時に提出することで、火葬許可書がもらえます。

火葬許可書の取得も葬儀社が代行してくれるのが一般的です。

2-2. 死亡日から14日以内手続き

④年金の受給停止手続き(厚生年金は10日以内)

亡くなった方が年金受給者であれば、「年金受給権者死亡届(報告書)」の提出が必要です。

期限は、厚生年金か国民年金かによって以下のように異なります。

・厚生年金…死亡日より10日以内
・国民年金…死亡日より14日以内

提出先は、住民票の住所地の管轄の社会保険事務所です。

ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されている方については、手続は不要です。日本年金機構に故人のマイナンバーが収録されているかどうかは、お近くの年金事務所に問い合わせて確認してください。

⑤介護保険被保険証の返却・介護保険の資格喪失届の提出

介護保険の被保険者が亡くなった場合には、「介護保険資格喪失届」を提出する必要があります。

提出先は、亡くなった方の住民票のある市区町村役場です。届け出と同時に介護保険被保険証の返却も行いましょう。

⑥世帯主の変更届

故人が3人以上の世帯の世帯主であった場合には、「世帯主の変更届」が必要です。

提出先は、亡くなった方の住所の市区町村役場です。

⑦住民票の抹消届

亡くなった方の住民票を抹消する手続きは、死亡届の提出により自動的に処理されます。

そのため、期限は14日以内と定められていますが、特に手続きすることはありません。

また、住民登録が抹消された住民票を「住民票の除票」と呼びますが、これは不動産登記や相続税申告の際に必要となります。

⑧健康保険の手続き

健康保険の手続きとは、主に国民健康保険の資格は喪失と国民健康保険証を返却です。

国民健康保険の資格は、死亡届を提出すれば、死亡日の翌日付けで喪失するため、こちらは特に手続きすることはありません。

国民健康保険証は亡くなった方の住所地の市区町村の保険年金課へ返却しましょう。

⑨公共料金等の引き落とし口座の名義変更・解約手続き

電気・ガス・水道などの公共料金は、故人が亡くなったことで誰も使わなくなるのであれば解約の手続き、遺された家族が使うなら名義変更の手続きが必要です。

この手続きは、期限が決まってるという訳ではありません。ただし、亡くなった人の自動引き落とし口座は凍結されてしまうため、なるべく早く手続きをしましょう。

電話やインターネットでも手続きができない場合は、サービスセンターに問い合わせをして早急に解約・名義変更手続きをしましょう。

2-3. 死亡日から3ヶ月以内の手続き

⑩遺言書の有無の調査・検認手続き

まず、故人が遺言書を遺していたかどうか調査をします。もし、その遺言書が自筆証書遺言だった場合には、「遺言書の検認」手続きが必要になります。

相続人は遺言書を見つけたとしても、絶対にその場で開封してはいけません。家庭裁判所で申立てを行ったのち、申立て後の数週間〜1か月程度で実施日の調整連絡が来ます。

そして当日、家庭裁判所での検認に出席をして遺言書に問題がなければ手続きが完了します。

⑪相続人の調査

相続人の調査とは、本当に相続人に該当するかを出生から死亡までの連続する戸籍謄本を全て集めることです。

相続人に該当する全員分の戸籍謄本も集める必要があるため、かなりの手間と時間がかかります。

戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場で取得できます。

⑫相続財産の調査

相続財産の調査とは、被相続人の財産を全て洗い出す作業のことです。

相続財産は、預貯金や不動産などのプラスの財産だけではなく、住宅ローンや借金などのマイナスの財産も調べる必要があります。

まずは、故人が使っていた金融機関から「残高証明書の発行」手続きをして、普通預金・定期預金・投資信託などのすべての残高や利用状況を確認しましょう。

また、不動産が相続財産にある場合は、不動産が誰のものか、また誰の名義かを調査するため、法務局で「登記簿謄本(登記事項証明書)」を取得しましょう。

もし遺産分割協議の後に見落としていた財産が発見されると、また一から協議をやり直さなければならない可能性があるため、慎重に調査する必要があります。

⑬相続放棄・限定承認を検討

故人に借金や未払金が多く、相続を放棄する場合には、3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出る必要があります。この手続きは、相続人単独で行うことができます。

相続放棄ができる期限は「相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」とされています。

2-4. 死亡日から4ヶ月以内の手続き

⑭所得税の準確定申告

故人が生前中に得ていた収入については、相続人が代わりに確定申告をしなければなりません。これを「準確定申告」といいます。

準確定申告の手続きの期限は、『相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内』とされています。
つまり、一般の確定申告の期限とは異なるため注意が必要です。

なお、次の2つの条件に該当する方は確定申告をしなくてもよいこととされています。

1.年金の収入が400万以下
2.その他の所得が20万以下

このような方はそもそも確定申告を行う必要がないので、準確定申告の必要はありません。

提出先は、亡くなった方の住所地の税務署です。

2-5. 死亡日から10ヶ月以内の手続き

⑮遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書の作成が必要になるのは、主に下記のような場合です。

(1) 遺言書がなく、法定相続割合で分割しない場合
(2) 遺言書があり、遺言書の内容に不備があった場合

遺産分割協議書自体には、いつまでに作成しなければならないといった明確な期限は存在しません。
ただし、相続税の申告期限が「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」であることを考えると、相続開始から6か月以内を目処に作成を進められるのが理想的です。

⑯預貯金・有価証券等の名義変更

亡くなった方が銀行口座をお持ちの場合、預貯金の口座が凍結され、預貯金をおろすことや、引き落としや振り込みなども一切できなくなります。
また、有価証券を持っていた場合、それらの名義変更手続きをすることが必要です。

この手続きは、⑨と同じく期限が決まってるという訳ではありませんが、引き落とし口座が凍結されてしまう前になるべく早く手続きをしましょう。

これらの手続きは、各証券会社や金融機関で行います。

⑰不動産の名義変更

亡くなった方が登記されている所有権の登記名義人となっている場合、名義変更の手続きが必要です。

不動産の名義変更は、義務もなければもちろん期限もありませんでした。

ただし、2024年4月1日から義務化され、不動産の所有者に相続があったときは、相続により不動産の所有権を取得した子どもは「相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内」に不動産の名義変更登記が必要になります。

これをしないと、10万円以下の過料の対象となるため、注意しましょう。

登記の申請場所は、不動産の所在地を管轄する法務局です。事前に、どこの法務局に申請すればよいのか確認しておきましょう。

⑱相続税申告

相続税申告が必要な方は、亡くなったことを知った日から10ヶ月以内に相続税申告、納付が必要な方は納付まで行う必要があります。

たとえ、一定期間内に遺産分割協議が整わなかった場合でも申告の期限を延ばすことができないため、法定相続分で相続があったものとみなして申告をしなければなりません。

また、相続税の納税資金が必要な場合には、納付期限に間に合うように相続手続きを行わなければいけないので、前もって準備を始めるようにしましょう。

相続税の申告書は、被相続人の死亡時における住所地の所轄税務署長に提出します。

まとめ

いかがでしたでしょうか。大切な方が亡くなった後には、これだけたくさんの相続手続きが必要なことがおわかりいただけたかと思います。

相続は誰しも何度も経験することではありません。慣れない状況でもスムーズな相続手続きがてきるよう、事前にどんな相続手続きがあるのかや、その概要を把握しておくことが大切ですね。