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皮脂と食生活の関係:美肌のための食事とは?~腸活ラボマガジンVol.44~



はじめに

こんにちは、やまだです。今回は、皮脂と食生活の関係について解説したいと思います。
皮脂は、僕たちの肌を潤し、保護する大切な成分です。しかし、その分泌量は、ホルモンバランスや遺伝的な要因だけでなく、僕たちの食生活とも密接な関係があることが明らかになってきました。
今回は、皮脂の役割、皮脂と食生活の関係、そして美肌のための食事について詳しく解説していきます。

皮脂の役割

皮脂は、皮脂腺から分泌される油性の物質です。その主な役割は以下の通りです。

皮脂は、皮脂腺で作られ、毛包から分泌される。https://www.doctors-organic.com/hishi/index.html
  • 保護機能: 皮脂は、肌を摩擦や乾燥から守るための自然な潤滑剤として機能します。これにより、外部からの刺激や感染から肌を守る役割も果たします。

  • 保湿効果: 皮脂は水分を閉じ込めることで、肌の水分保持を助けます。これにより、肌が柔軟で健康的な状態を維持することができます。

  • 抗菌特性: 皮脂には抗菌作用があり、特にサピエン酸などの脂肪酸が含まれており、これが細菌や真菌から肌を守ります。皮脂はまた、ビタミンEなどの脂溶性抗酸化物質を運ぶ役割も果たし、酸化による肌のダメージを防ぐ助けとなります。

  • ホルモン調節: 皮脂腺はホルモンによって調節されており、特にテストステロンなどの性ホルモンが皮脂の生産に大きな影響を与えます。思春期にはホルモンレベルが上昇し、それに伴い皮脂の生産も増加します。

  • 皮膚のpHバランス維持: 皮脂はわずかに酸性であり(pH 4.5〜6.0)、これが有害な病原体が皮膚に侵入するのを防ぐ役割も果たします。

皮脂の構成成分

皮脂は、トリグリセリド、スクアレン、ワックスエステルなどが主な成分です。
皮脂の90%は、皮脂腺由来です。そして、皮脂腺では、脂腺細胞が全分泌(脂腺細胞が破壊されて、中身が放出されること)して、皮脂が作られてます。残りの10%は、皮膚表面の角層細胞が垢としてはがれる時の脂質です。ここには、天然保湿因子や、角質細胞間脂質などが含まれています。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/18_binkanhada/index2.html

これらの成分のバランスが崩れると、肌トラブルの原因となることがあります。
スクアレンやワックスエステルは、加水分解をうけませんが、トリグリセリドは、皮膚にいるアクネ菌など常在菌のリパーゼによって加水分解を受けて脂肪酸とグリセリンが産生されます。このグリセリンが、保湿効果を発揮するので、皮脂は不足してもトラブルの原因になります。また、皮膚の機能性の観点だけでなく、肌の美しさ的観点からも皮脂が不足すると、ひび割れや乾燥に繋がるので良くありません。
皮脂の加水分解で塩も生じます。これによってもともと流動性のなかった皮脂に流動性が生まれ、毛包から分泌されます。
分泌された皮脂は、時間がたつと徐々に酸化されていきます。そして、皮脂が酸化された過酸化脂質は、皮膚の刺激となるので、洗顔でしっかり落としましょう。

皮脂の生産と調節

皮脂の生産は、ホルモンの影響を強く受けます。思春期など、ホルモンバランスが変化する時期には、皮脂の分泌量が増加し、ニキビが発生しやすくなります。また、性差もあり、男性では、テストステロン、女性では、アンドロゲンによる影響を大きく受けます。

  • テストステロン:皮脂腺における皮脂の分泌を促進する重要なホルモンです。主に睾丸で生成されるテストステロンは、皮膚に運ばれた後、酵素の働きによってデヒドロテストステロン(DHT)という活性の強いホルモンに変換されます。このDHTが皮脂腺の受容体に結合し、皮脂の分泌を促進します。
    ・男性の場合:思春期から20代にかけてテストステロンのレベルが高まり、それに伴い皮脂分泌も増加します。これがニキビや毛穴の開きといった肌トラブルを引き起こす要因となります。男性ホルモンが多い男性は、40代から50代になって初めて皮脂分泌が減少し始めるため、それまではニキビやオイリー肌で悩むことが多いです。
    ・女性の場合:女性でもテストステロンは卵巣で生成されますが、その量は男性の約10分の1です。しかし、女性でもストレスやホルモンバランスの変化によってテストステロンやDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)のレベルが上昇し、これが皮脂分泌を増加させることがあります。特に30代から40代にかけては、エストロゲンの低下とともにDHEAが増加し、これがニキビや毛穴の開きにつながることがあります。

