【駄文】猫を飼いたい姉の話3
福島県動物愛護センターを訪問し、猫との面会、諸手続きをしてまいりました。コノエミズさんの記事からヒントを得て、フェロモンで猫を惹きつけられるように準備した秘密のネタがこちらです。
北海道産の「こまい」を使用したおつまみ、「むきこまい」です。函館のセイコーマートで「自分用のお土産」に購入しておりました。こちらを食した上で、ジャケットの内ポケットに忍ばせて、「福島県動物愛護センター」を訪問します。
最初に「講習会」を受講し、命を譲渡していただく。ということの責任を確認させられます。猫と幸せに暮らすために、真剣に講習を受講します。予想以上に重たい内容の講習会です。
その後、猫たちとのお見合いです。電話で希望する猫の話はお伝えしていましたが、
ズッキューン
『「茶トラの子猫」が現れた』
しかも、私の姿に気づくと、起きて、仕切りのところに下りてきて
「ニャー、ニャー」と泣きながら、仕切りをカリカリ、カリカリです。
さらに奥の部屋では、他の子猫も、「ニャー、ニャー」、カリカリする音が聞こえています。
ウェブサイトの写真でも気になっていましたが、茶トラは少し痩せ気味で、顔はほっそり、目はまん丸です。
センター職員の方が、
「抱っこもできますよ」
と説明してくださいましたが、そんなことをしたら、そのまま連れて帰りたくなってしまいます。「いえ、他の子も見ます」とお断りし、足を踏み出しましたが、「天国と地獄」のような複雑な心境です。どの子も可愛すぎです。ウェブでは「決めにくいなぁ」と感じて、実物を見にきましたが、これでは、選ぶことができません。ガラスの靴を見つけることができません。
第1候補としていた「三毛猫」は第3候補と考えていた「サビ」と同じ部屋にいました。姉と話していた「この子たち、姉妹かもね」という台詞が思い出されます。センタ―職員に確認すると、「そのようです」とのこと。
「2匹一緒に譲渡を申し込むことは?」
「できません」
ですよねぇ。そういうもんですよね。ということで、片方を申し込むということは、姉妹を引き離すということ。そういうことのは仕方がないと思うものの、自分が引き離す当事者になることについては、抵抗を感じます。
その他も、皆個性豊かで可愛らしいし猫ばかりでした。どの子を選ぶということはおこがましく、もし譲渡申し込みが無い子がいれば、その子にしようかと思いましたが
「全員、問い合わせを受けております」とのこと。
猫の飼育室の構造は、入口と出口が一箇所だけで、入ってから、突き当りまで行くとUターンして戻ることになります。ということは、一番奥の猫を見た後は、もう一度猫の姿を見ることになります。ということで、
出口の直前で、また、茶トラからの「ニャーニャー」、カリカリの洗礼を受けることになりました。
飼育室を出て、センター職員さんの
「いかがなさいますか」
との問いかけに、「少し時間をください」と答え、椅子に深々と腰を下ろしました。
目を瞑り猫たちの姿を反芻します。正直なところ「どの子でも良いです」という心境です。1匹も「シャーッ!」はありませんでした。どの子も飼育室から外に出て、新しい世界を望んでいるようです。その力になれるのであれば、嬉しいと思うだけです。
センター職員から渡されたエントリーシートには「茶トラ」の名前を記入しました。最初に心を鷲掴みされた時から、選択肢は無かったのかもしれません。
「申し込みいただきましたが、私どもの方で審査をいたしますので、他に申し込みがなくても、譲渡が決定したわけではありません」
ルールどおりの説明だとは思いますが、「82歳、73歳、51歳の家庭では審査に値しません」と言われているような、卑屈な気持ちになります。
この子たちが幸せに暮らせるのであれば、それが一番です。と、職員さんに口に出せるほどの度量はなく、御礼の言葉を伝え動物愛護センターを出ました。けど
皆、幸せになって欲しい。
青い空を見上げ、心からそう思いながら、スマホで約1年振りにSEKAI NO OWARIの「RPG」を流しながら帰宅しました。
空は青く澄み渡り、天は1人と1匹に微笑むような柔らかな光を降り注ぐ。いつか、そんな日が来るかな。