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#忘れられない旅 第10話(最終回) 2019年11月 宇都宮

 人生は旅のごとし。ということで、古い話が多くなり恐縮ですが、「旅」の思い出として人生を振り返ります。

#忘れられない旅  
第10話(最終回) 2019年11月 宇都宮
※ 本稿は過去作品のリライトになります。また「福島太郎の誕生エピソード」として何度か使い回ししているお話になります。
 そのため「この話、読んだことがある」と感じた方、何度も同じ話をすいません。
「福島太郎」としての「人生・旅のはじまり」を持ちましてこのシリーズを閉じたいと存じます。

 5年前の2019年11月17日(日)、福島太郎はこの世に存在していませんでした。Amazonでは、1冊も書籍の販売をしていませんでした。「無」というべき存在でした。

 この日、福島太郎の本体「よしきく」は、宇都宮駅の近くで不整脈の発作を起こし動けなくなりました。通りすがりの男性の方が救急車を呼んでいただいたことで、宇都宮病院に救急搬送されそのまま入院となりました。

 宇都宮病院に救急搬送された時は、おそらく「心筋梗塞の疑い」と考えられていたのだろうと思われます。
「一刻の猶予もなく、緊急手術が必要」
くらいの雰囲気でしたが、バイタルチェックなどをする中
「これ、心房細動(不整脈)ですよねぇ」
という判断がされた時の周囲の「失望感」は、何とも言えないものでした。雑な言い方をすれば、
「えーー、手術じゃないのぉ」
という空気に包まれてしまい
「申し訳ありませんでした」
と謝罪したい気持ちで一杯になりました。

 とは言えなかなか薬が効かず、心房細動の発作が続くため酸素が体に供給されず、血栓ができやすい状態が続いていましたので、心電図や酸素吸入、点滴、尿道カテーテルなどの管まみれ、身動きができない状況で、集中治療室にベッドを置かれることになりました。
 点滴や注射で心房細動の発作を抑えようとしていたみたいですが、その日はうまくいかず、一晩のうちに3回、除細動器により心臓を止められるという経験をしました。

 ちなみに、除細動器を使うことは「フリーズしたパソコンの電源を強制的に切り、復旧を試みる」という感じで、体への負担が大きい印象です。
 医師らによる献身的な処置を受けながら、その夜に考えました。
「このまま、死んでもよいかな」
 両親より先に逝くこと、下の娘が大学在学中であることに、多少の不安や抵抗はありましたが、家庭も仕事も地球も、自分が居なくても回っていくだろう。それなりに人生を楽しんだし「これにて終了も有」という心境で、集中治療室で目を瞑り、苦しい呼吸を繰り返していました。

 ところが一晩が過ぎ、断続的な発作は続くものの、何となく「一命は取りとめました」という雰囲気が集中治療室内に漂い始めました。そこで今度は、
「生き延びた、生かされた。じゃぁ俺は何をしなければならないのか」
を考えはじめました。道端で拾ってもらったような命だけれど、このまま無駄にしてしまっては申し訳ない。
 という気持ちの中、公務員という仕事が合わず、体調を崩したり、退職したり、虹の橋を渡った後輩たちのことを想いました。彼らに何もすることができなかった自分の行動を悔やみました。
「俺は、公務員のことしか知らない。けど公務員のことなら多少は知っている。だから、公務員になりたい方や悩める若手公務員のために、自分が知る限りのことを伝えたい。そのために生かされた命を活かしたい。公務員の実態を伝えるための本を書こう」
と考えました。

 寝返りすらできない身動きができない身体でしたが、一人で考える時間だけはありましたので、内容やペンネームは何にしようと考えながら、
「公務員のための本を書き終え、さらに生きていたら、福島県の良いところ、凄い人の話も伝えたい。俺は福島のことしか知らないから、福島のことを伝えよう。役所の申請書の記入例では「〇〇太郎(○○は地名)」が多いから、そのまま「地名太郎」という名をペンネームに使おう」
ということで「福島太郎」というペンネームに決めました。

 このような環境で、福島太郎は2019年11月18日に生まれ、福島太郎としての「人生・旅」は宇都宮市から始まりました。
 「よしきく」が、病になり死を受け入れたことで「福島太郎」は生まれ生かされています。本体が老いていくのを受け入れつつ、もうすぐ5歳になろうとしています。
 病死が無ければ生まれず、生かされていることや、老いへの感謝もありませんでした。
 だから生老病死に感謝して、日々を楽しんでいきたいと考えています。

 宇都宮病院で独りで生まれた「福島太郎」はnote街を訪問したことで、素晴らしい方々とのご縁をいただきました。
 皆さまへ感謝の気持ちも忘れずに生きていきたいです、生かされていることを楽しみたいです。
 一度は死を受け入れましたので、お金も栄誉も賞賛も賞も、何も要らないのです。
 ただ、自分が死んでも回り続ける未来を、より良くしていく夢だけを見続けたいです。

 福島太郎が満3歳を迎えた後に刊行した「スプラウト」には、こんな文章を遺しました。

生命は負けない、どんな困難にも生命は負けない。
その力を信じて、土や心を耕しながら種を蒔いていく。

福島太郎著:スプラウト

 これから何が起こるかわかりませんが、福島太郎もスプラウトの主人公のように生命の力を信じて、土や心を耕しながら未来を夢見て「書く」という種を蒔き続けます。
 ここまでお読みいただいた皆様に、心からの感謝を申し上げます。
(リライト原稿ここまで)

 ということで、元々は「JTBさんの企画に応募」するために書き始めた「忘れられない旅シリーズ」ですが、ホロホロと第9話まで書いたところで募集期間が終了してしまいました。
 我ながら「中途半端だなぁ」と感じていたところに、ハスつかさんが「9はキリ良くしたい」と書き、はそやmさんが「宇都宮ネタ」を書いてくださいましたので、「よし、キリ良く第10話、宇都宮にしよう」と考え、「そういや前にも何回か宇都宮ネタは書いている」ということに気づきまして、今回のリライトとなりました。

https://note.com/hasoyam/n/n64cc8c6beb5a

 基本的に「書きっぱなし」なので、読み返す機会が少ないのですが、ハスつかさん、はそやmさん、JTBさんのおかげで、過去の原稿や出来事を振り返ることができたことに感謝です。
#かこに感謝し未来を夢見て生きていく
#地には平和を人には愛を
#何を書いても最後は宣伝
 「公務員のタマゴに伝えたい話」をリライトした「公務員になりたいと思った時に読む本」が「ビジネス実用社さん」から9月1日に販売予定となっています。

 note街の皆さんとの旅路と交流のおかげで、5年前は想像もしていない場所に立てていることに感謝です。

 


サポート、kindleのロイヤリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれんつふぉーらむ福島」さんに寄付しています。 また2023年3月からは、大阪のNPO法人「ハッピーマム」さんへのサポート費用としています。  皆さまからの善意は、子どもたちの未来に託します、感謝します。