好きなピアニスト
先日友人の結婚式に招待していただいて、プロのピアニストさんの演奏を聴く機会があった。最近はしばらくピアノから離れていたものの、私自身ピアノを幼いころから二十年ほど習っていたのもあり、久々にクラシック音楽のすばらしさを思い出した。これを機に、近年の色々な若手ピアニストの演奏を聴き比べしているうちに惚れてしまったのが藤田真央さんの演奏である。「一耳ぼれ」とでも言うのであろうか。
一つ一つの音の粒がまるで光の粒がぽろぽろとこぼれるように美しい。どの音も限りなく濃厚で永遠を感じるのに、それでいて、いやそれだからこそ、刹那の儚さを訴えかけてきて切ない。彼が若いからというのもあるだろうが、彼のこの演奏を聴けるのはこの一瞬だけでこれから刻々と変わっていくような予感をはらみ、その時点で完成されたような美しさが儚さを訴えかけるのかもしれない。少年少女時代の美しさと同じような気配を感じる。もちろん演奏が未熟だという意味では全くなく、むしろその逆である。曲の解釈や、演奏技術といい素晴らしい演奏家である。
ピュアさや清純さも含めてずっと聞いていたいと思いつつ、様々な経験を経て彼の演奏がこれからどういう風に変化していくかもとても楽しみである。しっかりファンになってしまったので、これから応援していきたい。
残念ながら緊急事態宣言の影響で10月の東京公演のチケットは取れなかったので、次回に期待である。しばらくはヴェルビエ音楽祭の配信が見られるので、最近はそれを楽しみに生きている。