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夏の足音

夏といえばプール。

娘 生後8か月。新型コロナウイルスがなければ、今ごろは市民プールに連れていけたのだろうか、それともさすがにおうちの庭でビニールプールを広げて遊ぶくらいの規模のほうが楽しめるのだろうかと 、“たられば”な夏にあれこれ想いを巡らせる。


せっかくの連休なのでおうち時間くらい派手に遊ぼうと思い、トイザらスに並んでいたビニールプールの中で一番大きなプールを買った。

“おもちゃ”というのは通常「わが子のため」という大義名分のもと財布のひもがゆるむものかもしれないが、ここまでくると誰がどう見ても「親の悪ノリ」である。

いいのだ。スライダーが付いているのを見た瞬間、私の中にある子ども心が黙っていなかったのだから仕方ない。

このサイズだと足で踏んで膨らますのは到底無理だと予見して、電動の空気入れを購入していたのだが、これがまた良い仕事だった。このサイズのプールがたった2分ほどで膨らみ切る。さらに、空気を抜くときも、ポンプを逆流させればプールの中に水が入っているとはいえほぼ同じ所要時間で小さくまとまってくれた。時代とは便利になったものだ。


いざ、娘に初めての水着を着せて、水に足を入れる。

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つめたい ー。
その一言に尽きた。

と同時に、頭の中が懐かしさでいっぱいになる。そうだ、プールは意外と寒かった。真夏でも水の中というのは冷たい。いつの間にか忘れてしまった感覚だった。

そしてすっかり童心にかえった私は張り切りすぎるほど張り切って娘の小さな小さな足を水に付けた。

ギャン泣き。
ご近所中に叱られるのでは、なんて思うほどのギャン泣き。

これは実母が水遊びの楽しみ方を教えようとしたものだが、まったくもってダメだった。

泣きじゃくる娘を見てまたひとつ思い出した、水は怖い。そう、水は怖いものなのだ。毎日ご機嫌で湯舟に浸かっているからきっと楽しんでくれるだろうと、私はとんだ勘違いをしていた。

娘にとってはさんさんと降り注ぐお日さまの下、なぜか屋外で、冷たい水に浸かるというのは奇想天外な出来事でしかなく、相当びっくりしてしまったようだった。

その後も抱きかかえて手元で水をぱちゃぱちゃと立てるのが精いっぱい。脚のつま先が少しでも水面に触れようものなら、両足をばたつかせて抱っこをせがんだ。これならいっそ庭に大きめの洗面器を出して足をつける、くらいでも良かったのかもしれない。

「はじめてのプールはこうなるわよね」と笑う実母。…こうなることを知っていたのなら、どうして私がこんなに巨大なプールを膨らましているときに一言言ってくれなかったのかと問うと、

「だって、二度見した頃にはプールは膨らみきっていたんだもの」と。

どうやら本日のMVPは、2分で巨大プールを構築・3分で元ある形に戻した電動エアーポンプかもしれない。

娘が思ったリアクションをしてくれなかったのは少し残念だったが、こんなことで気落ちしない自分がいるのが育児の面白いところかもしれない。


ちなみに実母から「プールは水を張って2時間くらい外に放置しておいたらお湯になってちょうど入りやすくなる」とアドバイスを得た。屋外でお湯に浸かるくらいならいっそ近場の温泉に行った方が早いかもしれない気がしたが、ぜひまた近いうちにおうちプールに挑戦してみようと思う。

夏の訪れを実感した1日だった。
明日もたのしく過ごそう。

2020/07/25 こさい たろ

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