読書メモ 「息子と狩猟に」
読み終わった瞬間に「あぁーーーー!!!」って言っちゃった。
面白かった。
ゾクっとした。
こういう小説もあるのか〜〜〜。目からウロコが落ちまくって、ついつい読書メモに小説の感想も書いてしまうほどに。
元々は、間違って買った本だったの。
アマプラのカリギュラで、東野幸治がガチの狩猟に挑戦していて。そのインストラクターをしていたサバイバル登山家の服部文祥という人に興味を持って、Twitterをフォローしたのがキッカケ。
Twitterで紹介されていた著作のうち、「息子と狩猟に」というタイトルを見て、実体験・ノンフィクションだと思って買ったら小説だった。
だから、小説・物語としては全然期待してなくて、読みたかったのはリアルな狩りの描写だったんだけど、どうしてどうして。小説としてめっちゃ面白かった。大当たり。
中編2本が入っていて、もう一作「K2」という中編がまだ読めてないのだが、あまりにも感動したので新鮮なうちに感想を書いておく。
以下、ぎりぎりネタバレは避けられていると思う。
現代に生きる2人の猟師のおはなし
主人公Aは、週末狩猟を楽しむお父さん。普通に社会人生活をしながら、趣味として狩猟をしている。
ある週末、息子を連れて山に入る。息子は猟に連れて行ってもらえるのを楽しみに待っていた。
主人公Bは、オレオレ詐欺のリーダー。愚かな老人を狩ることを生業とする、街に生きる猟師。
幼少期に暮らした村でオジイに色々と仕込まれていて、山や猟に詳しい。
物語は、A、B、交互の視点で描かれていき、やがてある山の中で2人の行動が交錯する。
面白ポイントは「読後感」に全振り!
この物語の面白さは、登場人物に感情移入することでもなく、物語の起伏にドキドキすることでもなく、なんなら臨場感ある山や狩猟の描写ですらない。
この小説の面白さは、すべて読後感に凝縮されている。
最後の1ページを楽しむために、他のすべてが構築されている。
あー、そうか。そういうことか。という感動。
かと言って、別に作中の謎が最後に解ける、とかそういう話ではない。ただ「これは、そういう小説だったのか」という発見に感動をしたのだ。
そうかあ、だから「息子と狩猟に」だったのか。
これは、イニシエーションの話だったのだ。