この栗は食べられないの? 〜パリひとり旅 #7
◆体と心を満たして
リュクサンブール公園の植え込みはいつも丹念に手入れさえ、通りを行く人も、ベンチで本を読む人も全てがその公園の一部であるごとく、溶け込んでいるように見えます。
先程行ったBread and roseカフェからは目と鼻の先。素敵なカフェで体を温めて、こんな庭園で心を温める、これほどの贅沢はないでしょう?
◆20年前の記憶
リュクサンブール公園を満たされた気持ちで歩いていると、芝生の上にたくさんの栗をみつけ、その瞬間、また20年前にタイムスリップした私。入社2年目の秋、フランスが好きな同期と一緒に旅したことがありました。
私は好奇心旺盛で、その栗がいかにも丸々と美味しそうだったものだから、近くを散歩している初老のムッシュに、「Que ce que je peut mangé ce marron?」(この栗は食べられるのですか?)と怪しいフランス語で聞いたのでした。
ムッシュは変なやつが変なこと聞くなぁと言うような面持ちで、「sauvage marron ¥&@#+」と繰り返すのでした。二人とも食べられないことはわかったけれど、ソバージュてなに?とても気になりながらムッシュにお礼を言って庭園をあとにしました。その当時スマホどころか携帯も普及していなかったため、帰国してから辞書で調べ、初めてあのムッシュの言っていた意味がわかり、二人ともそれ以来、ソバージュと言う単語を忘れることがありません。ソバージュとは、´野生の’と言う意味でした。
20年後の今もリュクサンブール公園に同じように丸々とした栗が、たくさん実っていたことで、変わらないものの上に、変わりゆく年齢が重なり合い、また新しい感性の記憶として残っていくのでした。
◆ランナーもパリ仕様?
さて、ソバージュマロンは変わらなかったもの、一番変わったことは、リュクサンブール公園を走るランナーのなんと多いこと!みなクールなスポーツウェアに身を包み、スタイル抜群、意識高い系の美男美女です。
リュクサンブールだけでなく、セーヌ川沿いにもたくさんのランナー。こんなパリの街を走れるなら、私もきっと意識高い系になれそうな気がする!