【創作SS】お題『1秒の恋』
東京メトロ有楽町線 新富町駅の改札を潜り階段を1番ホームに下る。4月から毎朝変わらないルーティーン。
8時4分の電車を敢えてスルーして、電車から降りた人が階段に向かう流れに逆らい、階段から1番遠い車両の停車位置まで進む。次の電車でも会社の始業時間には十分に間に合う。
それにこの位置の車両は人気が無いらしく、席が空いていて座ることができる。このアドバンテージは大きい。
次の電車が近づくアナウンスに続き、パーーンという高い音、電車の駆動音が遠くから近づいてくる。
風を運んできた車両が停車しドアが開く。
いつもと変わらない目をした彼女が降りて、階段に向かう。
決してストーカーじゃないから、その姿を目で追うことをせずに電車に乗り込む。首尾よく席に座り彼女の顔を思い出す。
今日という日の希望を感じさせる表情。輝きを感じさせる瞳。
朝の1秒間の胸の高まり、恋とも言えないような淡い想い。彼女に声をかけるとか友達になりたいとかは考えてはいない。
だけど、彼女が同じ世界にいることが嬉しいし、俺も今日一日を頑張ろうって思えるんだ。
(おしまい)
フォローしている「小説家/作詞・作曲家 PJさん」のこの記事からのー
PJさん作曲の「うさぎじゃんぷ」
おはようよねちゃん(おはよねさん)のこの記事を知り
#1秒の恋
に乗っかってみました。御査収いただければ幸いです。
#何を書いても最後は宣伝
福島太郎の「恋のお話」と言えばこちらの「恋する旅人」ですが、主人公の「木元」は日比谷線「八丁堀駅」、今回の登場人物は有楽町線「新富町駅」と割と近い駅を利用しています。
私の土地勘がその周辺しかないという事情によるものです。
また「創作大賞2024」に応募した作品では、こちらが恋愛色多めの「お仕事小説部門」への応募作です。
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