#16 自然とこころのごっつぉ
8月の猛暑日。真夏の陽射しは容赦なくそそぐ。
歩いて歩いて、目的地へとカメラをぶら下げ歩き続ける。
絞れるほどになって、使いものにならないタオルで額をぬぐい、暑さに顔をゆがめながらも夏らしさを感じた。
たんぼの横で手招きする農家のおじさん。
「この水は地下水だから飲めるよ。お兄ちゃん汗だく。飲んだらいい。こんなところまでよう来たね。」
水のキンとした冷たさがのどから体を伝ってしみていく。
「このきゅうりもトマトもうちの畑の。冷やしてるからかじりゃいい。」
”パキッ!シャリッシャリッ”
”ジュワッ”
みずみずしいきゅうり、皮は張り、青臭い主張の強いトマト。
「冷たい!これうまい!生き返った!お代わりいい?」
「好きなだけ食べな。野菜もうれしいもんだ。ハッハッハ いくらでももってきてやっから。」
湧き出る地下水の冷たさ、野菜の力強さ、人の温かさ。
自分だけのこころの夏休みを残したくて、水に揺れる野菜たちにおじさんのこころを乗せて、夢中にシャッターを切った。
こんなところに列車撮りになんか、よく来るねぇ。
一列に並んだカメラマンたちは笑顔でおじさんと話し、温かさに触れた。
暑い夏、栃木の烏山での私のこころのディスカバー。
『自然とこころのごっつぉ』Photo by Taromaru
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