【駄文】著作と守秘義務の関係性
元宮ワイナリー黎明奇譚のレビューで「現実と空想のミックスジュース」(kiyoさん)という素晴らしいお言葉をいただきましたので、私の著作をお読みの方が抱くと思われる
『公務員としての「秘密を守る義務(守秘義務)」的には大丈夫なの?』
ということについて、少し説明したいと存じます。
多くの方が「守秘義務」について、「職務上知りえたことを漏らしてはならない」と誤解されているような印象です。法律上、漏らしてならないのは「職務上知りえた秘密」です。秘密を漏らしてはいけないのです。
そして、この「秘密」については「法律での定義」がなく、判例の解釈に基づくことになるのですが、人事院が作成した『義務違反法令ハンドブック』には
『本条の「秘密」とは、非公知の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいうこととされています。』
とあり、さらに具体的な例として
『一般に、外交交渉に関する情報、入札情報、個人情報など外部に漏れると国や個人の利益を著しく侵害したり、事前に内容を漏らすことが行政の遂行を阻害したりする事項などは、秘密にしなければなりません』
ということになりますので、「漏らしてならない秘密」というものは、かなり限定的なものになると理解しています。
さらに、後出しで恐縮ですが、この資料の冒頭には
『行政は国民に対して公開で行われることが原則ですが、行政目的を適正に達成するためには、一定の秘密を厳正に守らなければならない場合もあります』
と記載されていますので、原則的には「行政情報は公開」ということとされています。「国民の知る権利」の方に重きがおかれ、さらに「公務」という視点からも、行政行為全般については「公共の財産」として公開すべきという解釈があるようです。
私の著作は「全てフィクション」なので、そもそも「守秘義務」に抵触するものではないのですが、仮に偶然「事実と一致するような内容が含まれていた」場合でも、「秘密として保護するに値すると認められるもの」でなければ、守秘義務には抵触しないのです。
別途「信用失墜行為の禁止」、「職務専念義務違反」などの公務員法や、「個人情報保護」ですとか「名誉棄損」などの他法にも注意は必要ですが、ちゃんと「法令順守」の中で活動している「つもり」ということになりますので、安心してお読みいただければと存じます。
さも常識のように語られる「公務員の副業禁止」ですとか「守秘義務」などの考え方については、本来の趣旨と異なるように、周知されていると感じます。
「正しく恐れる」ことの必要性は、いろいろなところに潜んでいる印象です。