あざ
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私の左足の裏、ちょうど土踏まずの辺りには、赤いあざがあります。盛り上がってもなく、まわりの皮膚と溶け込むように、そこだけ赤いあざです。指で押すと一瞬消えてまたふわ~っと浮かび上がってきます。
これは、母からの遺伝です。
母は右の瞼に小さな赤いあざがありました。目を開けるとあざは隠れて見えなくなり、下を向いたり目を閉じると見えるくらいほんの小さなあざです。
小さい頃は、『私もお母さんみたいに赤いあざがある、お母さんと一緒だ、嬉しい』って思っていました。姉弟には赤いあざはどこにもありません。
私にだけあるなんて、私がお母さんの血を一番受け継いでいるんだ!って思って誇らしかったことを思い出します。
この赤いあざは、冬場、足が冷えてくると紫色になります。冷えて血行が悪くなるから赤いあざも紫色になるのだと思います。
結婚をして息子が生まれた時、息子の右の瞼にもほんの小さな薄赤いあざがありした。息子の瞼のあざも目を開けると隠れて見えないあざでした。
母は、息子の瞼をとても気にして「大丈夫かな、薄いから消えるかな」と、息子を抱っこしては言っていました。
私は消えても消えなくてもいい、従妹たちにもない息子だけへのおばあちゃん(母)からの贈り物だから、と思っていました。
でも、息子が1歳を過ぎた頃に、その薄赤いあざは次第に薄くなり消えてなくなりました。
母はとても安堵していましたが、私はちょっと寂しい気持ちがしました。
息子は、赤ちゃんの頃に消えてしまった、自分の瞼のあざのことを知る由もありません。
最近、気温の低い朝などは足が冷たいって感じる時があって、家に居る時、靴下を履こうかどうしようか迷います。
手で足先を温めながら、久しぶりに足の裏の赤いあざを、まじまじ見ていました。
母のことを思い出し、自分が小さかった頃を思い出し、このあざを誇らしく思った気持ちも思い出しました。
天国にいる母は、毎日楽しく暮らしているかなと思います。瞼の赤いあざは母のチャームポイント。天国でもかわいい~💖とか言われているのかな😊
写真の母は、いつもにっこりやさしく微笑んでいます。
お母さん、天国で元気で暮らしていますか。
私も元気で毎日楽しく暮らしているよ😊
最後までお読みいただきありがとうございます。