  • 男性ホルモン(アンドロゲン): 男性ホルモンは皮脂腺を刺激し、皮脂の分泌を増加させます。特に思春期やストレスが多い時期には、男性ホルモンの分泌が増え、これがニキビの原因となることがあります。

  • 黄体ホルモン(プロゲステロン): 生理周期において、排卵後から生理前までの期間に黄体ホルモンが増加します。このホルモンも皮脂分泌を促進し、特に生理前には肌が脂っぽくなりやすく、ニキビができやすくなります。

  • エストロゲン: エストロゲンは主に美肌作用を持ち、皮脂分泌を抑える働きがあります。生理中にはエストロゲンの分泌が減少し、これが肌のバリア機能を低下させる要因となります。

  • ストレスとホルモンバランス: ストレスは自律神経を介してホルモンバランスに影響を与え、男性ホルモンやコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を増加させます。これにより皮脂腺が刺激され、ニキビが悪化することがあります。そのため、ストレス対策が非常に大切です。ストレスを減らす一番の方法は、運動です。必ず生活に取り入れましょう。また、音楽や読書など自分の趣味や好きなことに没頭することもおすすめです。

皮脂と肌の健康

皮脂は、肌の健康維持に不可欠な成分ですが、過剰な分泌は毛穴を詰まらせ、ニキビの原因となります。一方、皮脂が不足すると、乾燥肌や肌荒れを引き起こす可能性があります。

皮脂と食生活の関係

近年、食生活が皮脂の分泌に影響を与えるという研究結果が数多く報告されています。皮脂を構成する脂質のうち、トリグリセリドは、血中のものが利用されるので食事の影響を大きく受けます。
以下は、皮脂の分泌を増加させるまたはニキビを引き起こす可能性がある食事の例です。皮脂の過剰分泌が気になる人は要注意です。

https://mocomoco-kitchen.com/2022/03/11/low-gi-bread-making/
  • 乳製品: 乳製品に含まれるIGF-1(インスリン様成長因子-1)は、皮脂腺の細胞増殖を促進し、皮脂の分泌を増やす可能性があります。

  • 精製された炭水化物: パンやパスタなどの精製された炭水化物は、血糖値を急上昇させ、皮脂の分泌を促進する可能性があります。

  • トランス脂肪酸: マーガリンやショートニングなどに含まれるトランス脂肪酸は、炎症反応を引き起こし、ニキビを悪化させる可能性があります。

  • オメガ6脂肪酸: 肉や植物油に多く含まれるオメガ6脂肪酸は、過剰摂取すると炎症反応を促進し、ニキビを悪化させる可能性があります。

脂肪酸の分類

美肌のための食事

美肌のために心がけるべき食事は以下の通りです。おおまかには、前述の食品と反対になるような食品が理想ですね。

  • 低GI食品: 全粒穀物、野菜、果物などを中心とした食事を心がけましょう。

  • オメガ3脂肪酸: 魚やナッツに多く含まれるオメガ3脂肪酸は、抗炎症作用があり、ニキビの改善に効果がある可能性があります。オリーブオイル、亜麻仁油、魚油などの良質な脂質を摂取しましょう。

ただ、積極的にとるべきなのは、オメガ3脂肪酸ではありますが、オメガ6脂肪酸やオメガ9脂肪酸も、大切です。
理由としては、下記のように皮膚のバリア機能に必須だからです。オメガ6は角質細胞におけるセラミドの生成を助けます。また、オメガ9脂肪酸は、抗酸化作用活性が高く活性酸素から皮膚を守る働きをします。
いつも言っていますが、0、100ではなくバランスが大切です。何も意識せず生活しているとオメガ3の割合が不足しがちなので、オメガ3摂取をおすすめしているというわけです!

https://purefield.jp/news/omega3_skin.html
  • ビタミン類: ビタミンA、C、Eなどは、抗酸化作用があり、肌の健康維持に役立ちます。特にビタミンEは、皮脂の酸化を防ぎます。

https://recipe.seikatsuclub.coop/news_story_detail.html?NTC=0000150070
  • ミネラル類: 亜鉛は、皮脂の分泌を調整する働きがあると言われています。また、種々の酵素の働きに必要なイオンなので非常に大切です。

  • 食物繊維: 食物繊維は、腸内環境を整え、肌の調子を整える効果が期待できます。

  • 水分: 十分な水分を摂取しましょう。

以上が皮脂と食生活についての関係の概観になります。もう少し分子メカニズムにまで掘り下げてみましょう。ここから先は、深く理解したいという方にのみ読んでいただければと思います。

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