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あれ?おとうさんって呼ばれたっけ?…まあ、いいか

「土曜日の夜行バスに乗って日曜日の早朝東京に着いて、そのまま千葉へ向かって子どもたちと面会、その日は実家に泊まって、今日の新幹線で戻ってきて、直に来ました」

「え、大変じゃないですか…」

「まあ、あんまり長く休みをもらっても、悪いんで」

「悪いことはないんじゃないですか?有給取るのも権利のうちなんで」

パート先で、チェッカー社員のシロさんとそういうことを話していた
シロさんは清く正しく最近の若者然として、ちゃんと仕事とプライベートとを分けて、プライベートの方を大事にする
それでいて、自分の仕事はきっちりこなすし、以前に、休憩中のボクにちゃっかり仕事を振ってくるチェッカーパートさんを諌めたりもすることもあった
シロさんがパートさんに軽く注意をした後、2人で話をした時に
ボクは割とそういうのには対応する性質なので
「まあ、別にボクならいいですよ」と言ったが
シロさんの曰く
「休憩するのは権利なんで」
と、きっぱりと言い放つ
「あー…人の権利を守ることは大切ですね」
同意してみた
「そうですよ、延いては自分の権利を守ることにつながります」
シロさんはそういう人だ

どうしてボクの休み中の足取りに対する話題になったのかというと、チェッカーチーフのみどりさんへ「チェッカーの皆さんでどうぞ」という名目でお土産のお菓子を渡したからだ
お土産いただきましたのお礼から、どこで買ったものなのかという話題にまではするが、なんの目的で行ったのかまでは踏み込んでこないあたりが、プライベートを大切にするシロさんらしい

隠し立てするようなことでもないのだが
離婚してから離れて暮らしているミツキとミナトとの面会のため、というのが今回休みをとった目的だった
休みを取るのは労働者の権利で
ミツキとミナトに会うのはボクの権利だ

新型コロナウイルス感染症が流行してからというもの中断させられていた2人との定期的な面会も、今年になってようやく再開された
年に2回、ミツキとミナトの誕生日に合わせる形での面会日、今回は上の子の誕生日である16日より1週早くの面会日設定となった
理由としてはパート先が人手不足でヒィヒィ言っている時の連休中に休みを取りにくいというのもあるが、連休価格の夜行バスはお高いというのが主な理由
前回の5月では、かなり緊張したのだが、今回は少しは落ち着いてミツキとミナトの住む最寄駅で待っていると、時間をちょっと過ぎた頃に2人がやってくる
この、ちょっと過ぎてやってくるのは、元配偶者が約束の時間ピッタリに車から下ろすので、車から歩いて駅の改札口まで登ってくる分、ちょっと過ぎる、1分1秒たりともボクと一緒に我が子を居させたくないという意思が嫌というほど伝わってくるのだが、もはやそんなことはどうでもよい
前回のように、お互い、えっと?合ってるよね?というぎこちない挨拶ではなく、お互いにお互いを認識して歩み寄る
その場で行き先を決める
ミナトは
「5月の時はぼくの誕生日回だったのに、結局みーちゃんのお買い物になってたから、今度はぼくがみーちゃんより買ってもらうんだ」
なんて意気込んでいる
今回も、前と同じショッピングモールで良いということになった
券売機で切符を買う
ミナトはまだ小学生で子供料金だということをミツキに指摘されながら切符を購入して電車に乗り込む
しかしながら、うっかり1つ前の駅で降りてしまったことに改札を出たところで気がついた
うぅ、こういうウッカリをやってしまうのがボクのクオリティというものなのが辛いところである
よし、降りてしまったものは仕方がない
前回との違い、この失敗もスパイスなのだろう
歩いて行くと20分かかる上、台風一過のギラギラ太陽がアスファルトとビルとの照り返しにより四方八方から日光を浴びせてくる
クソ暑い
どうしたもんかと辺りを見渡すと、ちょうどショッピングモール行きのバスが停まっている
こいつは重畳
3人でバスに乗ることにした
ミツキとミナトもあまりバスに乗ることは無いようだったので、これはこれでよかったらしい
駅からショッピングモールへの運賃は現金支払いの特別料金で1人100円
2人に100円ずつ渡し、目的地に到着、停車後に車両前方の運賃箱へと硬貨を投入するところを、ウッカリ両替のためのコイン投入口へと100円玉を入れてしまう姉弟を温かい目で眺めた
ウッカリは遺伝するらしい

