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「当たり前」を疑うことから始まる成長と変化

たかが1%、されど1%

『1%の法則』という言葉をご存じでしょうか?
簡単に言えば、毎日1%ずつ努力を積み重ねた場合、1年後にはどれだけ成長しているのか、逆に毎日1%衰退した場合、1年後にどうなっているのか、ということを示す法則です。

数学的に計算すると、次のような結果が得られます。

  • 1.01の365乗37.78

  • 0.99の365乗0.03

たった1%の違いでも、1年後には大きな差が生まれることがわかります。これは、人の努力や成長も同じです。もちろん、実際の成長は波のように上がったり下がったりしますし、毎日努力し続けることは難しいでしょう。それでも、「小さな積み重ねが大きな変化を生む」というこの法則のインパクトは十分に伝わります。

「何もしない」とはどういうことか

では、「衰退」とは具体的に何を意味するのでしょうか。私の考えでは、それは「何もしない」ことだと捉えています。

お金を例に考えてみましょう。
例えば、いま手元に100円玉があったとして、その価値が10年後も同じだと思いますか?答えは「いいえ」です。その理由は、インフレーション(インフレ)にあります。例えば、現在100円で買えるパンが、10年後には120円になるかもしれません。つまり、同じ100円では将来、パンを買えなくなる可能性が高いのです。

この価値を維持するには、何らかの努力が必要です。投資をしたり、インフレに強い資産に変えたりといった行動が求められます。

同じことが組織にも当てはまります。
今までこういうやり方でやってきたからこれからもそのやり方でやる、これがうちの伝統だから、と今やっていることを「当たり前」として捉え、何も
努力をしなければ、組織の価値は年々下がっていきます。

保育運営における「何もしない」とは

保育業界でいうと、ありがちな例としてはこんな言葉がよく聞かれます。

  • 「うちは代々このやり方でやってきたから」

  • 「これがうちの伝統だから」

  • 「新しいことをやる余裕がないから」

つまり、現状維持を正当化し変化を避けるケースが「何もしない」といえるでしょう。

「何もしない」結果、組織が衰退=園の価値が下がり、少子化の中で選ばれなくなる園になっていく、という可能性は十分に考えられます。
一時的に保護者から選ばれている園であっても、それが「保護者の情報収集能力の弱さ」による場合、いずれ淘汰される可能性が大いにあります。保護者が情報を集め、より良い保育を提供する園を選び始めると、現状維持の園は見向きもされなくなるおそれがあります。

行動経済学的な視点からみると、人は非常に不合理な生き物です。経済学は人は常に合理的な判断をする、という前提で考えられていますが、最近はむしろ人は不合理な生き物であるということで「経済学」+「心理学」が組み合わさった行動経済学的な視点が注目されています。

先ほどの例でいうと、「現状維持バイアス」「損失回避」「埋没コスト(サンクコスト)」が働いていると言えます。

  • 現状維持バイアス:現状を維持しようとする心理的傾向のこと。

  • 損失回避:人は利益を得る喜びよりも、損失を避けることに強く反応する心理傾向。

  • 埋没コスト:既に費やしたコスト(時間やお金)を取り戻せないにもかかわらず、それを理由に非合理的な行動を続ける心理傾向。

成長のスタートは「当たり前」を疑うことから

そもそも、変化する必要性を感じていなければ、人でも組織でも変わろうという動機は生まれません。
ではどうしたら変化の必要性を感じることができるでしょうか。
それは、「当たり前」を疑うことです。無意識に、あるいは惰性で続けていることがあれば、「なぜこれをやっているのだろう?」と問い直してみてください。

続けているということは、それをやらなければならない理由や、やることの目的やねらいがあるはずです。逆に理由や目的が明確でなければ、その行動を見直す必要があります。

また一人で気づきにくい場合は、職員同士で振り返るのも有効です。他者の視点が新たな気づきをもたらしてくれます。

「当たり前」を見直すおすすめ書籍

当事者だとなかなか気づかないことも、外部からみたらあれ?と思うことも多々あります。なかなか気づきにくいと思う方は、下記書籍もおすすめです!

大事なことは、本質を見失わないこと

見直しを進めることは、必ずしも「変えなければならない」というわけではありません。見直した結果、本質的に変える必要がないと判断できれば、現状を維持しても構いません。

重要なのは、「何のために見直すのか」「何のために成長するのか」という本質を忘れないことです。

保育・教育に携わる者としては、『保育・教育の本質について』でも書きましたが、保育・教育の本質は、全ての子どもたちが「生きたいように生きられる力」を身につけ、「自由の相互承認の感度」を育むを目指すことが最上位目標となります。
その目標を達成するために、いまのままでも大丈夫なのか、成長していかなければならないのか、その判断を見極めていくことが大切です。

この記事を読んで、何かヒントになっていれば幸いです。最後までありがとうございました。


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