#21 たった一言からの乾杯。
ひょんなことから「オフ会」をすることになった。
Twitterでつながった、フォロワーさんとの話がきっかけだ。
もちろん面識も無いのだけれど、気づけば仲良くなり意気投合して、つぶやき続けて、気づけばつながる。
面白い世の中になったものだ。
浅虫でプリンの甘さと心の温かさに触れ、青森市内へと車を走らせながら、連れは市内で下ろし、蟹田に寄り道をする。
ああ、駅前の食堂は今回はお預けか。
そんなことを思いながら、カメラを持つ。
なんと気持ちいい青空だ。函館も見えるんじゃなかろうか。
海を見て、抜ける青を見て、穏やかな気持ちではあったが、どこか落ち着かない。
緊張するもんなんだなぁ。
文字で話したことはあるが、初対面には変わりない。
青森に戻り、撮ったものと同じ車両に乗り込んだ。
タラコも弘前へお帰りのようだ。
津軽は雪。あの空はどこへ行った。
暖冬と言われる中、鉛色の空からは白い雪が落ちてくる。
冬はこうじゃないと。
―――――――◇◇◇―――――――
弘前は少し降りたくらいで、深堀りしたことが無い街だ。
大体は自分の経験値で行動するが、弘前はいつも、寝台あけぼのを撮り、すぐ追いかけて青森へ向かってしまう。
通過点の街での、初めてのオフ会。
縁もゆかりもない関東在住の人間と、ただ文字でのつながりで集まれる。
そんな旅を国鉄は、ディスカバージャパンは、想像しただろうか。
逆に自分はその頃のターゲットと同じく、自分を探す旅に出ているのかもしれない。
ただ、今回は旅の前から青森の人々の温かさを感じたのであった。
「お店、おすすめありますよ!」
「お店の空き聞いてみますよ!」
「今のところ大丈夫。人気なので早めの予約がいいですよ!」
Twitterで話す中で、お店の予約の段取りまであっという間に進んでしまった。
こんなに温かいことって、他の街で体験したことあっただろうか。
当日もお店に着いて話すと、
「青森のもの出してあげて!と言われてますので、楽しみにしてくださいね。」
ここまで他の街で歓迎されることなんて、あっただろう。
旅はいつも孤独で、自分だけの舞台を粛々と過ごし、話し相手や共感相手は自分だけではなかっただろうか。
感動に浸りながら、時間になり続々と初対面の”友達”がやってくる。
”答え合わせ”が楽しい。
文通相手と会う感覚はこのようなものなのだろうか。
みんな揃えばすぐに「乾杯!」
少しお酒が入れば、もう初対面の感覚は全くない。
寝台特急での偶然の出会いに匹敵する、同じ空間を共有して打ち解けたような感覚だ。
いつぞや会ったことがあったのではないかと錯覚するくらい、距離が近い。
本当は”同窓会”なのではないか。
ざっくばらんな話の中で、今までに考えたり知ることが無かった視座をたくさん知った。
青森を感じる絶品料理を堪能し、お酒も進み、いい時間を迎える。
店を出て
「またやりましょう!」
手を振り、少しふらつきながら宿に戻る。
「良い会だった。本当に良い会だった。感謝だ。」
と、繰り返し連れに語り掛け、凛とした夜風に当たりながら酔いに浸った。
青森・弘前での温かいこころのディスカバー。
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