今回は前回行っていない別館へと向かう
目的はミツキが
「今まで紙でしか絵を描いていなかったけど、デジタルの方にも興味がある」
と言っていたので、電気屋へ行ってiPadのまえ世代のお値段がおいくら万円か見てみようと思ってのことだ
結果、付属品含め税別6万円くらい
店員さんから金額を聞いたミツキはうえって顔をした
ボクとしては、中学校の入学祝いとしてちゃんとしたのを渡せていなかったので、買ってもいいと思っていたのだが、ミツキの方が腰が引けてしまったらしく
「じゃあ、やめておく」
ということになった、高価すぎるものを買ってもらうと、また何か言われてしまうというのもあったのかもしれない
清水寺の舞台から飛び降りるくらいの覚悟を持ってこの場にいるボクとしては
いいや、やっぱりデジタルツールは早いうちから触って慣れていた方が良いから買ってしまおう
なんて言おうとしていたのだが
それを察してなのか、ミツキはすぐさま
「それよりさ、ここにくる途中のスポーツ用品店で卓球のコーナー見つけたんだよね、そこで買ってもらっていい?」
自ら代替案を提示してきた
ミツキがそうしたいというのだから、反対する理由もない
来た道を少し戻ると、吹き抜け構造の上の階に確かに卓球用品が並んでいる1角が見えた、そのままエスカレーターで昇っていく
ミツキは小学校の頃から卓球を習っていて、中学の部活も卓球を選んだのだと、そういえば前回聞いていた
卓球については、ルールをギリギリ知っているくらいなもので、ちゃんとしたラケットはラバーを自分で貼るのだということをこの時初めて知った
自分の欲しいものをヒョイヒョイと選んでいくミツキを眺めながら、ボクとミナトは最近の身の上話に花を咲かせた
彼も彼なりに小学校の交友関係で苦労するところもあるらしい
とりあえず、理不尽にはちゃんと怒らないといけない時もあるもんだ、なんてそれっぽいことを言っておいた
小さい時からミナトは気の優しいやつだった
ミツキがなかなかに手早く商品を選び終えたので、一緒にレジへと向かう
ちゃんとしたスポーツ用品はなかなかのお値段で、合計金額は3万円を超えていた
やっぱり、男子小学生のミナトがどれだけ背伸びをしたところで、女子中学生の購買意欲には叶うはずないんだな
なんてことをしみじみ思った
ミナトが今回買ったのは、
駄菓子屋さんで1000円分、なぜが律儀にお釣りの2円を返してきた
本屋さんで漫画を6冊、にゃんこ大戦争の雑学本1冊
タピオカミルクティー
ドトールでまさかのほうじ茶
キャラものグッズ店で小さいタコのぬいぐるみと何かの消しゴム1セット
ガチャガチャを3回回した程度
結局1万円いってないんじゃなかろうか?
ミツキなんて、ミナトが必死にボクにお金を使わせようと頭を捻って欲しいものを探している間にヒョイヒョイと大爆殺神のキャラものパーカーだの何だの手に取っていたぞ
たぶん、あれ全部で1万円超えるぞ
そんなことより、着る気満々でキャラもの上着買うとか
モッフン、どうやらオタク気質も遺伝するらしいね
ボクは夜行バスに乗った時からずっとベルトにぶら下げていたポーチ付きエコバッグにデザインされたチビモッフンへと話しかけ、ウンウンとモッフンを頷かせた

楽しい時間はあっという間に過ぎるもの
遅めのお昼を食べて、ショッピングモールを後にして、電車に乗る
今回はちゃんと制限時間を過ぎずに元の駅へと間に合った
ほんの少し時間があったので、駅の売店でアイスでも買おうと誘い、ハーゲンダッツを買ってプチ贅沢の味を教え込むという悪事をおこなった

ミツキとミナトと別れた後は再び電車に乗り込り、南船橋駅に降り、ららぽーとへと立ち寄る
千葉の土産物が置いてある店へ立ち寄り、なんか適当に落花生饅頭を買って店長への土産とする、あと、グローサリー部門の社員さんで近々転勤する人の選別品も選ぶ、限定の枇杷カントリーマーム、これなんかいいんじゃないかな?グローサリー部門は菓子類も扱う部門だし
ららぽーと内の以前パートで働いていたドンクに立ち寄り、パンド・ミとクロワッサンを買ってから実家へ向かう、道中でクロワッサンを食べる
久しぶりに食べるドンクのクロワッサンは、やはり地方スーパーの店の味とは一味違った
実家では、相変わらず仲の悪そうな夫婦が仲の悪そうな雰囲気を醸していた
相も変わらず不健康そうな体格の兄はAC6のネット上でのお祭り具合を饒舌に教えてくれた
1泊して朝、実家を発つ
さて、これから長い出勤時間です
新幹線の時刻よりかなり早めに東京駅に着く
ゆっくりとみどりさんへの…ゲフンゲフン
パート先へのお土産を選ぶ、もちろん店長のより良いやつを


そんなこんなで戻ってきました
その週の畑多楽縁はかなり秋めいていた

秋の味覚ははばからない
サトイモもそろそろ試し掘りしても良いかもしれない
ハムシにたかられるダイコン
ラベンダーとセージと這い寄るサツマイモ
これこそローゼルのツボミ
サツマイモに負けてるぞレモングラスくん
花芽っぽいパッション
パッションジャングル
キュウリは週2、3本のスローペース
復活のミニカボチャ
バジルが生い茂る
ピーマンはまだ元気
成長がゆっくりになった寸詰まり感あふれるオクラ
秋茄子はヨメに食わすな
食わしちゃいけない理由が、ヨメに食わすなんてもったいないっていう酷い理由とは思わないじゃないですか
モロヘイヤタワー
蒔き直しだのがさっそく出てきた
雨が降るようになってやっとパクチーに元気が出てきた
お巡りさん、コイツです
お巡りさん、ここにも
マルチを貫くラッカセイ
赤くないというだけであんまりトマトと認識されない
不憫なヤツ

今年はとにかく日照りの夏で、日照時間は申し分なくサツマイモの一人勝ち状態
試し掘りしてみても良いサイズ感で、久しぶりに苗作りからやったサツマイモ栽培も成功といって差し支えないだろう
ここでうまくいってるんだ、同じ苗使ってうまくできませんでしたっていう人が出てきても、きっと、やり方が悪かったんですねぇ
ということで押し切れる
問題があるとすれば、結構な量の苗があの場から巣立っていったので、サツマイモがダブつくかもしれないということだ
さて、どう出し抜こうか…
星さんはもう来年のことを妄想し始めているようだが
ボクは来年、どうなっているだろう
みどりさんとはちゃんとサヨナラできているだろうか
みどりさんとサヨナラしてボクはちゃんとしていられるだろうか

わからないな

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