逆ピラミッド組織に生まれ変わるためのステップ(財務経理) ~1. 自分たちの組織の理解①~
逆ピラミッド組織に生まれ変わるためのステップ
前回は、自分たちの取り巻く環境から、財務経理の組織の構造について綴りました。
その中で「逆ピラミッド組織に生まれ変わる」重要性を実体験を通じて説明しました。
今回から、「逆ピラミッド組織に生まれ変わる」ためのステップを具体的に綴っていきたいと思います。
5STEP
自分たちの組織の理解
まずは自分が未来志向に
現状の組織にインプットしたことをあてはめる
優先順位をつけて全体周知
半年に1回全体にレビュー
では、今回は「1. 自分たちの組織の理解」について綴っていきます。
1. 自分たちの組織の理解
財務経理組織の機能を紹介していきます。
①債権管理
②債務管理
③資金管理
④管理会計
⑤財務会計
⑥税務会計
⑦内部統制
この機能の中で自分たちの組織はどこにあてはまるか考えてみてください。
前回説明した財務経理の役割(カタリスト、ストラテジスト、スチュワード、オペレーター)を財務経理の機能を掛け合わせたイメージ(役割×機能)が上記です。
各機能がどういった内容かを説明していきます。
①債権管理
債権(売掛金や未収入金等)の管理をする業務のことです。得意先と取引を開始し、売上額を請求し、入金を確認するまでの売上(債権)に係る一連の流れを全て管理します。
債権管理の最終目的は、売掛金が期日までに回収することです。
債権管理の一連の業務の流れを以下に示します。
得意先の信用情報の入手(与信審査)
信用情報を基に回収サイト、取引金額の決定
売上計上
期日までに売掛金が入金されるかの確認
入金されない場合、督促
債権管理を実行していく上での各役割を以下に示します。
【ストラテジスト】
与信管理を行う上でのガイドラインの策定、信用リスク管理方針の策定、一連の業務を実行できるような仕組みづくり(システム導入)
【カタリスト】
上記ガイドライン、方針をオペレートできる仕組みの検証、全体周知
【オペレーター】
仕組化された業務を実行・運用
【スチュワード】
上記ガイドライン、方針が適切に実行されているかのモニタリング(必要に応じて取締役会に報告)
この後説明する機能にも共通しますが、ストラテジストから全てがスタートします。
なので、ストラテジストはとても重要な役割です。
②債務管理
債務(買掛金や未払金等)の管理をする業務のことです。仕入先と取引を開始し、原価・経費が請求され、期日までに支払いを行う一連の流れを全て管理します。
債務管理の最終目的は、債務(買掛金・未払金)を期日までに支払うことです。
債務管理の一連の業務の流れを以下に示します。
仕入先の信用情報の確認(取引可否の決定)
支払いサイトの交渉
債務(買掛金・未払金)計上
期日までに支払処理
上記の流れに出てこない業務を紹介すると、以下のようなものがあります。
・従業員の立替経費精算
・債権と債務の支払回収サイクルのモニタリング(流動性リスク)
債務管理を実行していく上での各役割を以下に示します。
【ストラテジスト】
仕入先と取引を行う上でガイドラインの策定、流動性リスク管理方針の策定、一連の業務を実行できるような仕組みづくり(システム導入)
【カタリスト】
上記ガイドライン、方針をオペレートできる仕組みの検証、全体周知
【オペレーター】
仕組化された業務を実行・運用
【スチュワード】
上記ガイドライン、方針が適切に実行されているかのモニタリング(必要に応じて取締役会に報告)
最近、電子帳簿保存法が改訂され、導入する企業が増えています。
電子帳簿保存法に適応するために、システム導入や仕組みづくりをすることがストラテジストに求められており、それによりオペレーターの工数削減に大きく貢献します。
(電子帳簿保存法に適用するためのステップも別で紹介できればと思ってます。)
③資金管理
資金管理は「資金調達」と「資金運用」の大きく2つに分けられます。
資金調達とは、金融機関や投資家から資金を調達することです。
資金運用とは、調達した資金を事業にどう投資・運用し、株主に還元するかを決定し実行することです。(アロケーション)
債務管理を実行していく上での各役割を2つの業務から以下に示します。
[資金調達]
【ストラテジスト】
調達目的の整理、調達先の選定、調達方針の策定
【カタリスト】
調達先との交渉・実行
【オペレーター】
調達実行後の処理(元本の返済、利息の支払)
【スチュワード】
方針通りに適切に実行されているかのモニタリング(必要に応じて取締役会に報告)
[資金運用]
【ストラテジスト】
調達した資金のアロケーション方針の策定(事業投資、株主還元等)、アロケーション方針に従った資金計画の作成
【カタリスト】
アロケーション方針の実行
【オペレーター】
資金計画との予実分析、最新の将来資金繰りの作成・更新
【スチュワード】
方針通りに適切に実行されているかのモニタリング(必要に応じて取締役会に報告)
今回は、3つの機能(債権管理、債務管理、資金管理)を説明しました。