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老化の原因「ゾンビ細胞」を倒せ!~腸活ラボマガジンVol.20~
はじめに
こんにちは、やまだです。今回は、ミニトピックとして、現在研究が進んでいる老化に抗う一つ「ゾンビ細胞」を殺すことで健康に年をとっていこうとする試みを紹介しようと思います。
ゾンビ細胞とは何か?
体のいろんな所に、ゾンビのような細胞が存在しています。これらは「老化細胞」と呼ばれ、もはや元のように機能したり増えたりはしません(ref1)。しかし、死なずに残り続け、体のさまざまな問題を引き起こす可能性があります(ref2)。それらは年を取るにつれて増えていきます。
科学者たちは10年以上にわたり、これらの細胞を特定して消すことができる薬を調査してきました(ref3,4)。2015年の研究では、2つの化合物(ダセチニブとケルセチン)が、高齢のマウスの老化細胞を消すことができることを発見しました(ref5)。これにより、マウスの体の弱さが減少し、心臓が若返り、走る能力が向上しました。これにより、「老化細胞破壊学」と呼ばれる新しい医学分野が開かれました。
現在、新しい結果がこの分野に勢いを与えています。研究者たちは、老化細胞を再プログラムしたり、死滅させたりするために遺伝子ツールを使っています。また、老化細胞を消すための免疫細胞を操作する人もいます。そして、約20の臨床試験が進行中です。研究者たちは、アルツハイマー病、肺疾患、慢性腎臓病などの老化に伴う症状と戦うことを期待して、老化細胞を消すことができる新薬や再利用薬を試験しています。
「老化細胞を消す治療法が臨床に影響を与えると確信しています」と、老化細胞を消す薬を開発している企業(ユニティバイオテクノロジー社)のCEOは話しています。
老化細胞は1961年に初めて記述され、分裂することができる回数が限られている(約50回)ことが発見されました。しかし、老化細胞がどれくらいの時間存在するのか、すべての細胞が老化する可能性があるのかなど、まだ解明されていないことがあります。
老化細胞が生まれる背景
老化細胞は、細胞が分裂する限界に達するだけでなく、身体的なダメージや栄養失調、紫外線によるDNAのダメージなどによっても発生します。当初、研究者たちは、これは細胞が制御不能に増えてがんを引き起こすのを防ぐための進化の結果だと考えていました。しかし、細胞がただ死ぬのではなく、体内に残ることが理解できませんでした。
最終的に、研究者たちは、老化細胞が細胞死を避けて機能を果たすことができ、強力な炎症シグナル(IL-6やIFN-γなど)を出し、免疫系によるダメージ細胞の排除を促すことを発見しました。これは、損傷した組織が再生や修復のためのスペースを確保するのに役立ちます。
しかし、このプロセスは、年齢とともに免疫システムが弱くなり、過剰な炎症を引き起こす老化細胞の蓄積につながるまでうまく機能します。研究者たちは、老化細胞の蓄積と加齢に伴う炎症が、骨粗鬆症、糖尿病、心臓病、腎臓病、アルツハイマー病などの多くの病気と関連していることを発見しました。この認識は、細胞が何をしているのかを理解することから細胞を殺す方法を解明することへの転換を促しました。
老化細胞を除去して健康寿命を延ばすには?
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