【創作SS】塵を払わん #毎週ショートショートnote
昔、昔の印度のお話。
男は弓の名手「スナイパー」として、国の内外にその名を轟かせ、多くの敵を倒し、大きな栄誉を得ていた。
しかし、ある日
「人の命を奪うことで得た財や栄誉、名声に意味があるのか」
という悩みに捕らわれ、悟りを開いたと称する者の門を叩いた。
「俺は愚かな人間だ、罪を重ねてきた。生きる価値が無い」
悟りを開いた者は
「自分が愚かと考えている者は、愚かではない」
と諭し、箒を渡すと
「『塵を払わん』と唱えながら門前を掃除していただけませんか、命をもって尽くしてください」
と話された。
箒で掃いても掃いてもゴミは出るが、男は一心に掃除を続けた。
そして、ある日
「生きていてよいのかもしれない。未来は創れる」
という心境に達した。
悟りを開いた者は、その背中を見ながら
(スナイパーの意外な使い方、スイーパーをさせてみたら、煩悩も払い覚醒したようだな、弟子にしよう)
と考え呟いた。
「これで、いいのだ」
(本文ここまで)
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote お題 スナイパーの意外な使い方】に参加です。
https://note.com/tarahakani/n/nb474f2465709
はい、「スナイパー」と「スイーパー」という駄洒落を使いたいという「ワンアイディア」にお付き合いいただき、ありがとうございました。
お気づきの方もいるかと思いますが、元ネタは仏教における「仏陀と周利槃陀伽」のエピソードになります。
また、この「周利槃陀伽」は赤塚不二夫先生の「天才バカボン」に登場する「レレレのおじさん」のモデルとも言われているようです。
拙いお話をお読みいただき、ありがとうございます。
#何を書いても最後は宣伝
こちらの物語には、禅宗由来の「卒択同時」をエピソードとして使わせていただいています。
ちなみに、「これでいいのだ」って言葉、ものすごく優しく、未来志向で、哲学的な言葉のような気がしてなりません。