部下のことで悩むまえに知って欲しい[米軍式]部下のトリセツ
「普通はこうですよね?」「どうせ無理ですよ」「私に言わせると……」「それって意味があるんですか?」
チームに流れる不協和音と、乱れとぶこんなフレーズ。みんなで仕事をするときに、避けてはとおれない部下との人間関係……
この問題に悩む前に、考えてほしいのが「部下の属性」です。
部下を「親」「子ども」「兄弟」「親せき」の4つの属性に区分して、言動を見直してみませんか?
米軍採用の手法だけれど、実は「日本生まれの米軍育ち」
今まで部下のことで、気がつかなかったことが見えてきます。
なぜ米軍では、部下の「属性」を考えるのか?
ストレス環境の戦場では、背中をあずける部下の掌握が非常に大切になってきます。 そんなとき米軍では、部下を属性に置き換えます。「親」「子ども」「兄弟」「親せき」の4属性です。
なぜ千差万別の人格を、特定の属性に置きかえることが有効なのか? それは人を含むすべての動物は、ある一定のストレスを与えると性格や能力などに関係なく、特定の行動を始めるからです。
一例として「ネズミを迷路に閉じ込めて一定のストレスを与える」という行動心理学の実験があげられます。その環境下でネズミは、最初に学習したルートや行動を繰り返したり、あきらめて無気力になったりという特定パターンの行動を始めます。
職場は常に良くも悪くもストレス状態です。そこでがんばる部下の皆さんにも、特定パターンの行動が見られるとは思いませんか? だからこそ属性にそった対応が有効になってくるわけです。
それぞれの属性の特徴とポテンシャルを最大限に発揮させるために必要なこと
「普通はこうですよね?」 みんなを育てたい親属性部下
親属性部下の行動原理は「あなたにプロジェクトをとおして成長してもらいたい」「プロジェクトを成功させて、みんなで成長したい」 といった育てる目線です。
常にあなたの意をくんで、先へ先へと準備をすすめてくれます。非常にありがたい存在です。
でも、ひとたびボタンを掛け違うと現場は2度手間の嵐、ストレスパンパンでチームはピリピリムード……
親属性部下がおこす問題への対応は「共感」と「意志発信」です。
チーム混乱の原因とはいえ親属性部下のしたことは、あなたを含む、みんなの成長を思ってしたことなのです。部下の行動に、まずは「共感」しましょう。
そして最も大切なことは、あなたのしたい方向性をしっかり「意思発信」しましょう。親属性部下は本当の親ではありません。そしてあなたは、子供ではなくチームのリーダーなのです。
そうすれば納得した親属性部下は、あなたのチームの頼れるまとめ役になるでしょう。親は、子どもの成長を見まもるものなのですから……
「どうせ無理ですよ」 楽しくやりたい子ども属性部下
子ども属性部下の行動原理は「みんなと楽しく仕事をしたい」「みんなとがんばっている過程が楽しい」といった楽しむ目線です。
仕事がうまくまわっているときは、チームのムードメーカー。プロジェクトをすすめる原動力として、全力で仕事をしてくれます。
でも、ひとたび仕事がうまくいかないと、部下の姿勢は一気にまち受けに……
子ども属性部下がおこす問題への対応は「寄りそい」と「意思確認」です。
自分の仕事がうまくいかない時でも子ども属性部下は、かつて楽しかった雰囲気を取りもどそうと懸命にもがいています。子ども属性部下には、まずはあなたが、問題があった内容に対して寄りそって理解をしてあげることが先決です。
大事なことは、問題解決をとおして子ども属性部下に成長してもらうことです。子ども属性部下に「本当はどうしたかったの? 」といった意思確認が必要です。あなたは、子ども属性部下自身が問題を考え、改善する手伝いをしてあげる必要があります。
そうすれば成長した子ども属性部下は、また、あなたのチームの元気な原動力になるでしょう。子どもは、成長するものなのですから……
「私に言わせると……」 競いあいたい兄弟属性部下
兄弟性部下の行動原理は「私が1番、あなたの役にたつ」「私が1番、チームの中で活躍をしている」といった競争目線です。
常にエネルギッシュ! チームの仕事を積極的にこなしていきます。時にはあなたや先輩の指示を、飛びこえて突っ走ります。
でも、ひとたびあなたの指示が自分のルールに合わない時は、ことあるごとに不平と不満のオンパレード……
兄弟属性部下がおこす問題への対応は「理解」と「納得」です。
競争目線のミスリードとはいえ兄弟属性部下のしたことは、チームに貢献したかった気持ちのあらわれです。行動をまずは理解しましょう。
兄弟属性部下の不平不満に対し、あなたから改善の方向性を示して納得をえましょう。そしてルール化することが大事です。とくにホウ・レン・ソウのルールは忘れずに!
そうすれば兄弟属性部下は、あなたの頼れる右腕になるでしょう。兄弟は、支えあうものなのですから……
「それって意味があるんですか?」 距離をたもちたい親せき属性部下
親せき属性部下の行動原理は「ルールをまもってミスなく確実」「ペースをまもってしっかり貢献」といった堅実目線です。
常にタンタンと! 決められた仕事をこなしていきます。プロジェクトのペースメーカーとして、堅実着実にチームをゴールに進めていきます。
でも、ひとたびチームのリズムがくずれたときは、あたえられた仕事に対して疑問と疑念の雨あられ……
親せき属性部下がおこす問題への対応は「評価」と「回答」です。
堅実目線の親せき属性部下は、良くも悪くも目だちません。しかしそれは、あなたの指示をしっかり理解し、ルールにのっとって仕事をしている証拠なのです。行動をまずは評価しましょう。
そして親せき属性部下の疑問や疑念に対し、あなた自ら、しっかり回答しましょう。
そうすれば親せき属性部下は、あなたのチームの頼れるペースメーカーになるでしょう。親せきは、家族をあたたかく見まもるものなのですから……
まとめ
チームの問題に対して、属性という観点からアプローチをする手法を紹介しました。
属性の理解は、部下がもつ特有のニーズや行動原理を明らかにします。
どの属性も、実はチームのためにがんばっています。ただ、行動パターンがちがうので、求める対応が異なるのです。
部下の行動を属性のフィルターをとおして見ることで、リーダーとしての対応もより的確になります。
属性にあったアプローチを心がけて、部下との信頼関係をきずき上げていきましょう。