創作大賞感想 #ごきげんとり
ミーミーさんが、ぶち込んできたミステリー小説「ごきげんとり」
例によってネタバレはありませんので安心してお読みください。
Xで呟いた時のキラーワードが
【祭りの熱気と狂気、村の伝統と呪縛が満ちるライトミステリー】
というものでした。で、Xの文字数制限もあるので触れることができませんでしたが
(ここから先は勝手な憶測です、エビデンスも著者の承諾もありません)
本作品をちゃんと咀嚼するには『博多祇園山笠』を識る必要があるのではないかと感じました。
【祭りの熱気と狂気、村の伝統と呪縛】
というものは、私が以前北九州地方を旅した際に感じたからこそ醸し出された言葉になるからです。
本作をお読みになった場合『いやいやフィクションとは言え、それは流石に無理があるのでは』と感じる方もいるような設定があると推察します。
しかし『博多祇園山笠』に向け、街中のあちらこちらから聞こえるお囃子、その練習をする昂る子どもたち、祭りに賭ける大人たちの姿を見たことがあれば、リアルで存在する世界だと御理解いただけると思います。
恐ろしいことに『博多祇園山笠』に限らず、身近にも「奇祭」と呼ばれる「祭事」は21世紀、令和の世にも多く存在しているように感じます。
・極寒の中、ふんどしで水を掛けあう
・神事として境内を我先に駆け抜ける
・神輿を高速で走らせる
・古のコスプレをしてほら貝を吹き山を登る
・酔いながら神輿を担いだまま海に入る
とまぁ、ちょっと考えただけでも、「意味不明・効果不明・心身財産損失のリスク大」な祭事が、地域の行事として行われています。
冷静に考えれば、神事とか祭事というよりも、伝統と言う名の「呪縛」のようにも感じます。それが「善き事」「ハレの行事」として毎年のように行われ、ともすれば「地域の誇り」ともされ「止めよう」とは言えない、そんなことを口にしようものなら村に居られなくなるくらいの怖さがあるのです。
ジチタイワークスというサイトにある記事では、「3つルール」という考え方を提唱する記事が掲載されていました。
この説に拠るとすれば、「祭事」なんていうものは本来「パーソナル」や「ローカル」のルールになりますので守る必要もない、変えていかなかればならないルールのようです。なのに役所では「前例踏襲」、地域では「伝統」という呪縛のもとに、それを乱すものは赦されないような風土があるのかもしれません。
そのような意識を理屈ではなく、面白いエンターテインメント作品に昇華しているのが、この「ごきげんとり」だと感じています。長々と面倒なことを書きましたが、重たくて難しいお話が好みでは無い方や、ミステリー初級の方、少年少女にも楽しんでいただける「ライトミステリー」だと感じています。
お読みいただければと存じます。
#何を書いても最後は宣伝
「3つのルール」の元ネタは、こちらの記事です。私が寄稿した記事になります。お時間とか興味がある方はお読みいただきますようお願いします。
余談ですが、自治体ワークスの本社は「福岡県博多天神」にあるそうです。『博多祇園山笠』のご当地ですね。
サムネ画像は、福島県川俣町にある「猫神社」の鳥居です。生糸を取る生業が盛んな地でしたので、蚕(繭)を食べるネズミを捕る猫が神様になったようです。