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夢で逢えたら

スマホが軽い音を告げる。
(夜中だというのに)
寝足りない感覚がある。こんな時間にLINEを送ってくる友人の顔が、一人だけ浮かぶ。
(また、飲んでいるのだろう)
スルーしようかと考えたが、スマホを手にとる。
「紫蘇が枯れてしまったの」
一行だけ表示されていた。
(屋内のポット栽培とはいえ、紫蘇を枯らす?あんなに強いのに)
紫蘇が溢れるように葉を実らせていた福島の風景を思う。
同時に、古い漫画の一場面が浮かんだ。
『実らなかった恋に意味はあるのだろうか』
答えはわからないけれど、僕らが睦ぶ日々は戻らないけれど、伝えなければならない。
「紫蘇は、君と一緒に暮らせて幸せだったと思う」
マナーモードにして、スマホを置く。
返事は欲しくない。今はただ眠りたい。
もう、夢でしか会えないけれど、君の幸せを祈っている。

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福島太郎
サポート、kindleのロイヤリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれんつふぉーらむ福島」さんに寄付しています。 また2023年3月からは、大阪のNPO法人「ハッピーマム」さんへのサポート費用としています。  皆さまからの善意は、子どもたちの未来に託します、感謝します。